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第十一章 王都公認案内人 ナヴィ・マクレガン編
177.姉妹の亀裂
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「ふぅ、今日も終わったー」
ダンジョン攻略を終え、ナヴィは同行していたサム達と解散し案内所へと戻ってきた。
「ただいまってうぉ!?」
「へへへ、おかえりなさいなのです! ナヴィさん」
ナヴィが玄関の扉を開けると、目の前には待っていましたと言わんばかりの至近距離にアミスが立っていた。
「あーアミスただいま。よくあたしが帰ってくるのが分かったわね」
「ふふふ、それはアミスの耳は特別製でですね……」
「特別製……?」
「はい、実はー」
「お姉ちゃんお帰りなさい」
扉の開く音が聞こえたエンフィーはバックルームから出て、ナヴィを迎えた。
「ただいま、エンフィー」
「じーっ」
エンフィーはナヴィの全身をじろじろと見始めた。
「ちょ、エ、エンフィー、どうしたの急に」
「お姉ちゃん。どうしてこんなに服がぼろぼろなのかな?」
「へ?」
虚を突かれたかのような反応を見せたナヴィ。
「怪我はきっと回復魔法で治したと思うけど、ローブの汚れや切れ目、穴は治すことができないよ」
「あ、うん」
中身のないナヴィの返答に、優しく語りかけていたエンフィーの口調は強く責め立てるような話し方へと変わっていった。
「今日のサム様達と攻略するはずだったダンジョンは確かに推奨レベルは高いけどちゃんとパーティーとして戦えていたらそんな大層な傷にはならないはずだよ」
「……何が言いたいのエンフィー」
「お姉ちゃんがやっていたことは本当に案内人のやるべき仕事だったの?」
エンフィーの確信を着いた言葉にナヴィの瞳孔が思い切り開く。
「ちょ、え、エンフィーさん!?」
「エンフィー、それはどういうこと……」
ナヴィの声のトーンが低くなる。
だめだ。私がここで言ったら……でも。
「お姉ちゃんのその様子から考えられるのは二つに一つ、サム様達がお姉ちゃんをわざと前衛に行かせてお姉ちゃんを囮にしてダンジョンを攻略していく。そしてもう一つはお姉ちゃんが自ら前衛に行き手を出さないように懇願して一人でダンジョン攻略を行う」
「……」
全部言ったら私たちの姉妹の関係が……。
「否定しないってことはこのどちらかってことだよね、でも答えなんてもうわかりきってるよ」
「エンフィーさん! それ以上は」
二人の会話に待ったを掛けるようにアミスが入ろうとするもエンフィーは話し続ける。
「後者……なんでしょ」
「……」
「お姉ちゃん、同行した冒険者様の別れ際の顔をちゃんと見てみた?」
「え……」
『なんだろう、いつもは補助魔法中心の戦い方ですごくやりやすかったのですが、使う魔法は全て攻撃魔法……まるで僕の力は必要ないって言っているかのような戦い方で……』
コイル様……。
『ただ、いつものナヴィさんらしくない。そうは思いました』
エンフィーの拳にぐっと力が入った。
「どんな顔をしていたか覚えてるの?」
「それは……」
「お姉ちゃん。私たち案内人の仕事って自分だけが良ければそれでいい仕事だったの? 他の人の気持ちを差し置いてでも優先されなきゃいけないものなのかな」
く、もうここで言わなきゃ。言わなきゃ。
「今のお姉ちゃんは案内人でも何でもない。ただ力を欲するだけで他人なんて眼中にない自己満足の冒険者と同じよ」
「少なくとも私は今、お姉ちゃんに案内人の仕事をさせるわけにはいかないと思ってる」
その言葉を聞いた瞬間ナヴィは唇を噛みしめ右手を大きく後ろに引いた。
「く……エンフィー!!」
「うっ!」
ナヴィはエンフィーの頬を振りかぶった右手で力いっぱいに叩いた。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ」
「お二人とももうやめてください!! エンフィーさん大丈夫ですか!?」
「アミスさん……」
尻もちをついたエンフィーに駆け寄るアミス。
「ふーっ。ふーっ」
「ナヴィさんも落ち着いてくださいなのです! それに……その目は仲間……いえ妹に向ける目ではないと思います!」
ナヴィの目はエンフィーを上から見下すように睨みつけていた。
「……あれ、あたし」
「いったたた、あれ、血が…」
「だ、大丈夫ですか!? すぐに救急箱を持ってくるのです!」
その様子を見たナヴィは正気に戻り目をぱちくりとさせやってしまったと顔に手を当てた。
「あ、あぁ……ごめん。エンフィー……ごめん!」
そういうとナヴィは逃げるように自分の部屋へと戻っていった。
「エンフィーさん……」
「ごめんなさいアミスさん。来て早々こんな感じになっちゃって」
「大丈夫なのです! それにアミスはエンフィーさんの判断は間違ってなかったと思うのですよ」
「え?」
「このことはエンフィーさんが言うから意味があるのです。それに、今言わなかったらきっとナヴィさんはもっともっと自分を傷つけていたのです」
「うっ、うっ、でも。私、お姉ちゃんにひどいことを……」
大粒の涙を流すエンフィーをアミスは優しく包み込むように抱いた。
「エンフィーさん。大丈夫なのです。ナヴィさんのことも今はアミスに任せるのです」
「……」
「ご飯、食べましょうか」
「……はい」
その後アミスは三人分の食事を用意するも、食後のキッチンには二人分の皿だけが水に浸けられていた。
ダンジョン攻略を終え、ナヴィは同行していたサム達と解散し案内所へと戻ってきた。
「ただいまってうぉ!?」
「へへへ、おかえりなさいなのです! ナヴィさん」
ナヴィが玄関の扉を開けると、目の前には待っていましたと言わんばかりの至近距離にアミスが立っていた。
「あーアミスただいま。よくあたしが帰ってくるのが分かったわね」
「ふふふ、それはアミスの耳は特別製でですね……」
「特別製……?」
「はい、実はー」
「お姉ちゃんお帰りなさい」
扉の開く音が聞こえたエンフィーはバックルームから出て、ナヴィを迎えた。
「ただいま、エンフィー」
「じーっ」
エンフィーはナヴィの全身をじろじろと見始めた。
「ちょ、エ、エンフィー、どうしたの急に」
「お姉ちゃん。どうしてこんなに服がぼろぼろなのかな?」
「へ?」
虚を突かれたかのような反応を見せたナヴィ。
「怪我はきっと回復魔法で治したと思うけど、ローブの汚れや切れ目、穴は治すことができないよ」
「あ、うん」
中身のないナヴィの返答に、優しく語りかけていたエンフィーの口調は強く責め立てるような話し方へと変わっていった。
「今日のサム様達と攻略するはずだったダンジョンは確かに推奨レベルは高いけどちゃんとパーティーとして戦えていたらそんな大層な傷にはならないはずだよ」
「……何が言いたいのエンフィー」
「お姉ちゃんがやっていたことは本当に案内人のやるべき仕事だったの?」
エンフィーの確信を着いた言葉にナヴィの瞳孔が思い切り開く。
「ちょ、え、エンフィーさん!?」
「エンフィー、それはどういうこと……」
ナヴィの声のトーンが低くなる。
だめだ。私がここで言ったら……でも。
「お姉ちゃんのその様子から考えられるのは二つに一つ、サム様達がお姉ちゃんをわざと前衛に行かせてお姉ちゃんを囮にしてダンジョンを攻略していく。そしてもう一つはお姉ちゃんが自ら前衛に行き手を出さないように懇願して一人でダンジョン攻略を行う」
「……」
全部言ったら私たちの姉妹の関係が……。
「否定しないってことはこのどちらかってことだよね、でも答えなんてもうわかりきってるよ」
「エンフィーさん! それ以上は」
二人の会話に待ったを掛けるようにアミスが入ろうとするもエンフィーは話し続ける。
「後者……なんでしょ」
「……」
「お姉ちゃん、同行した冒険者様の別れ際の顔をちゃんと見てみた?」
「え……」
『なんだろう、いつもは補助魔法中心の戦い方ですごくやりやすかったのですが、使う魔法は全て攻撃魔法……まるで僕の力は必要ないって言っているかのような戦い方で……』
コイル様……。
『ただ、いつものナヴィさんらしくない。そうは思いました』
エンフィーの拳にぐっと力が入った。
「どんな顔をしていたか覚えてるの?」
「それは……」
「お姉ちゃん。私たち案内人の仕事って自分だけが良ければそれでいい仕事だったの? 他の人の気持ちを差し置いてでも優先されなきゃいけないものなのかな」
く、もうここで言わなきゃ。言わなきゃ。
「今のお姉ちゃんは案内人でも何でもない。ただ力を欲するだけで他人なんて眼中にない自己満足の冒険者と同じよ」
「少なくとも私は今、お姉ちゃんに案内人の仕事をさせるわけにはいかないと思ってる」
その言葉を聞いた瞬間ナヴィは唇を噛みしめ右手を大きく後ろに引いた。
「く……エンフィー!!」
「うっ!」
ナヴィはエンフィーの頬を振りかぶった右手で力いっぱいに叩いた。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ」
「お二人とももうやめてください!! エンフィーさん大丈夫ですか!?」
「アミスさん……」
尻もちをついたエンフィーに駆け寄るアミス。
「ふーっ。ふーっ」
「ナヴィさんも落ち着いてくださいなのです! それに……その目は仲間……いえ妹に向ける目ではないと思います!」
ナヴィの目はエンフィーを上から見下すように睨みつけていた。
「……あれ、あたし」
「いったたた、あれ、血が…」
「だ、大丈夫ですか!? すぐに救急箱を持ってくるのです!」
その様子を見たナヴィは正気に戻り目をぱちくりとさせやってしまったと顔に手を当てた。
「あ、あぁ……ごめん。エンフィー……ごめん!」
そういうとナヴィは逃げるように自分の部屋へと戻っていった。
「エンフィーさん……」
「ごめんなさいアミスさん。来て早々こんな感じになっちゃって」
「大丈夫なのです! それにアミスはエンフィーさんの判断は間違ってなかったと思うのですよ」
「え?」
「このことはエンフィーさんが言うから意味があるのです。それに、今言わなかったらきっとナヴィさんはもっともっと自分を傷つけていたのです」
「うっ、うっ、でも。私、お姉ちゃんにひどいことを……」
大粒の涙を流すエンフィーをアミスは優しく包み込むように抱いた。
「エンフィーさん。大丈夫なのです。ナヴィさんのことも今はアミスに任せるのです」
「……」
「ご飯、食べましょうか」
「……はい」
その後アミスは三人分の食事を用意するも、食後のキッチンには二人分の皿だけが水に浸けられていた。
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