村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十二章 ナヴィとグローリア案内所

191.レミアの豪炎

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 二人の戦闘を眺めていたヴィオネット。

「ふむ……雨が強くなってきたな」

 ナヴィとレミアが戦い始めて十分ってところか。

 まぁそんなもんだろ。

「おい、そろそろ諦めたらどうだ」
「ナヴィ」 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 両手で杖にしがみつき何とか立ち上がるナヴィ。

「……ナヴィさん」

「ナヴィ」
 もう駄目だな、レミアの猛攻によく耐えてはいたが、今はほとんど意識がなく気力だけで立っているようなもんだ。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「これ以上先延ばししても意味がないな。おい、レミアそろそろ決めろ」

「はい、姉さま」

 レミアは両手を前に出し炎を放出しそれを溜め始めた。

「ナヴィさん。もう諦めてください。あなたはここで死ぬような人ではありません」

「はぁ、はぁ、はぁ」

「ナヴィさんもうほとんど白目を向いている。でもその状態になったのは数分前からで気絶程度に収めようと加減してたら逆に盾を出されてしっかりと防御された……」
「なら、もう迷ってられない最大放出で一気に決める!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
<ドラグーン・エクスプロージョン!>

 レミアの両手で集められていた炎が巨大な火炎球となりナヴィに放たれた。

「イ……イージスの……盾」

 レミアの火炎球がナヴィに直撃する瞬間にナヴィの目の前に盾が出現した。

「く、あの状態でまだ盾を使うんですか……しかしこの技の威力はさっきまでの威力とは違います」

 イージスの盾に触れた火炎球は一瞬で盾を砕きその場で大爆発を起こす。

「うっ……」

 ナヴィはその爆発に飲み込まれ十数メートル後方に吹き飛ばされた。

「ふぅ。これでようやく……うそ?」

「はぁ、はぁ、はぁ」

 全身に火傷を負い倒れていたナヴィだったがゆっくりと体を起こす。

「ナヴィさん。なんでそこまでして……」

「あたしは……守らなくちゃいけないの。エンフィーを、アミスを、皆を」

 身体がよろめきながらもレミアを真っ直ぐと見つめるナヴィにレミアが気圧される。

「っく……私一人に勝てないナヴィさんに何が守れるんですか」

「理屈とか根拠じゃないの……守りたいから守るの」

「そんなこと! できるわけ」

「だから……あたしはここでは止まれない、誰よりも強くなって。おじいちゃんのように皆を!」

 ナヴィの目の前に灰色の魔法陣が現れた。

「こ、これは! ナヴィさんの魔力が一気に跳ね上がった!?」

「あの野郎、レミアを相手に。この一撃に賭けるために最小限の魔力で!」

 それにこの魔力量。相当だ。

「レミア! 本気で構えろ、来るぞ!」

「姉さま!? は、はい!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁあたしは、もう負けたくない!! ミモザにも、あなたにも、これから先の誰にも!」

<ガーディアン・エレクトリックレイ!>

「キュイィィィィ!!」

 レミアの前に巨大な電気エイが召喚された。

「これが天才ナヴィ・マクレガン最大の攻撃……なら私も!」
<ドラグーン・エクスプロージョン!>

 電気エイの放電とレミアの巨大な火炎球がぶつかり合った。

「はぁぁぁぁぁぁ!」

「あぁぁぁぁぁぁ!」

 二人の拮抗していた力が徐々にナヴィの魔力の強さに傾き始める。

「う、うそですよね。わ、私が……」

「押し切れぇぇぇぇ!」

「ぐ、そんな。私の技が。ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

 電気エイの放電がレミアの火炎球を打ち消しその勢いのままレミアに直撃した。

「はぁ、はぁ、はぁ、これで、あたしの……勝ちだ……あ、う」

 自身の勝利を確信したナヴィが倒れた。

「レミア……ナヴィは魔力枯渇で体はもう動かないだろう」

 まさかあそこまでやるとはな。ナヴィは倒れてはいるが意識はまだある。ちょうどいいか、きっとレミアもそろそろかなとは思っていたが、まさかそれを見せるではなく使わせられる、とはな。

 レミア、お前のそういうところが……。

「どうレミア……あたしの渾身の一撃は。流石にあなたも」

 体はそのままで視線だけレミアに向けたナヴィは驚愕した。

「どういうこと? なにその翼……」

 電撃により発生した煙が豪雨と強風で徐々に晴れた。
 そしてその先に黒い翼のようなものが球体になり、レミアを守っていた。

「嘘でしょ、無傷……?」

「ナヴィさん。先ほどの攻撃は見事でした。でも私には効きません」

 レミアは翼を大きく広げた。

「!? 翼もそうだけど、その腕、まさか」

「ナヴィ。気づいたようだな」

 倒れていたナヴィにヴィオネットが近づいた。

「ヴィ、ヴィオネさん」

「俺が『奇龍』と呼ばれるのは龍のような攻撃的な瞳が由来とされているらしいな」

「自分も、スーザンさんからそのように……」

「だがそれは間違いだ」

「え、間違い?」

「俺達姉妹は龍のような……じゃない」

「まさか、本当に存在していたなんて……。史実では希少種とされ常に戦の最前線で戦い続けていた戦闘特化型の獣人族」

「あの翼、それに分厚い皮に覆われた腕に鋭い爪」

「あぁ、俺たちは獣人族、超希少種のドラゴン属の姉妹だ」

「そんな、もう前回の大規模侵攻でその末裔が途絶えたって聞いていたのに……」

「そう俺たち二人がドラゴン族の最後の生き残りだ」

「……そんなのって」

「そしてナヴィ。お前の負けだ」

「う……」

 ナヴィはその場で力尽きた。
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