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第十一章 王都公認案内人 ナヴィ・マクレガン編
170.刺客
しおりを挟む<<ツヴァイエアシュート!!>>
「ギジャァァー……フシュー」
砕けた装甲の上から空気の弾丸が直撃したビッグフロストボアは倒れていった。
「やった!」
「うん、倒せたね」
「はぁ、はぁ、た、助かったのです……ナヴィさん。エンフィーさん」
「つ、疲れたぁー」
魔力を使い切ったエンフィーはその場に座り込む。
「そうね、あたしもぎりぎりだった……とりあえずここで少し休んでから帰ろう、えっとーアミスさん?」
「は、はい!」
「あなたもそれでいいかしら」
「はい、もちろんなのです! 何かお手伝いできることがあれば何なりと言ってほしいのです!」
「あはは、別に特に今はないわ」
こうして三人は倒したビッグフロストボアを眺めながらボス部屋でしばしの休息を取り始めた。
「アミス・レイバンと申します! 特技は大食い! 嫌いなものは戦い! よろしくお願いしますなのです!」
「戦いが嫌いなのにこんなところまで……ってまぁいいか、あたしはナヴィ! よろしくねアミスさん!」
「アミスで大丈夫なのです! もちろん存じ上げているのです! もう大大大大大ファンの方の案内所で働けるなんて幸せなのです!」
「じゃあアミスで、ってそんな大げさな」
「大げさじゃないのです! ナヴィさんの案内人適性試験の一次試験のマッピングも一言一句覚えているのです!」
鼻息を荒げながらナヴィに顔を近づけ興奮気味で話すアミス。
「あはは。嬉しいけどそれはそれで怖いよ」
「あ、す、すみません」
「大丈夫。それより戦いが嫌いなのは分かったけどあたし達の村まで結構距離あるしモンスターにも遭遇するのは分かってたよね? 武器は持ってないの?」
「あー、えーと。護身用に一応腰にナイフを」
アミスはローブの裾を持ち腰に差しているナイフを見せた。
「ナイフ? そんな小さいので!?」
「あ、えーっと。ま、まぁ、基本的には魔法で戦うのでナイフはあまり使わないのです」
「あぁ、なるほどね。ん、そういえば……」
アミスの身体を眺めるナヴィ。
「あ、あの……ナヴィさん?」
うん。やっぱり傷が一つもない……。このダンジョンに来るまでもモンスターに追いかけられていたらしいのに。それに傷がないのもそうだけど服の汚れすらないって……。あたし達の方がボロボロだし服も汚れてる。これじゃどっちが襲われたのかわかんないね。
でもここまで無傷なのって……。この子一体何者なんだろう。
「むむむ、お姉ちゃん! 近い!」
「あ、ご、ごめん!」
アミスの身体をじっくりと見ていたナヴィの様子を見たエンフィーが無理やり引き離した。
「あ、ご、ごめんなさい!」
「大丈夫です。私はエンフィー。よろしくお願いします」
「エ、エンフィーそんな不愛想に言わないでよ! ほらいつもみたいに」
「よろしくお願いします」
「変わってないじゃん!」
「あ、だ、大丈夫なのです! エンフィーさん。よろしくお願いしますなのです!」
アミスはエンフィーの手を取ろうとするも、エンフィーはその手を払い後ろに一歩引いた。
「エンフィー?」
「……」
どうしたもんかなぁ。
「!?」
「アミス?」
アミスの顔つきが強張り、耳がぴくぴくと動いていた。
「そこにいるのは誰なのですか!?」
「え? フロストボアの死骸の後ろ?」
「はいなのです。いえ、『誰』じゃないですね……何者でしょうか……?」
「え、アミスさん……私たちには何も聞こえませんでしたけど」
「……早く出てくるのです」
「あら、せっかく隠れて様子を見てから仕掛けようと思ってたのに……」
「!? ナヴィさん。エンフィーさん。伏せるのです!」
「「え!?」」
透き通った女性の声が聞こえてきた瞬間、ナヴィ達の倒したビッグフロストボアの巨大な死骸が大きな打撃音とともに壁に吹き飛ばされた。
「「きゃ!」」
「うっ……あなたは……?」
三人の視線の先には白い着物を着た女性が整然とした姿勢で立っていた。
「き、綺麗なのです……」
「白い着物に黒の帯、真っ白な肌に乱れの無い青白い長髪……あれってまさか雪女……?」
「お姉ちゃん。その雪女って?」
「あ、そっかそういう文化こっちにはないのか……」
それにしても何だろう……今のところ魔力は殆ど感じられない。だけどアミスは……。
「ふぅー。ふぅー」
それほど警戒する相手なのかしら。そもそも敵なの……?
「あらあら、そんな怖い顔しちゃってどうしたのかしら、そこの灰色の髪の毛の子」
「……さっきまであなたの気配は感じませんでした。アミスたちがボスと戦っている時あなたはどこに……?」
「気づかなかったかしら? ずっと上から見ていましたよ、あなた達の様子を」
「え、すでにもうボス部屋にいたということ……あたし達のことをずっと観察していた……?」
「正解です。というのもこのダンジョンを作ったのもモンスターを置いたのも私ですから」
「「「な!?」」」
「でもそんな魔力感じなかった! それに今も……もしかしてさっきここに来る前に感じた大きな魔力って……」
「あー……一瞬だけ力を使った時ですかね。ふふ。ナヴィさん、もしかしてその力って……」
「こんな力でしたか?」
その雪女が息を吸った瞬間。彼女の持っていた魔力が爆発するように広がっていった。
「うそ、何……この魔力……でかすぎる」
「え、え、え!?」
「これはやばいのです……」
「さぁ、お手並み拝見といきましょうか」
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