村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
183 / 262
第十二章 ナヴィとグローリア案内所

183.グローリア案内所

しおりを挟む
「ふーありがとうマーガレット。結構走ったわね。あ、あれかしら」

「ヒヒン」

 あたしがオリバービレッジを出てから南西の方向に、本部からもらったこの馬、マーガレットを走らせて四日ほど。スーザンさんの指示にあったデンバード山脈にたどり着いた。

「ってかなんで山……? ってあら、マーガレットどうしたの?」

「グルルル……」

 変ね……いつもは温厚なのにここまで警戒心をむき出しにするなんて……。

「ヒヒンヒヒン!」

「え、なに? 早く乗れって!?」

 なんだろう何かが近づいてくる!?

「ギシャア!」

 草むらから五体のゴブリンが飛び出してきた。

「え、うそ!? ここはもう人が出入りするところよね、こんなところまでモンスターが出てくるの!?」

「ヒヒン!!」

 それにこのゴブリン。あたし達の近くで出てくるゴブリンとはわけが違う。武装してるし、接近されるまで気づかなかったってことは魔力をコントロールしてギリギリまで隠していた……。

「く、ごめんマーガレット一気に走り抜けよう!」

 ナヴィはマーガレットに飛び乗り両足を強く突いた。

「ヒヒーン!」

「とにかくこの山を駆け上ろう! マーガレットあなたの速さならあいつらを撒けるわ」

 そこからあたしの指示でマーガレットは全速力で山を登っていった。

「くっそ、もうすぐ案内所の場所のはずだけど……まだ差は開いたけどゴブリンから逃れられてない……」

 ん? あそこにいるのは……女の人? 眼鏡を掛けてるし来ている服はエプロンドレス、冒険者じゃない……このままじゃ!

「そこのあなた! ここは危険よ! 早くあたしの馬に……」

「え……? あぁゴブリンですか……」

 そういうと彼女は眼鏡を取って向かってくるゴブリンの方を向いた。

「ちょ、早く手を取って!」

「大丈夫です、私の後ろに……」

「え!?」

 ゴブリンはその女性を通過したナヴィではなく眼鏡を外した女性に襲い掛かった。 

「ふー……離れていてください」

「え、えぇ」

 なにこれ、彼女の周りに炎が纏わりついてる……?

「ギシャー!!」

<ドラグーン・フレア>

 構えた右手から大量の炎が放射された。

「魔法!?」

 龍が勢いよく炎を吐き出すかのような火炎放射……しかもすんごい威力。

「ギャァァァァ!」

「うそ、一撃で炭になっちゃった……」

「ご無事でしょうか?」

 その魔法に見惚れていたナヴィの目の前に眼鏡の女性が顔を近づけた。

「うわぁ!? い、いつの間に!」

 さっきまでゴブリンの目の前にいたのに、一瞬であたしの前に。

「ん? 黒の長髪、青い瞳の二重、魔法使いの風貌、それにその王都公認のバッジ……もしかしてあなたがナヴィ・マクレガンさんでしょうか?」

「へ、どうしてあたしの名前を……」

「それは後ほどご説明いたします。目指しているんですよね、『グローリア案内所』を」

「……」

 驚いた表情を見せるナヴィを見てその女性はくすっと笑った。

「ふふ。では私についてきてください」

「え、えぇ」

 そこから山の中を歩くこと数分、グローリア案内所へと到着した。

「……」

「……」

 う……結局大した話もできないままここまで来ちゃった。

 まさか、もしかしてこの人がアドバイザーの……?

 でもあの強さ、それに突如のモンスター襲撃にも臆さない平常心。

 この人なのかな……。

「どうかいたしましたか? そんなに私をじーっと見つめて」

「へっ? あ、す、すみませんもしかしたら案内所のマスターの方なのかなと」

「さぁ、どうでしょうか」

「え?」

「あなたも見ればきっとすぐにわかります、それでは玄関を開けますよ」

「……? えぇ」

 扉に手を掛けた女性を見て、ナヴィはのどを一度大きく動かし目をかっと開いた。

 見ればすぐにわかるって……ってことはこの人じゃないってことよね。

 それに同じ人間なんだからそんなに大差もないはず。

 どんな人なんだろう。

「マスター。ただいま戻りました」

「あぁ、ご苦労。下がれ」

 低くて野太い声……でも……。

 間違いない、この人だ。


 四日前の定期報告の終了時、ナヴィはスーザンにそのアドバイザーについて話を聞いていた。

「スーザンさん、この人は……?」

「ヴィオネット。この子は前回の大規模侵攻の功労者の一人よ」

「この子?」

「あぁ、とは言っても私と同い年だけどね」

「そうなんですか? 二人は仲良かったんですか……?」

「私はそうなりたかったけどね、けど彼女はそんなに生易しい人間じゃない」

「王都公認にもなってないですしね」

「だけど、実力は本物よ。彼女の率いたパーティーは多くのサーティーンプリンスターを撃退していったわ」

「そ、そんな実力が!?」

「えぇ、だけど如何せん性格に難ありだからね……」

「あはは、会うのがちょっと怖くなってきました」

「さっきも言ったけど実力は本物。案内人としての素質も戦闘能力も抜群」

「戦闘能力も……?」

「さっき報告した、唯一サーティーンプリンスターを圧倒し無傷で帰還したアドバイザーが一人だけいたって」

「……もしかしてそれが?」

「えぇ。それが彼女。その変人ぶりと彼女の龍のような攻撃的な瞳から呼ばれていたわ」





「あ、あなたが」

 見た瞬間に分かった。この人だ。圧倒的なオーラ。案内人とは思えない攻撃的な瞳。

 前に立ち続けられたら、そのまま飲み込まれそうになる威圧感。

 無傷でテンスシート、ミモザよりも階級の高い魔王幹部を一人で倒したと言われる現在確認されているアドバイザーで最強の案内人の一人。

「奇龍 ヴィオネット・グローリア……」

「あぁ? だれだてめぇ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

処理中です...