村人Aは勇者パーティーに入りたい! ~圧倒的モブが史上最高の案内人を目指します~

凛 捺也

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第十三章 ブラッディフェスト 序章

231.小さな街の案内人

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「ということがあってね……」



「ウィドルシティでそんなことが……」



 話を聞いたエンフィーの表情が引きつり始めた。



「とはいえウィドルシティはここから距離が離れてますからすぐには攻めてこないですよね」



「どうだろう、僕には奴らが何を考えているのかが分からない。けど今はただそう願うしかないよね」



「ですよね……。ハンナさん、それでウィドルシティはその後どうなったのでしょうか」



 エンフィーの問いに顔が固まり口を開くことを躊躇するハンナ。



「ハンナさん?」



「……壊滅だ」



「え……」



「僕はここに帰ってくる一週間前に情報収集と注意喚起のため、道中にある小さな街の案内所に訪問したんだ」









「はぁ、はぁ、流石にここで馬を休ませよう」



 ここは村……いや、街? 外壁や塗装の感じからしては発展はしているようには見えるけど。



「にしては人がいない、というよりも人の気配がほとんどない……?」



 もしかして情報を聞いてもう逃げたのかな。それはそれでいいのかもしれないけど。とにかくウィドルシティの情報が欲しい。



「あ、人」



 僕は街の中に入り周りを見渡していると人だかりができていた店を発見した。



「ん? これは案内所……案内人がまだいるのかな?」





「おう、お前ら行くぞ! 俺らが戦わないでどうするんだ!」

「あったりめーだ! 仲間を助けに行くぞ!」

「そうだ! それに街の奴らが捨てたこの町も俺らの手で守るんだ!」





「決起会かなんかなのかな……」



 とりあえず話しかけてみるか。



「あのーすみません」



「あん? なんだ嬢ちゃん、ここらじゃ見ない顔だな」



 僕は大柄の斧使いの男に話しかけた。



「あの、この人だかりは……?」



「今からここにいる冒険者で魔物の奴らと戦いに行くんだよ」



「魔物に……魔物はどこにいるんですか?」



「あーこまけぇことはあの中にいる案内人聞いてくれ」



「あ、やっぱりここ案内所だったんだ」



「まぁこの人込みを超えてかなきゃいけねぇから頑張れよ」



「あははは、これはなかなか」



 大声を上げ自分たちを鼓舞する冒険者たちが案内所の入り口を塞いでいた。



「すみません、すみません、入ります、入ります!」



「あ!? 言ってぇな、周り見ろ!」

「なんだぁ嬢ちゃん迷子かぁ?」

「女が来るところじゃねぇぞ!」

「よく見ろまな板だ、女の顔した男だぜ多分」



 こいつら、あとでしばく。



「ん? あのカウンターにいるベレー帽をかぶった背の小さい男の子が案内人かな……」





「いいから道を教えろよ! お前案内人だろ!?」

「お前案内人の癖に冒険者の言うこと聞けねぇのか!」



「だ、だから。ウィドルシティには行ってはいけません!」



 え。ウィドルシティ? ってかあそこまで案内人攻めなくてもいーじゃん。



「だからその理由を教えろっつってんだろ!」



「それを教えたら余計に皆さんが怒りに身を任せて突攻しちゃうじゃないですか!」



「それはてめぇの作戦しだいだろ!」





「そうやって全部案内人に任せて……これだから冒険者は……」



「あの!!」



「!?」



 ハンナは導線を塞いでいた冒険者たちの間を抜け、カウンターの下からひょっこりと顔を出した。



「ん? あなたは……ここの冒険者ではありませんね。どうしたんですか?」



「おいてめぇ俺の話を」



 眼帯を付けた冒険者がハンナをのけようと手を出したその瞬間。



「あんたは黙ってて」



 それをひらりとかわしその勢いのまま冒険者の足を踵で崩した。



「んな!?」



 バランスを崩しそのまま案内所の床に尻もちをついた。



「な、なんだてめぇ」



「僕はこの人の聞きたいことがあるの、あんたみたいに他人を攻めることしかできない冒険者は魔物に突っ込んでとっとと死んでこい」



 ハンナは倒れこんだ冒険者を冷たく差すような眼光で睨みつけた。



「ひっ……こいつ何もんだ」



 怯える冒険者を見たハンナがすぐに表情を変え、笑顔で案内人に話しかけた。



「それで、お話聞かせてもらってもいいかな、えっとー案内人くん」



「チック・ラディです……知り合いの案内人から聞いた話なのでどこまで本当の話か分からないのですが」



「うん、構わないよ。よろしくチック」



 そこから僕は彼からウィドルシティのその後の話を聞いた。



「うそ……ということは、ほぼ全壊ってことかな……」



「はい、そういうことになります。それを聞いた僕もこの街の住人に呼びかけ魔王城から遠ざかるため別のむらや街に移動することを勧めたんです」



「ねぇ、ウィドルシティの冒険者に生き残りはいなかったの!? 僕、ちょっと前に一緒に冒険してたキュリオって人がそれを助けに行ったっきりどうなったか知りたくて」



「キュリオさん? ここらではかなり有名で実力ある冒険者のキュリオさんですか?」



「え、あ、そうなんだ、知らなかったけど……」



「……キュリオさんがどうなったかは分かりません。しかし聞いた話では街は全壊。生存者は女性、子供を含めてゼロ。逃げた人はもちろんいたとは聞いてますが、ウィドルシティの冒険者が身を盾にして守っていたとか……」



「……ということは」



 チックは唾を一度飲み込み言いづらそうに話した。



「キュリオさん含めたウィドルシティの冒険者はほぼ全員殺されたと捉えるのが妥当かと」



「そんな」
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