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   第三・四・五・六章

最近、本を読むことが無くなり、女子といることが多くなってきている。

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第三章 波乱の予感
そうだ。確か前に、美優が行きたがってたパンケーキ屋があったかな?誘ってみよう。
「ねぇ美優?今日の放課後、前に美優が行きたがってたパンケーキ屋に行かない?僕のおごりでいいから」
あぁ、僕のお小遣いがなくなってく。でも、美優は嬉しそうな顔して頷いてくれた。そして放課後、美優と二人で行く予定だったが、まさかこんな事になるなんて…
「で、何でアンタまでいるの?長瀬さん?あと、涼平の腕から離れてよ!」
「嫌です!この腕は涼平君は私のものです!あなたには、渡しません!」
なんだ?この状況?何で長瀬さんまでいるんだ?
「長瀬さん?あのいつから僕は、長瀬のものになったんですか?あと、腕から離れて下さい。色々と当たってるんで」
「何が、当たってるんですか?言ってみて下さい?」
困った。全然離れる気配がない。美優の機嫌も悪くなる一方だ。仕方無い、あまり気は進まないけどやってみるか。僕は長瀬の耳元にこう囁いた。
「ごめん。今は手を引いてくれないかな?そしたら、なんでも一つ言う事聞くから!」
「仕方無いですねぇ。今回は、涼平君に免じて手を引いてあげましょう」 
そう言いつつニコッと笑って帰っていった。
けど、僕何させられるんだろ?そう思うと、急に怖くなってきた。
「さ、さぁ行こうか美優。美優?」
「アンタ、今なんて言ったの?教えなさい!」
やばっ!この状況って返答次第で殺されるかも。
「えっとですねぇ?何と言いますか。一つ言う事を聞くからと言ったんですけど…」
「へー?じゃあ、あんたは言う事を聞く代わりにこの場を長瀬さんから引いてもらったわけね?」
ここで「はい。そうです」なんて言ったら…
うん。アウトだ!どうしよう。やばい!頭が回転しない!よし、話をそらそう!そうするしかないかな?
「あ、そうだ!パンケーキ屋にそろそろ行こうよ!」
「今、話をそらそうとしたでしょ?」
はぁ、もうダメかな?
「ああもう。そうだよ!一つだけ言う事聞く代わりにこの場を引いてもらったんだ!美優と一緒にパンケーキ屋で楽しみたかったから!」
終わった。きっと明日から口も聞いてくれないだろな。
「そんなに、私と一緒にパンケーキ屋に行く事が楽しみだったの?」
はい?なんで?怒って帰ると思ったけど、逆に手をモジモジして、恥ずかしそうにしている?
「そうだよ?僕じゃダメかな?」
「全然!逆に嬉しいよ?」
よし!美優は少し機嫌が良くなった。もう、このまま行くか!
「ねぇ美優?行こ?もう日も暮れてきたし」
美優は、笑顔で「うん!」と言ってパンケーキ屋に向かった。ただ、怖いことが明日だな。何を言われるか分かったもんじゃない。
第四章 願いはデートをする事!
 次の日、学校で長瀬さんに昼休憩、屋上へ来るように言われたので、屋上に向かっている。
やっと屋上に着いたが、正直気が重い。でも行かないと、行くか!僕は勇気を振り絞って、屋上のドアを開けた。そこには、長瀬さんの姿が見えなかったと思ったらいきなり後ろから「だーれだ?」と少し子供じみた事してきたが、そこはスルーした。
「長瀬さん以外、ここにはいないはずだけど?」
「それも、そうね。ごめんなさい」
ちょっと、間を開けて前の約束の内容を聞いた。
「それで?何してほしいの?」
さて、どんな命令が来るんだ?来るなら来い!
