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     第二十七章

朝から騒がしい僕の家

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 次の日の朝は昨日と同じ様に、僕は弁当のおかず担当、楓が朝食担当で分担していた。

「そういえば楓は、弁当はいつも自分で作ってたの?」

「そうよ?なにかおかしい?」

「いや、料理が上手いから弁当も自分で作ってるのかなー?って気になってたから」

「そうね、料理は出来るけど、他の事は苦手かな?」

「例えば?」

「うーん、洗濯かなぁ?どれがどのスイッチか分からないから」

「なるほど、楓にも苦手ものあったんだね?」

意外だった。楓は勉強も出来てスポーツもそこそこ良いらしいから苦手なものなんて無いと思ってたけど。

「あら、私にだって苦手なものくらいあるわよ」

プイっとそっぽを向いてしまったので、

「ごめん、ごめん」

さて、稽古を始めるとしますか。明日からゴールデンウィークだし、念入りにやっとかないと!
今日は、気配を感じるやつをやってみようかな。
うわっ!今、楓が着替えてる所が見えた。やめよう!これをやってたら理性が保てなくなる!

「紀伊名を起こしてこよう。美優の方は楓に任せてるし」

「涼ちゃんおはよー」

「おはよう紀伊名。えっ?紀伊名自分で起きたの?」

「違うよ。楓ちゃんが起こしてくれたの」

楓には助けて貰ってばかりだな。恩返ししないと。
学校の帰りに、ちょっと探してみよう。
楓が好きそうなものがあったら買おう!
皆、学校の支度が出来て朝食も食べたのでいつもより早いが学校に行く事にした。

「そろそろ、行こうか。楓!ちょっと来て!紀伊名達は先に行ってて、追いつくから」

「分かった!また後でねー」

「どうしたの?」

「約束、したからね。行くよ!」

楓は紀伊名よりも軽かった。別に紀伊名が重いという訳じゃない。紀伊名以外を抱えるのが初めてだったからだ。
風が気持ち良い。

「楓、怖くない?」

「全然!むしろ楽しい!」

こんな楓初めて見るな、いつもはクールで清楚なイメージがあったんだけど。

「ねぇ楓?」

「なに?」

「僕は、皆を守りたい。だから少しだけの無茶を許してくれないかな?」

「ダメよ。と言いたい所だけど、そうねいいわよ。でも、大怪我だけはやめてね」

「了解!」

紀伊名は大丈夫かな?
口を滑らしてこの事を話してないかな?
話したら、もうやる事が出来なくなるんだけど。

「涼平君?教室に行こ!」

「うん、そうだね…」

心配だ。頼むよ紀伊名。また美優に怒られるのはゴメンだからね!
                      続く……
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