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第十一章 王都公認案内人 ナヴィ・マクレガン編
182.出発の日
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定期報告から三日後の明朝。
「よし、これで荷物はオーケーね」
王都から帰宅し自室で荷物をまとめ終わりぱんぱんと手を叩くナヴィ。
「うん。快晴ね、長旅になるから助かったわ」
窓を覗いているとコンコンとノックする音が聞こえてきた。
「ん? はーい」
ナヴィが扉を開けようとした瞬間だった。
「お姉ちゃん……本当に行っちゃうの?」
「……エンフィー」
ナヴィの扉に掛けていた手が離れた。
「昨日帰ってきた話は本当なんだね」
「うん。ごめんねエンフィー」
「そんな言葉聞きたくて話してるんじゃない!」
「!?」
扉越しでのエンフィーの怒鳴り声がナヴィを驚かせる。
「ねぇ、どうして私を残すの。どうしてどこに行くかも言ってくれないの……」
「それは……」
「んーおはようなのです。エンフィーさん……なんかすごい声がって……え?」
エンフィーの怒鳴り声で起床したアミスは、眠い目をこすりながらもエンフィーの様子を見た瞬間身を隠した。
「あたしはね、エンフィー。もっと強くならないといけないの。あなたを、アミスを守れるくらいに」
「誰もそんなこと頼んでない! ねぇ本当にどこに行くの?」
「……言えない」
「いつ帰ってくるの?」
「……分からない」
「なによそれ、私はどうしたらいいのよ……」
エンフィーは怒鳴りながらも少しずつ弱く震えていく声にナヴィの身体も小刻みに震えていた。
「……お店のことよろしくね」
「そんな、そんなのって……」
「大丈夫。必ず戻ってくるから」
「……」
「……エンフィー?」
「ふー……もういいよ。好きにしなよ」
「え……?」
「別にいいよもう帰ってこなくても、私一人でこのおじいちゃんの店を守っていくから。それじゃ元気でね。お姉ちゃん」
諦めとため息の漏れた音を出し、エンフィーがふらふらと自室へと戻っていく足音が聞こえた。
「ごめんね。ごめんねエンフィー」
あたしは今止まることはできない。絶対に……。
そこから一時間後。荷造りしたバッグと装備を整えたナヴィは案内所の玄関口に立っていた。
「ふー本当に先が見えないわ。いつ帰ってこれるかもわからないし……エンフィーには悪いことしちゃったかしら」
「ふふ、ナヴィさん。おはようなのです」
「うわぁ! ってアミスか……まったく朝からびっくりさせないでよ!」
エントランスを背に向けていたナヴィの耳元で囁くようにアミスが声を掛けた。
「いっちゃうんですね。ナヴィさん」
「えぇ、配属されてすぐなのに本当にアミスに迷惑かけてばかりねあたし」
「アミスは大丈夫ですけど、エンフィーさんのこと、いいのですか?」
「うん。今エンフィーとあたしが一緒にいることは多分あまりいいことではない気がするの……お互いに……」
「お互いに……なのですか?」
「えぇ、それにあたしがいなくてもあなたならきっとエンフィーの支えになってくれると信じてるわ」
アミスの頭を優しく撫でるナヴィ。
「買いかぶりなのですよナヴィさん」
「それに、あなたの力ならエンフィーに振りかかる脅威も大抵のものなら払いのけられるわよね?」
にやりと笑うナヴィを見てアミスは驚いた。
「ナヴィさん。もしかしてアミスの力を……?」
「隠す必要はないと思うけど?」
「へへ。すでにばれていましたか……」
「まぁ前回の戦いであれだけ見たらそりゃね」
そこからアミスとナヴィは他愛もない会話を数分続け、ナヴィは玄関の扉を開けた。
「それじゃ、アミス。このお店とエンフィーのことよろしく頼んだわよ」
「はい! 任せるのです!」
「じゃあ、行ってきます!」
「お気をつけてなのですー!」
アミスはナヴィの後姿が見えなくなるまで手を大きく振り続けた。
「ナヴィさん行っちゃったかぁ。さて、お店に……あれ、エンフィーさん?」
ナヴィの出発を窓から悲し気に見つめていたエンフィーにアミスは気づく。
「……お互いに、ですか。姉妹というのは難しいものなのですね」
そこから店内へと戻るため玄関の扉を開けたアミスの目の前にエンフィーが顔を下に向け立っていた。
「わ! エ、エンフィーさん」
「アミスさん。協力してください」
普段よりも低いトーンで話始めたエンフィー。
「え? あの、協力って……」
「私がこの店を守ります、いえ、お姉ちゃんよりももっと上手く。もっと大きくしてみせます」
「エンフィーさん? どういうことなのですか」
「お姉ちゃんなんかいなくても、私はこの店をやっていけます」
「あの、それは多分違うと……」
「違くない!」
エンフィーは扉の前にいるアミスの顔の横に思い切り手を突いた。
「わっ!」
「勝手に出て行ったお姉ちゃんに『マクレガン案内所はエンフィー・マクレガンの手腕で輝いた』その知らせが耳に入るくらいやってやります。もし帰ってきたとしてもお姉ちゃんの居場所はない。そういってやるんです」
「……」
さっきはあんなに帰ってこなくていいって言っていたのに、帰ってきたときのこと想像しているじゃないですかエンフィーさん。
「ん? 何がおかしいんですかアミスさん?」
「いえ、もちろんいいのですよ! アミスはこのお店に雇われている人間ですから」
「ありがとうございます。それじゃ今日からはより一層バリバリと働いてもらいますからね」