「何を言っているの?」
あれ?約束の事だとおもってきたんだが、違うかったらしい。
「嘘よ。そうね、私と付き合って下さい!っと言いたい所だけど、明日私とデートしてほしいの」
なんだデートか……デートだと?どうしよう?美優になんて説明しよう?いや、説明したらまた機嫌が悪くなると思うから、この件は隠しておこう。
「分かった。どこで待ち合わせにするの?」
「そうね。駅前のベンチに朝の十一時三十分ね。遅刻しないでよ?」
そう言って彼女は、肩を叩いて屋上から姿を消した。
 次の日の朝、僕はため息をつきながら家を出た。  
「確かにあの時、僕は何でも言う事を聞くって言ったよ?でも何でデートなんだろ」
また、ため息をついて独り言を言いながら目的地の駅前のベンチに着いた。時計を見ると十時五十分だった。
ちょっと、早く着すぎたかな?と思っていたら10分後
彼女が息を切らしながら到着したと同時に見惚れてしまった。
「ま、待った?」
「ううん、僕もさっき来たところ。とりあえず休んだら?辛いでしょ?」
「ありがと。隣に座らしてね。ねぇ?この服どうかな?」
「か、可愛いよ?いつもより綺麗に見える」
彼女は、顔を赤くしてうつむいて「ありがと」と言いつつ、体を休ませていた。
なんか、こうしてると本物のカップルみたいだな。って何考えてるんだ僕は。これは、デートだけど、少し違う。
そうだ、これは約束事だからしかないんだ。でもこんな所美優に見られたらどうしよう。色々考えてると長瀬さんも回復したので、駅に向って歩き始めた。
「ねぇ、最初はどこに行くの?」
「そうだなぁー、ここは定番の映画館に行こうか?」
そう言うと、長瀬さんは喜んでくれたらしく僕の腕に抱きついてきた。まぁ、今回は良しとしよう。
僕らは、歩いてすぐにある映画館に着いたので長瀬さんが観たい映画を見ることにした。そして、ポップコーンやコーラを買って映画が始まるまで座って待つことにした。
「ねぇ長瀬さん。この映画って面白いの?」
「うん!凄く面白いよ。私が話すより観たほうが早いから言わないね」
そう聞いた後、映画が始まった。確かに悪くはないけど
ちょっと微妙かな?でも長瀬さんは面白そうに見てるからいいか。映画を観てる途中、手に何か当たってるように思えた。それは長瀬さんの手だった。ちょっと、驚いたが長瀬さんは少し恥ずかしそうにしていたので、このまま、映画が終わるのを待った。上映が終わって、昼時だったのでファミレスに寄って昼を食べながらさっきの映画の事を話していた。
 さてと、次はどこに行こっかな?と考えていると、
「この後はどうするの?」
「じゃあ…長瀬さんの服でも買いに行こっか」
こういう時、女性は服選びなどで喜んでくれる。
それに、長瀬さんの新しい私服も見てみたいし一石二鳥かな?
「それじゃあ、行こっか?」
「うん!」
僕は、長瀬さんの手を握って走りだした。
この時は、本当に楽しかった。
服を選んだり、カラオケやゲームセンターにも行っていたらいつの間にか、もう夕方になっていた。
近くに公園があったので、ベンチに腰掛けた。
「今日は楽しかった?うまくリード出来たかな?」
「すっごく楽しかったよ!今日はありがとね服とか可愛いぬいぐるみまで貰っちゃって。良かったのかな?」
「いいよ!長瀬さんが楽しんでくれたなら僕はそれで良いよ」
結局、最後まで楽しんでたな僕は。まぁいいや長瀬さんが楽しんでくれたなら。
「涼平君?一つお願い聞いてくれない?」
ん?なんだろう?
「その私の事、長瀬さんじゃなくて、楓って呼んでくれない?ダメかな?」
下の名前で呼んでくれってことか。
大丈夫だろう。多分。
「じゃ、じゃあ楓」
「は、はい!」
僕らは、緊張していたのかガチガチだったが一気に解けた。そして、腹が痛くなるぐらい笑って腹を抱えた。
「今日は、ありがと楓。楽しかったよ」
「こちらこそ!色々ありがとね。また明日学校で」
そう言って僕は楓を家まで送って、別れた。
第五章 後輩あらわる!
 ある日の朝、僕はいつもどおりに美優と一緒に学校へ向かっている途中で後ろから声をかけられた。
「おはよう!涼平君!」
「あぁ、おはよう長瀬さん」
あれ?なんか長瀬さん不機嫌になってる?あ!そっか!
「ごめん。おはよう楓」
「うん!おはよう!」
良かった。機嫌が治ったみたいだな…良くない!この前の事、美優に言ってない!どうしよう、また美優起こるだろうな。
恐る恐る、美優の顔見ると案の定怒っていた。
「涼平?どういう事か説明あるよね?」
「えーっと、簡単に言うと二人の仲が縮まったかな?」
何を言ってるんだろう僕は、こんな事言ったらまた美優を宥めないといけなくなる。ところが、
「へ、へー。そうなんだ、何があったの?長瀬さん?」
いつもなら僕なのに、どうして今日は楓なんだ?
