180 / 262
第十一章 王都公認案内人 ナヴィ・マクレガン編
180.定期報告
しおりを挟む
「はい、契約書の方もいただきましたので、また出来上がり次第こちらからご連絡させていただきますね!」
「エミルありがとう。よろしくね!」
「はい、あとナヴィ様、もう一ついいですか?」
「ん? どうしたの」
「先ほど契約書を書いていただいている際にナヴィ様がご愛用なされていた杖を少し見てみたのですが、ナヴィ様の杖の使い方って今の使い方で大丈夫なのでしょうか……?」
「……え?」
エミルの突然の質問にナヴィの身体が固まった。
「あ、いや、深い意味はないのですが……村人……いえ、案内人の方にしては非常によく攻撃魔法を使われているなと……」
「杖ってそういうもんじゃないのかしら……? 最近はダンジョンの同行でも少しづつあたし一人でモンスターを倒せてきているし」
「……そ、そうですよね……案内人の方もダンジョンに同行するんですから攻撃魔法も使ったりしますよね……」
「うん。そうよ、それにこれで杖も変わるんだからもっと強いモンスターと戦っていけるわ!」
「……ですね」
「エミル……?」
「いえ、何でもありません、変なこと言ってしまって申し訳ございませんでした」
「ん? そう」
その時倉庫からナヴィの装備を持ってきたサミルが二人の横に立った。
「お待たせいたしました。ナヴィ様、サービスの杖とローブの方、こちらになります」
「サミルありがとう! お、もう夕方ね。それじゃあたしはこれで!」
「「またのご来店お待ちしております!」」
二人は深々と頭を下げナヴィを見送った。
ナヴィの後ろ姿が見えなくなった後、サミルは頭を上げエミルに声を掛けた。
「エミル、さっきのナヴィ様への質問はどういう意味?」
「うん、ナヴィ様の杖の使い方がエメラルドロッドの時から少しずれ始めている気がするんだよね……」
「……ずれ始めている?」
「うん。ナヴィ様の杖は……冒険者の魔法使いみたいな杖の使われ方をしてたんだ」
「なるほどね……ねぇ、それっていってあげた方が良かったんじゃないの?」
「うん、そうかもしれない。でも僕どうしていいか分からなかった」
「……まぁ私たちは武器屋だからそこの心配自体はしなくていいかもしれないわね」
「サミル……?」
「もしエミルがナヴィ様にそうなって欲しいと思っていたとしてもそれはエミルのエゴでしかない。大事なのはナヴィ様がどうなりたいかって思うことじゃないかしら」
「それは……」
「私たちの仕事はナヴィ様がどう転んでもいいように最高の装備を作り上げるだけよ。変な同情や思いやりは捨てなさい」
「……うん。そうだね」
二人はナヴィの歩いていった道をちらりと見た後、店の中へと戻っていった。
夕刻、王都案内所本部にて。
「ナヴィさん。ケビンさん。わざわざ案内所本部までご足労いただきありがとうございます。お元気でしたかって聞くのも野暮な話ですね……」
「いえ、スーザンさんも元気そうで何よりです」
「全くだ」
「こらケビン! ってあんたそんな包帯ぐるぐるの状態でよく来たわね……」
ケビンは松葉杖に骨折した右腕を包帯で固定した状態でナヴィの横に立っていた。
「ふん、この程度は別に……」
「とてもそんな風には見えないけど」
「では、二人とも、時間になったので定期報告を始めさせていただきますね」
「「え?」」
「……ナヴィさん、ケビンさんどうかしましたか?」
「あの……ルナ、ルナ・マリオットはあたし達と一緒に定期報告じゃないんですか?」
ナヴィのその問いかけにスーザンは唇を噛み顔を横に反らした。
「おい、スーザンさん、まさか……ルナも?」
「……えぇ、あなた達同様、魔王幹部、サーティーンプリンスターに襲われたわ」
「え!? ルナが……スーザンさん、ルナは、ルナは無事なんでしょうか?」
涙目になりながらスーザンに縋りつくナヴィ。
「大丈夫よ、でも一命を取り留めただけ……」
「そっか……良かった……」
「えぇ、本当に……それに」
スーザンは正面から二人をぎゅっと抱きしめた。
「あなた達も……よく無事で……」
「スーザン……さん?」
二人に抱き着いてきたスーザンの顔は見えなかったが体と声が震えていることから、ナヴィとケビンはスーザンの気持ちを汲み取ることができた。
「ぐすっ、ごめんねつい感極まっちゃって……」
「いえ、あたしは大丈夫です」
「……俺が生き残ることは当然のことだ」
「情けないところを見せてしまったわね……早速だけど始めていきましょう」
涙を拭ったスーザンが引きつった顔で二人に笑いかけた。
「はい!」
「あぁ」
「じゃあまずはこちらの報告から……」
二人はスーザンの報告に驚愕した。
「あの……スーザンさん、今なんて……?」
「どういうことだ……それは」
「……私たち王都公認のアドバイザーはただでさえ前回の大規模侵攻でかなりの人数が削られた、それが今回の魔王幹部の連続した襲撃で……『全滅』よ」
「は……」
「うそ……」
「第二回の大規模侵攻を行うのは今から二年後と踏んでいろいろ動いていた……けどそれじゃ間に合わなくなった。彼らのサーティーンプリンスターの準備はもう整いつつあるのよ……そしてそれは同時に……」
「ど、同時に?」
