村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

文字の大きさ
184 / 262
第十二章 ナヴィとグローリア案内所

184.ヴィオネット・グローリア

しおりを挟む
「あぁ? だれだてめぇ」

 う……いきなり威嚇された……。

 怖い、けどここで引いちゃだめだ。

「あ、あの、王都案内所本部のスーザン・アレクさんのご紹介で参りました。ナヴィ・マクレガンです! 本日からよろしくお願いいたします!」

「ふーん」

 近い近い近い……どんだけあたしのことじろじろ見ているの……。

 てかこの人の格好。スカーフが無ければほぼ下着みたいな格好ねハンナよりもひどいわ。それにウルフカットっていうんだっけこういう髪型。タバコとか高圧的な目も相まって男みたいな人ね。

 胸はすんごいけど。

「おいてめぇ俺の胸見てんのか!?」

「は、はひっ」

 や、やばっ……変な人って思われたかも。

「触ってみるか、あ?」

「いや、あの、あ、えっと」

 なんでこの人にこにこしてるの……。

「姉様おやめください! 悪い癖ですよ。それにまたタバコ吸って……」

「え、ね、姉様?」

「もーいちいちうるせぇなぁレミアは」

 ヴィオネットは吸っていた煙草をその場に落とし靴底で火を消した。

「あ、あの……ここ、案内所の中なのでは?」

「あぁ、てめぇレミアみたいなこと言うな?」

「あ、す、すみません」

 うーんあんまりつかめないなこの人。と、とりあえず紹介状を。

「あのヴィオネットさん。こちら、スーザンさんからの紹介状です!」

「あ、スーザン? あぁなんか言ってたな」

 ヴィオネットはナヴィから受け取った紹介状をその場で破り捨てた。

「な!?」

「ね、姉様!?」

「あいつの紹介状なんか必要ねぇ。俺は俺の目でお前を判断する」

 ま、また近い…けどこの人、オーラがすごいと思ったけど、それだけじゃない。普通にでかい。うちの案内所によく来る冒険者とは比にならないほど……。

「も、もちろんです」

 ナヴィは額に汗をかき、苦笑いをしながらヴィオネットに返答した。

「それともう一つ」

「はい」

「ここでは俺がルールだ、俺の言うことを守れなかったら殺す」

 さっきまでと表情が明らかに違う、この表情は冗談じゃない。本気だ……。

「……心得ておきます」

「よし、なら早速だが明日からバリバリ働いてもらう。仕事内容は明日話す。寝床、その他もろもろはレミアに聞け」

「はい」

「逃げるなよ? ナヴィ・マクレガン」

 ナヴィを上から見下すような形でにやりと笑いかけた。

「望むところです」

 これは本当にやばいところに来ちゃったかも……。
 けど、強くなるためならなんだってやってやる! 


「って……ヴィオネットさんもういなくなってる……」

「姉さまなら自室に戻りました」

「はやっ!?」

「……」

「……」

 う、空気が重い……何か話さなくては……。

「あの、レミア……さん?」

「レミアでいいですよ、同い年なんですし」

「え!? そうなの、ってことは二十歳?」

「はい、まさかここで同い年の方とお会いできるなんて光栄です」

「あたしも! あ、てか敬語とかいいからねあたしもナヴィで!」

「いえ、これはもはや職業病みたいなものですから……お気になさらず」

「あ、そう それじゃあ案内よろしく!」

 そこからはレミアがあたしの部屋や案内所全体の説明をしてくれた。

「ありがとう。レミア! それにしても今でもヴィオネットさんと姉妹だなんて信じられないわね」

「いえ、それは私も同じです……どうして私たちが姉妹なんでしょうか……」

「え……? なにかあったの?」

「あ、いえ、なんでも」

「……そう」

 何か訳ありなのかしら、この姉妹。

「ナヴィさん」

「なに?」

「ナヴィさんはどうしてグローリア案内所に?」

「え?」

「あ、すみません。ナヴィさんはここらでも案内人としてかなり有名で話はお伺いしていたのですが、どうしてわざわざうちの案内所に来たのかなぁと」

「……強くなるためよ」

「……強く、ですか」

「えぇ、妹も、従業員も、冒険者もみんなを守れるぐらい強くなりたいの。だからあたしはここに来たの」

「案内人なのに、ですか?」

「そうよ。あたし一人で全部やっつけちゃうくらいにね」

「……」

 ナヴィはレミアの質問にどや顔で返した。

「そう……ですか。ご立派、ですね……」

「ん? どうしたのそんな浮かない顔して」

「いえ、なんでもありません。説明は以上になります。そうしましたら今日はもう遅いですし夜ご飯にしましょうか」

「あ、うん」

 急に機械的に淡々と話す話し方へと変わったレミアにナヴィは顔を曇らせた。

 まぁ、今はいいか。

 そこからあたしの案内所の話をしながらレミアと食事をし、自室の寝床に戻った。

「明日からはバリバリ働かないとな……」

 レミアの話を聞く感じここにくるほとんどがレベル四十以上の上級冒険者。

 どの冒険者も仕事依頼の難易度が高く、同行は数か月先まで予約が埋まってるらしい。

「あたしもこれからたっくさん同行しまくってどんどん強くなるぞ!!」

 なんだかんだで環境は申し分なさそうだし、一気に強くなってやるわ!

 それより……エンフィー達は元気にしてるかしら。それにルナ、ケビンも気になるし……。

 案外あたしが一番強くなっちゃったりしてね。

「ふふふ。よーし! 早く寝て明日の仕事に備えよ!」

 期待に胸を膨らませ就寝するナヴィであった。

 翌日、明朝。

「はぁ、なんでですか!?」

 カウンターの奥にあるヴィオネットの机を両手で思い切り叩くナヴィ。

「あ? 二度も言わせんな。お前は当分俺らの同行した記録の解析と書類整理だ」

「ど、同行は? マップ作製は? 受付は?」

「今俺が言った中にその三つの仕事が聞こえたか?」

「……そんなぁ」 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...