「別に何もなかったわよ?強いて言うなら二人で出掛けたことかな?」
あちゃー言っちゃった。これでもう後戻りは無理かな?
と思ってる最中、二人で言い争っていたのでほっといて先に学校に行く事にした。でもきっと、教室二人が着いたら僕は質問攻めなんだろうな。はぁ。
やっと着いた。あんまり着きたくなかったけど。
「おーい!高野お前に用があるって子が来てんだけど」
「分かった。ちょっと待って」
誰だろう?別に僕何かした覚えはないんだけど…
「君は、確かあの時の」
「はい!そうです。あの時はありがとうございました」
そうこの子は、一昨日僕が本屋の帰りに男達に絡まれていたので助けた子だ。
でも何でここが分かったんだろう?
「先輩!この前はありがとうございました。ずっとお礼が言いたかったので先生に学年とクラスを聞いて来ました」
なるほど、そういう事か。だから、ここが分かったんだ。
「別にいいよ。お礼なんて、あの時たまたま居合わせただけなんだから」
「そんな訳にもいきません!」
「じゃあ、その気持ちだけでも貰っとくよ。それに、もうホームルーム始まるよ?戻らなくていいの?」
「本当だ!じゃあ、また後で伺いますので!」
何だったんだろう?ホームルームが始まるってことは、やっぱり、着いてたか。凄い剣幕でこっち見てる。どうやって、言い訳しよう。
 ホームルームが終わり、授業が始まって三十分たった今、まだこっちを見てる。
いや、授業に集中しなよ。そう言いたかった僕であった。
授業が終わったので、とりあえず僕は教室から抜けだそうとしていたがあっさり二人に捕まって尋問を受けていた。
「朝の事は、なかったことにしてあげる。それより、あの娘誰よ!」
何でこんなことになったんだろう?ただ、僕は困っている…あれ?そういえば、まだ名前聞いてなかった。後で聞いてみよう。それよりも、こっちを先に片付けよう。
「あの娘は、一昨日本屋の帰りに困ってたから助けただけだよ」
「本当に?」
二人はズイッと顔を近付けてじーっと僕の顔見ていたが、信じてくれたのか顔を離した。
「本当みたいだから許してあげる。ただし、これ以上増やさないでよ!」敵が増えたら厄介なんだから。
「何か言った?美優?」
「何でもない!」
まぁ、色々あったが放課後を迎えた。今日は本当に疲れた早く帰りたいけど、先生にプリント持って来るように言われたからなぁ。とっとと終わらせて、帰ろう。一応、美優にも言ってるから大丈夫だろう。
「失礼しましたー」
やっと、終わった。荷物を取りにいって帰ろうかな。あれ?確かあの子一年生の…名前を聞くチャンスだ。僕は軽く走って近づくと彼女は階段を踏み外してしまった。
「危ない!」
彼女を抱きかかえて怪我をさせまいと自分が身代わりになった。
「痛ってて。大丈夫?えーっと、そういえば名前は?」
「私の名前は、片桐舞です。後、助けてくださってありがとうございます。また、助けてもらってすいません!」
「僕は、高野涼平よろしくね。片桐さん」
「先輩?私の事、舞でいいですから。それではさよならです!」
あ、ちょっと、まぁいいかどうせ明日学校で会うかもだし。
 次の日の学校で、ちょっとした事件が起っていた。本当にちょっとしたことなんだけど。
僕が学校に向かっていると、いつもどおり後ろから楓が来て、美優と言い争っている。この状況はもう慣れたので、学校に向かった。
よくもまぁ、飽きないなぁと思いながら呆れもした。そうやって、考え事をしている内に学校に着いた。教室に向かおうとして歩いていると、少し聞き慣れた声が、僕の名前を呼んでいた。振り向くとそこには舞の姿があった。
「あの、高野先輩!昨日はありがとうございました。本当に助かりました」
「大丈夫だよ。ねぇ舞?僕だけ君の事を下の名前で呼ぶのは不公平だから舞も僕の事は涼平でいいからね」
「そんな事できません!」
「だったら、涼平先輩でどうかな?」
「分かりました!涼平先輩!」
あぁ、どうしよう。また美優に怒られるかな?
まぁいいや。なんとか言って誤魔化そう。
おっと早く教室に行かないと、遅刻になる。
はぁ、良かった間に合った。
息を切らしながらも自分の席に向かってぐったりしながら、ストンと座った。
朝からいきなり疲れた。そういえば、あの二人はまだみたい。遅刻しなければいいんだけど。
チャイムが鳴ってすごく息を切らした二人がダッシュで教室に駆け込んで来た。
だけど、先生に怒られて明日またこんな事があったら校庭十周ということになった。
やれやれ、言い合いなんてしなかったら遅刻にならないのに。え??二人共怒ってる。
おそらく、このままここにいると不味いな。ホームルームが終わり次第教室を抜けだそう。時計をチラッと見て今が頃合いと判断して少しずつドアに近づいて、チャイムがなった瞬間廊下に出て猛ダッシュし逃げた。
逃げている内に音楽室の前を通りかかった。すると足がぴたっと止まった。理由は簡単だった。
綺麗な歌声で、聞き入れてしまっていた。
誰が歌ってるのか知りたくなり、音楽室のドアを少し開けて中の様子を見ると歌っていたのは舞だった。だけど、ドアに足が当たって見ている事がバレた。
「誰かいるんですか?」
「ごめん。僕だ」
「涼平先輩?どうしたんですか?」
「ちょっとね、たまたま音楽室の前を通りかかったら綺麗な歌声が聞こえたから舞だったんだね」
すると、舞の顔がくもっているように見えた。
「綺麗な歌声じゃないです。私の母は昔、オペラ歌手だったそうです。そして、私にもオペラ歌手になってほしいらしく昔からレッスンばかりで今この状況になってるんです」
という事は、昔からレッスンで外で遊んだ事がないんだ。そして今も。
「一つ聞いていいかな?」
「なんですか?」
「歌っていて楽しい?」
舞の反応は分かっているのに、こんな事聞いたら
舞は無理して、きっと笑顔で、はい。と答えるだろう。なのに、なんで僕は…酷いな僕は。
「正直言って、楽しくないです。最初は褒められたくて歌ってましたが、最近はもう楽しくないです。もうやめようかな」
そうか、今までこんなにも思い詰めて生きてきたんだ。なら、僕が支えになってあげるべきだな。
「やめる、なんて言わないで。僕が君の事を支えてあげる。悲しい時や泣きたい時は僕の胸で抱きしめてあげる。だからやめるなんて言わないでよ」
「いいんですか?本気ですか?」
僕はニコッと笑って
「もちろん。悲しんでいる舞は見たくないから」
そして、舞は我慢していた今までの分まで泣いているようだった。泣いて、泣いて泣き続けた。
 とうとう、授業が始まってしまったが今の舞を置いてはいけない。だから、ぎゅっと抱きしめ泣き終わるまで何も言わず一緒にいることにした。
授業が終わる頃、舞は泣き止んでこう言った。
「ありがとうございました。顔がグチャグチャです。あまり見ないでください」
「分かった。もう大丈夫?」
「はい。大丈夫です。あの先輩?もし、まだ泣きたくなったら先輩の胸で泣いてもいいですか?」
「いいよ。舞が望むならね」
ありがとうございましたと言葉を残して、走って出て行ってしまった。そういえば、なにか忘れてるような?なんだっけ?
