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     第三十章

お使い途中で

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 まさか可奈さんが風邪を引いてるなんて、思いもしなかったな。と思ってたら美優達を見つけた!けどあれはちょっとまずい状況だな。

「紀伊名、商店街まで来てくれないかな?美優達がトラブルに巻き込まれてる。迎えに来てくれない?」

「別にいいけど、涼ちゃんはどうするの?」

「残って相手をしとく。その間に孤児院まで逃げて、頼んだよ!」

「了解!」

でも、なんでナンパに捕まるかな?すぐに逃げればって事もできないか。
相手は三人、充分だな。

「離してください!」

「いいだろ、ちょっとでいいからさ!」

「やめて下さい!」

あーあ、美優の奴言葉より手が出ちゃったよ。
相手も怒ってるぞー。

「この野郎、下手に出てるからって調子に乗りやがって!」

「すいません。僕の連れが何かしましたか?」

「誰だお前?」

「僕は、彼女達の連れですけど?」

三人共、そろそろ紀伊名が来るから付いて行って。というメモを背中に隠しながら伝えた。

「ムカついているのなら、僕が相手になりましょうか?」

「ほー?そんな事言っていいのか?痛い目みても知らねぇぞ!」

「痛い目が、何だって?次!」

「まだだ!」

全く、懲りない人達だな。これを見て逃げるっていう選択肢はないのか?一人づつは面倒だなー。

「もう、二人がかりで来てください。面倒なんで」

「このガキ!舐めてんじゃねぇぞ!」

「はい、いっちょあがりっと。うわっ!警察逃げよ!」

僕は、近くにあったポストをジャンプ台に使って屋根をつたって逃げた。
いやーまさか、拳法がこんな所で役に立つなんて。
まぁ、犯人逮捕に使ってるけど。

「良かった。無事みたいだね。ありがとう紀伊名」

「どういたしまして!」

「涼平…あんたいつの間にあんなに強くなってたの?」

ここでバレるか。あんなの見たら以前の僕とは違うって思うよね。話をそらそう。

「そんな事より、中に入ろう。可奈さんの代わりに料理を作らないと」

「そうだね!可奈さん今の状態じゃ作れないだろうし」

紀伊名!ナイスアシスト!

「そういう事なら、聞くのは後でいいわ。それでいい、舞ちゃん、楓?」

「私は構いません!」

「私も」

って、楓はもう知ってるだろ!聞く必要は無いんじゃ…
そんな事考えてる場合じゃない!早く料理を作らないと!ここには、誰も料理を作れる人いないんだから。

「涼平、何を作るの?」

「ここには、子供が多いからカレーにしようと思ってる。あれっ?君は可奈さんの所に案内してくれた…」

「はい!山瀬南って言います!」

「南ちゃんか、僕は高野涼平。よろしくね。ところでどうして南ちゃんもキッチンにいるの?」

「涼平さんの料理をしているところを見て、私も出来るようにならないとって思ったんです!」

「だからキッチンに!じゃあ手伝ってくれる?」

「もちろんです!そのために来たんですから!」

そして、僕は南ちゃんと一緒に料理を作りながら可奈さんの話を聞いた。相変わらず、ここの食卓は騒々しいらしい。可奈さんが拗ねて、皆でなだめたりしているという話だった。

「ありがとう南ちゃん。後は運ぶだけだから、他の子も呼んできて」

「分かりました!」

さて、僕は可奈さんのおかゆとサラダを作らないと。

「涼平さん!皆を呼んできました!」

「なら、このお皿を食卓に持っていって。ご飯とカレーは僕が持っていくから」

「皆!運ぶよ!」

ご飯とカレーを持っていったから、オッケーかな。後は可奈さんのおかゆとサラダを持っていくだけだな。

「涼平さん、どこに行くんですか?」

「可奈さんの夕飯をね。届けに行って来る」

「いただきますって誰が行ったらいいんでしょうか?」

「だったら、あのお姉ちゃん達に頼んでおいで」

「はい!分かりました!」

すまない。美優達、少しの間子供の相手を頼んだ!
僕には、可奈さんに夕飯を運ぶっていう役目があるから。

「可奈さん。おかゆですよって何やってるんですか!」

僕が可奈さんの部屋に入ると可奈さんがとんでもない事?をやっていた。
                      続く……
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