不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

第一章 終わりと始まり

18 王都

「湖の周りは、公共施設がメインかな。騎士団と貴族の別邸。あとは教会だな」

陛下はそういうと少し考えてから口を開いた。

「ここは私は素通りが多いからなぁ。」

陛下の言葉にジークハルトは苦笑した。

「なら、ここは私が、一応住んでいますから。」

湖の周りには、貴族と騎士と聖職者…教会の地区。
この地区は半分に分かれている。
城に近い地区は、聖職者と貴族、務めている庶民のみ入れる。

城壁に近い地区には、大通りの周りに学校や図書館などの公共施設。
食事処なども並んでいる。
普通の庶民が入れるのは、城壁に近い部分。
大通りのお店と公共施設と教会のあたりかな。

地区の中央には騎士の詰め所があって人の通りがチェックされている。

今通っているは、丁度詰め所をくぐったところ。
地区の中心の部分。
大通りをのんびり進んでいる。
物珍しそうに眺めている僕を見たのだろう。
警護についてきてくれているバルハルト公が御者に近づいた。
ゆっくり進んでやってくれと言ってくれたみたい。
それからすごく馬車は、ゆっくり進んでいる。
バルハルト公もゆっくりと馬を歩かせていた。

バルハルト公の馬は大きな黒い馬。
すごくかっこいい。
陛下の馬も黒いらしい。
勝手なイメージだと白い馬だったんだけども。
陛下が魔力が強いから、その魔力をおびえない馬を探してたら、バルハルト公が自分の馬と同じ種類の馬を送ったらしい。魔力にも強いし主への忠誠心も強い。

ジークハルトは、魔力は防御力全振りしたのかというくらい防御力は高いのだけど魔力は、陛下よりは少ないので白い馬を乗っているのだという。

色で馬の能力が違うみたい。

のんびりと進む馬車。

陛下もバルハルト公も忙しいから申し訳ないとは思う。
だけど、あまり外に出たことないからゆっくり見たい。

「私の執務は終わっているから気にしなくていいよ。バルも今日の仕事は終わらせているから、ついてきているんだ。今日は、ゆっくりしていいんだよ。」

顔に出ていたらしくて陛下に苦笑された。
陛下は、笑いながら王都の説明を続けるジークハルトを促す。

中心部分は、公共施設や王族や貴族の別邸がある場所。
あと教会があるから、神官と聖者もここに住んでる。

エスターも今は、ここにある前妃の別邸で暮らしている。
屋敷は、そこまで大きくはないとのこと。
前妃の別邸は、今は所有者はエスターになっている。

まぁ…エスターは結構、議会で複数回廃嫡案が出てしまっているので、一応王族を出たときように前妃の館は残していたのだという。
早速役に立ったねと、陛下は半ばがっかりしつつそう言った。

まぁ…がっかりしちゃうよね…。
使いたくなかったというのが本音だろうし。

貴族は王都ではなく自分たちの領地があるから、そっちに居る。
王都の屋敷は別邸。

貴族の別邸は、城側に固まっているけど教会の傍にもある。
エスターがいる別邸は教会の傍にあるとのこと。

南北に伸びる大通りの周りに面しているのは施設は公共施設。
統一感がある公共施設は、やっぱり可愛い印象を受ける。

大通りの東側は、少数の貴族の別邸とか、主には教会の施設。
静かな区域だ。

大通りから西側は、大通りの奥に入ったら結構バラバラらしい。
西側に騎士団の組織とそういう施設は集中している。
騎士団の施設とか、騎士の屋敷とかがあるみたい。
若い騎士用の寄宿舎とかもあるという。
あと、賭け事をするような娯楽施設もこの区域にあるんだって。
娯楽施設は少し大通りから離れているから見たこともない。
騎士団の施設の近くに娯楽施設と歓楽街がある。
学校とか、大通りにあるから、賭け事するような施設に学生が入らないように、管理しやすくしているみたい。

たぶん、警備しやすくするためかな。
と…まぁ騎士団が利用しやすいってことだろうなと思う。

騎士団にもいろいろあって、戦いだけではなくて復興作業する職人さんが所属している騎士団もある。
騎士団ってどちらかというと自衛隊と警察と消防署とか前世の公共の組織がごちゃ混ぜになっているイメージ。
音楽隊もあるんだって。

あとは…僕は行ったことがないけれど、三重丸の二重目は、商人の街。
職人さんが多くて、城にいる料理長とかはここで買い物してると言っていた。

庶民の人たちはここに住んでいる人も多い。
基本的には木造の家が多いという話だ。
魔法で樹を成長させて安価で建材に出来るという理由。

速くできるしやすいということで庶民は木造の家に住んでいることが多い。

石造りとかレンガとか漆喰などの材料を使うのは公共施設や貴族の家、大きな商人の家になるようだ。
冒険者ギルドはこの区画の入り口にある。
あるのはギルドだけで冒険者用の宿とかは三重丸の一番外側のところだという。

三重丸の一番外側は、不思議な光景が広がっているという。
森の中のような感じらしい。

大きな樹の中をくりぬいて出来上がったようなそんな建物が並んでいるという。
建築の建材を生成するのも間に合っていない場合に作る建物だという。

まぁくりぬいた中の樹は、商人街で使っているのだとも聞いているけれど。

安い宿とかが並んでいるから傭兵とか、冒険者が多くいる街。
見た目はすごいメルヘンだけど住んでいる人は、結構乱暴な人が多いみたいだ。
この国の国籍を持っていない人が住んだり、教会の施設を逃げ出した子供とかもいるらしい。

復興が終わったとも聞いていたけど。
森のような状態の無法地帯があるということは、まだ、この国は復興途中ともいえるのだろう。



物騒だとのことだけど…森の街って見たいなぁ…。