「魔王ディアボリクスの完全復活の日も近いということよ」
「エミルありがとう。よろしくね!」
「はい、あとナヴィ様、もう一ついいですか?」
「ん? どうしたの」
「先ほど契約書を書いていただいている際にナヴィ様がご愛用なされていた杖を少し見てみたのですが、ナヴィ様の杖の使い方って今の使い方で大丈夫なのでしょうか……?」
「……え?」
エミルの突然の質問にナヴィの身体が固まった。
「あ、いや、深い意味はないのですが……村人……いえ、案内人の方にしては非常によく攻撃魔法を使われているなと……」
「杖ってそういうもんじゃないのかしら……? 最近はダンジョンの同行でも少しづつあたし一人でモンスターを倒せてきているし」
「……そ、そうですよね……案内人の方もダンジョンに同行するんですから攻撃魔法も使ったりしますよね……」
「うん。そうよ、それにこれで杖も変わるんだからもっと強いモンスターと戦っていけるわ!」
「……ですね」
「エミル……?」
「いえ、何でもありません、変なこと言ってしまって申し訳ございませんでした」
「ん? そう」
その時倉庫からナヴィの装備を持ってきたサミルが二人の横に立った。
「お待たせいたしました。ナヴィ様、サービスの杖とローブの方、こちらになります」
「サミルありがとう! お、もう夕方ね。それじゃあたしはこれで!」
「「またのご来店お待ちしております!」」
二人は深々と頭を下げナヴィを見送った。
ナヴィの後ろ姿が見えなくなった後、サミルは頭を上げエミルに声を掛けた。
「エミル、さっきのナヴィ様への質問はどういう意味?」
「うん、ナヴィ様の杖の使い方がエメラルドロッドの時から少しずれ始めている気がするんだよね……」
「……ずれ始めている?」
「うん。ナヴィ様の杖は……冒険者の魔法使いみたいな杖の使われ方をしてたんだ」
「なるほどね……ねぇ、それっていってあげた方が良かったんじゃないの?」
「うん、そうかもしれない。でも僕どうしていいか分からなかった」
「……まぁ私たちは武器屋だからそこの心配自体はしなくていいかもしれないわね」
「サミル……?」
「もしエミルがナヴィ様にそうなって欲しいと思っていたとしてもそれはエミルのエゴでしかない。大事なのはナヴィ様がどうなりたいかって思うことじゃないかしら」
「それは……」
「私たちの仕事はナヴィ様がどう転んでもいいように最高の装備を作り上げるだけよ。変な同情や思いやりは捨てなさい」
「……うん。そうだね」
二人はナヴィの歩いていった道をちらりと見た後、店の中へと戻っていった。
夕刻、王都案内所本部にて。
「ナヴィさん。ケビンさん。わざわざ案内所本部までご足労いただきありがとうございます。お元気でしたかって聞くのも野暮な話ですね……」
「いえ、スーザンさんも元気そうで何よりです」
「全くだ」
「こらケビン! ってあんたそんな包帯ぐるぐるの状態でよく来たわね……」
ケビンは松葉杖に骨折した右腕を包帯で固定した状態でナヴィの横に立っていた。
「ふん、この程度は別に……」
「とてもそんな風には見えないけど」
「では、二人とも、時間になったので定期報告を始めさせていただきますね」
「「え?」」
「……ナヴィさん、ケビンさんどうかしましたか?」
「あの……ルナ、ルナ・マリオットはあたし達と一緒に定期報告じゃないんですか?」
ナヴィのその問いかけにスーザンは唇を噛み顔を横に反らした。
「おい、スーザンさん、まさか……ルナも?」
「……えぇ、あなた達同様、魔王幹部、サーティーンプリンスターに襲われたわ」
「え!? ルナが……スーザンさん、ルナは、ルナは無事なんでしょうか?」
涙目になりながらスーザンに縋りつくナヴィ。
「大丈夫よ、でも一命を取り留めただけ……」
「そっか……良かった……」
「えぇ、本当に……それに」
スーザンは正面から二人をぎゅっと抱きしめた。
「あなた達も……よく無事で……」
「スーザン……さん?」
二人に抱き着いてきたスーザンの顔は見えなかったが体と声が震えていることから、ナヴィとケビンはスーザンの気持ちを汲み取ることができた。
「ぐすっ、ごめんねつい感極まっちゃって……」
「いえ、あたしは大丈夫です」
「……俺が生き残ることは当然のことだ」
「情けないところを見せてしまったわね……早速だけど始めていきましょう」
涙を拭ったスーザンが引きつった顔で二人に笑いかけた。
「はい!」
「あぁ」
「じゃあまずはこちらの報告から……」
二人はスーザンの報告に驚愕した。
「あの……スーザンさん、今なんて……?」
「どういうことだ……それは」
「……私たち王都公認のアドバイザーはただでさえ前回の大規模侵攻でかなりの人数が削られた、それが今回の魔王幹部の連続した襲撃で……『全滅』よ」
「は……」
「うそ……」
「第二回の大規模侵攻を行うのは今から二年後と踏んでいろいろ動いていた……けどそれじゃ間に合わなくなった。彼らのサーティーンプリンスターの準備はもう整いつつあるのよ……そしてそれは同時に……」
「ど、同時に?」
「魔王ディアボリクスの完全復活の日も近いということよ」
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる