不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第一章 終わりと始まり

19 王家と教会

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今から向かう教会は、王族にとってはあまり良い場所ではない。
そう,
陛下は言った。

「いい話ではないけどもね。」

今はこの国は平和だ。
だから、教会もここに大教会を作り聖者もこの国に居る。
もともと大教会は侵略してきた国にあった。
教会の神官は非武装だから、強い国に大教会を置く。

それは常の事。
でも、教会はこの国の金の瞳の伝説を持つ王族をよくは思っていない。
けれど、今はこの国が大国になり強い王に守られた安全な国になっている。

強い王が居れば周辺の国も攻めてこない。
陛下は、まだまだお若いし、この世界最強とも言われているから陛下の治世の間は平和だろうと言われている。
侵略してきた国は今は陛下の領土。
大きな国だったから現在の国土も大きくなった。
領主も多いし、陛下が一人で治めるには大きすぎるともいう。

だから、議会制にした。

前戦の時の復興も落ち着いているし、今のところ余力もある。
有力貴族からは、こちらから仕掛けていっそ統一国家を目指したらと言う声も上がっていた。
が陛下はやる気はないらしい。
国土が大きいから、各地に領主を配置して基本は議会で国の方針を決める。
最終決定は陛下だけども。
今ですら、まとめるのが大変なのにこれ以上増えても収集つかないというのが陛下の意見。

でも、あっちから来たら手加減しないよ~とのこと。
もう一つの理由は、後継者がエスターだったから。
単純にエスターは陛下程の力は持てないと思われている。

陛下程の傑物は、そうそうでない。
これ以上の国土を持ってもエスターでは保てない。

そしてもう一つ、エスターを避けたい理由はある。
エスターは、元々母親についていた乳母が育てている。
母のたっての願い。
陛下は、それを叶えた。
乳母の影響もあって教会の教えに忠実なエスター。
教会の影響力がある王は、避けたいというのはやはりある。

だから、朝議で僕とジークハルトが後継者の席で出席したときは議会場内はざわついた。

バルハルト公爵家は国一番の力を持つ。
王族であり騎士団長と魔術師長がパートナーだ。
戦力的には、陛下と拮抗する。

その、バルハルト公が許していなかったため、ジークハルトは後継者から外すのは、暗黙の了解だった。
だが、ジークハルトが後継者としてふさわしいのではとは皆思っていたようだ。
後継者候補としてジークハルトが挙がった時は満場一致で即決だった。

エスター不憫…。

ちなみに陛下は、理由もきちんと説明した。
ジークハルトは、僕に一目ぼれして陛下から僕を奪うために後継者に立候補したのだと。
嘘ではないが、ちょっと違う…かなり違うが。

立候補したわけではないし。

年頃になって陛下に勝ったら陛下ごと僕を娶る気らしいと、陛下が苦笑して言うので、議会に参加した貴族たちは何とも言えない顔をしていた。

とはいえ、エスターをないがしろにはできない。

異例だが王位継承権候補という期間を作った。
ジークハルトとエスターを競わせる。
その期間の王位継承権の優先順位はジークハルト、エスターの順番ということが決まった。

ジークハルトの後継者教育の参加と称号のみだが第二王子となること。
親権は、バルハルト公家ままで、騎士教育も引き続きするということも朝議で決まった。

ジークハルトが王位継承権を得なかった場合の進路は残すというりゆうにしたようだ。
彼が優秀なのは、皆知っているから反対はなかった。

また、陛下に何かあった時は、現状では僕が一旦、王位継承権をあずかる。
その後、ジークハルト、エスター、僕の順番で王位継承するものとして本当に良いかを協議する。
そもそもの決定をもっているのが陛下だから、その陛下に何かあった時は議会で決定するということらしい。
王妃だから一旦は、王の代わりをする。
あと自動的に王位継承権の権利は僕にはようで、継承権の順番に僕も入っている。

この優先順位は、後継者たちの能力によっては順番が変わる。
もし僕がジークハルトより王位継承権にふさわしいとなったらジークハルトは王位継承権を放棄すると本人がそれを望んだ。そのまま、僕に仕えるという。
ジークハルトが、議会でそんなことをいうからみんな余計に一目ぼれがうんぬんを信じてしまった。
教会よりの重鎮は、これだから金の瞳を持つ者はって陰口をいっているようだ。

陛下はそのあたりのことも影…王家に仕える密偵みたいな人のことらしいけど…に調べさせてのちのち排除するつもりらしい。というか…排除する手はずを整えつつある…。

うん…怖いです…それを企んでいる時の陛下は。
めちゃくちゃ、悪い笑みで迫力ありました。

話がそれた…。
ともかく、王位継承権は、一年単位で、優先順位を決めなおすことが議会で決定することで決まった。

きっとエスターは、自分の知らないところで決まったこのことに反発するだろう。
そして教会も。

陛下を僕、ジークハルトが、わざわざ教会まで足を向けるのはその所為。
この国の王家にとって教会は、あまりよい印象はない。
教義に金の瞳を持つ一族は、異端のような扱いをされている。
まぁ、直接的な表現ではなく、ふんわりとだけど。

それでも、この世界では、唯一の神を信仰している世界。
教会は絶大な力を持っている。
その教会に反旗を翻すのは、世界に喧嘩を売るようなもの。

この国の王族は、教会にはあまりよい印象はないけれど、蔑ろにはできない。
複雑というか…少し不穏。



王家と、教会は本当に微妙な関係だな……と改めて思った。



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