あ……あの二人だ。
きっと怒ってるだろうな。
授業もサボって何をしてたか聞かれるだろう。
得に美優が質問してくるだろう。楓はそんな事あまりないけど。とりあえず教室に帰ろう。考えるのはその後でいいや。
第六章 花火大会でのハプニング
 とうとう、夏休みがきた。僕は、夏休みの宿題を終わらせて、ごろごろしていた。
外でミンミンとセミが鳴いている。暑い、暑すぎるこんな時はエアコンでもと…あれ?動かない。面倒だ扇風機にしよう。
そう思って扇風機を取りに二階上がろうと時に電話が鳴った。誰だろう?出ないと
「はい。高野ですが」
「あ、涼平?私だけど今日の夜空いてる?」
「空いてるけど?」
「じゃあさ、今日花火大会があるんだけど私と楓とあんたの三人で行かない?」
そういえば、もうそんな時期だったな。花火はいい。屋台もあるから一石二鳥だな。
「分かった。何時に行けばいい?」
「六時三十分に香撫神社で」
あ、切られた。全く要件を言ったらすぐ切る癖直してほしいものだな。さてと、準備しておくか。
今、財布の中大丈夫だったかな?よし、アイスを買いに行くついでに金を降ろしておくか。
暑いな。やっぱり。家から出た瞬間からコンビニまでが遠く感じてきた。辛い。
さっきの電話と美優と楓と僕でって言ってたけどいつの間に仲良くなったんだ?不思議だ。
やっとコンビニに着いた。やはりエアコンの効いているコンビニは涼しい。外の暑さが嘘みたいだな。こうしてると外に出たくなくなるがそういう訳にもいかない。とっとと要件を終わらして帰ろうか。
これでよしっと。さぁてまたあの暑い中歩くのか辛いな。でも行くしかない今日の準備もあるし、
帰らないと。うぅ暑い。だから夏は嫌いなんだ。
暑いし、寝づらい。エアコンさえ動いてくれれば何か今日は運が悪い。
やっと着いた。花火大会まで時間があるな、少し寝よう。
そして、僕は寝ていたら家のチャイムが鳴って起きた。
「はいはい誰ですか?って美優と楓?あ!」
そうだ。神社に七時三十分だった。
時計をチラッと見たら八時を回っていた。
「悪い!ちょっと待ってて。急いで準備してくるから!」
いるものは、財布と…ってもう財布だけでいいか時間が無い。急いで出ないと。
「ごめん!待たし…て」
「何よ?」
「いや、二人共浴衣が似合ってたから見惚れてた」
「ありがと!さぁ、行くわよ!」
僕は美優と楓に手を引っ張られ神社まで走って向かった。この時はまだあんな事になるなんて思いもしなかった。
やっとの思いで神社に着いた。屋台が多く出揃っていて三人で色々回っていった。
すると、途中で楓が何かに反応した。射的の棚に置いてあるぬいぐるみに反応したらしい。
「取ってあげようか?おじさん一回お願い」
「はいよ。一回だな」
「涼平君?いいよ別に何か悪いし」
「僕が勝手にやってることだから気にしないで」
とは言ったものの、なかなかしぶといな。でも楓の為に取るしかないな!
「あれ?先輩じゃないですか!」
「え?舞!」
あ、やばっ今ので最後だったのに。
「おめでとう。ほらぬいぐるみ」
え?落ちたんだ。何だ良かった。
「涼平君、ありがとね」
「いいよ別に、それにお礼なら舞にってあれ?」
舞がいなくなってる?それに美優まで。そうだ舞の事を楓にも美優にも言ってなかったんだ。
「えっと楓?今の子は片桐舞って言ってこの前困っている所を助けただけで」
「ふふっ知ってますよ。私が怒ってると思ったんですか?」
何だ良かった。怒ってない訳ないよな。
「あれ?楓?楓までどこ行ったんだ?」
こんなに探しているのに、どこにいるんだ?美優はさっき見つけたし。舞も見つけた、一緒に回ろうと行ったんだが楓だけ一向に見つからない。美優達にも探してもらってるが、どこだ?
林の方を向くとナイフを持った男と楓がいた。あの状況は襲われてるのか?
「待ってろ、楓!」
なんでこんな事に?私はただ涼平君達と楽しみたかっただけなのにどうして?
「俺を覚えてるか?長瀬楓。俺はお前に告白したが振られた。この事がクラス中に広まってどんだけ俺が恥ずかしい思いをしたか。ここであの時の礼をしてやる!」
ごめんね、涼平君。私ここまでみたい。私が死んだら悲しむだろうな。
悲しませたくないな。
本当にごめんね涼平君。
「危ない!楓!」
「え?涼平君?」
ぐはっ、やばい…な。血が流れてる。しかも多いな。あいつは逃げるのか?逃さない!
「おーい、君、忘れ物…ですよ!」
はぁ、うまくいった。ちょうど、ふくらはぎに刺さってくれた。当分あの人は動けないだろう。
それよりも先にすることがある。
「楓、大声で叫んでください。そしたら人が来るから」
「それよりも、涼平君の手当てを」
「早く!」
良かった。楓が叫んでくれたから周りが気付いてくれた。これであの人も捕まるかな?
「君!大丈夫か!早く病院に」
電話したところで僕が助かる可能性は低いかな?
刺さったナイフを抜いて投げたんだから。悪いことしたな、美優にも楓にもそれに舞にも怒られるかな?怒られるだろうな。ちょっと寝よう。
「嫌だ。死なないよね?涼平君?起きてよ!涼平君!」
救急車が到着して、すぐに病院へ搬送された。そして僕は集中治療室で手術を受けていた。
                   続く…
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