「了解なのですー!」
ここからマクレガン案内所はエンフィーが言っていた通り、持ち前フレキシブルさと手腕により更に功績と知名度を上げていった。
「よし、これで荷物はオーケーね」
王都から帰宅し自室で荷物をまとめ終わりぱんぱんと手を叩くナヴィ。
「うん。快晴ね、長旅になるから助かったわ」
窓を覗いているとコンコンとノックする音が聞こえてきた。
「ん? はーい」
ナヴィが扉を開けようとした瞬間だった。
「お姉ちゃん……本当に行っちゃうの?」
「……エンフィー」
ナヴィの扉に掛けていた手が離れた。
「昨日帰ってきた話は本当なんだね」
「うん。ごめんねエンフィー」
「そんな言葉聞きたくて話してるんじゃない!」
「!?」
扉越しでのエンフィーの怒鳴り声がナヴィを驚かせる。
「ねぇ、どうして私を残すの。どうしてどこに行くかも言ってくれないの……」
「それは……」
「んーおはようなのです。エンフィーさん……なんかすごい声がって……え?」
エンフィーの怒鳴り声で起床したアミスは、眠い目をこすりながらもエンフィーの様子を見た瞬間身を隠した。
「あたしはね、エンフィー。もっと強くならないといけないの。あなたを、アミスを守れるくらいに」
「誰もそんなこと頼んでない! ねぇ本当にどこに行くの?」
「……言えない」
「いつ帰ってくるの?」
「……分からない」
「なによそれ、私はどうしたらいいのよ……」
エンフィーは怒鳴りながらも少しずつ弱く震えていく声にナヴィの身体も小刻みに震えていた。
「……お店のことよろしくね」
「そんな、そんなのって……」
「大丈夫。必ず戻ってくるから」
「……」
「……エンフィー?」
「ふー……もういいよ。好きにしなよ」
「え……?」
「別にいいよもう帰ってこなくても、私一人でこのおじいちゃんの店を守っていくから。それじゃ元気でね。お姉ちゃん」
諦めとため息の漏れた音を出し、エンフィーがふらふらと自室へと戻っていく足音が聞こえた。
「ごめんね。ごめんねエンフィー」
あたしは今止まることはできない。絶対に……。
そこから一時間後。荷造りしたバッグと装備を整えたナヴィは案内所の玄関口に立っていた。
「ふー本当に先が見えないわ。いつ帰ってこれるかもわからないし……エンフィーには悪いことしちゃったかしら」
「ふふ、ナヴィさん。おはようなのです」
「うわぁ! ってアミスか……まったく朝からびっくりさせないでよ!」
エントランスを背に向けていたナヴィの耳元で囁くようにアミスが声を掛けた。
「いっちゃうんですね。ナヴィさん」
「えぇ、配属されてすぐなのに本当にアミスに迷惑かけてばかりねあたし」
「アミスは大丈夫ですけど、エンフィーさんのこと、いいのですか?」
「うん。今エンフィーとあたしが一緒にいることは多分あまりいいことではない気がするの……お互いに……」
「お互いに……なのですか?」
「えぇ、それにあたしがいなくてもあなたならきっとエンフィーの支えになってくれると信じてるわ」
アミスの頭を優しく撫でるナヴィ。
「買いかぶりなのですよナヴィさん」
「それに、あなたの力ならエンフィーに振りかかる脅威も大抵のものなら払いのけられるわよね?」
にやりと笑うナヴィを見てアミスは驚いた。
「ナヴィさん。もしかしてアミスの力を……?」
「隠す必要はないと思うけど?」
「へへ。すでにばれていましたか……」
「まぁ前回の戦いであれだけ見たらそりゃね」
そこからアミスとナヴィは他愛もない会話を数分続け、ナヴィは玄関の扉を開けた。
「それじゃ、アミス。このお店とエンフィーのことよろしく頼んだわよ」
「はい! 任せるのです!」
「じゃあ、行ってきます!」
「お気をつけてなのですー!」
アミスはナヴィの後姿が見えなくなるまで手を大きく振り続けた。
「ナヴィさん行っちゃったかぁ。さて、お店に……あれ、エンフィーさん?」
ナヴィの出発を窓から悲し気に見つめていたエンフィーにアミスは気づく。
「……お互いに、ですか。姉妹というのは難しいものなのですね」
そこから店内へと戻るため玄関の扉を開けたアミスの目の前にエンフィーが顔を下に向け立っていた。
「わ! エ、エンフィーさん」
「アミスさん。協力してください」
普段よりも低いトーンで話始めたエンフィー。
「え? あの、協力って……」
「私がこの店を守ります、いえ、お姉ちゃんよりももっと上手く。もっと大きくしてみせます」
「エンフィーさん? どういうことなのですか」
「お姉ちゃんなんかいなくても、私はこの店をやっていけます」
「あの、それは多分違うと……」
「違くない!」
エンフィーは扉の前にいるアミスの顔の横に思い切り手を突いた。
「わっ!」
「勝手に出て行ったお姉ちゃんに『マクレガン案内所はエンフィー・マクレガンの手腕で輝いた』その知らせが耳に入るくらいやってやります。もし帰ってきたとしてもお姉ちゃんの居場所はない。そういってやるんです」
「……」
さっきはあんなに帰ってこなくていいって言っていたのに、帰ってきたときのこと想像しているじゃないですかエンフィーさん。
「ん? 何がおかしいんですかアミスさん?」
「いえ、もちろんいいのですよ! アミスはこのお店に雇われている人間ですから」
「ありがとうございます。それじゃ今日からはより一層バリバリと働いてもらいますからね」
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