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第二章 運命を壊す方法
30 のんびりした日
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今までの生に比べたら、平穏に過ぎていく日々。
のんびり始めるそんな日常。
お日様のぽかぽかしている暖かい小春日和。
今日は後宮の…僕の使っている場所には人が少ない日でもあった。
ジークハルトはお昼から。
午前中は、騎士の訓練があるとのこと。
陛下も近くの領主の農園へ視察があるので、ここには夜に来る日になっている。
そのため午前中の後宮には僕と専用の使用人のノルンとマールしかいない。
ノルンとマールは、二人とも、銀髪の青い瞳の綺麗な顔をしている。
二人は兄弟でノルンが兄でマールが弟。
僕よりノルンが3歳年上で、マールは1歳年上。
二人は、陛下が選んだ年は若いけれど信用できる人物だ。
いつものことだが、今日も家庭教師が来るのはジークハルトが来る午後から。
そんな日の僕の日課は温室の手入れをしている。
僕は、のんびりと、ノルンとマールの二人と温室の水やりを行っていた。
「では、ラスティ様は南側から水やりをお願いします。マールは北側の薬草の様子を見て?昨日虫がついてたところ。虫よけが効いているかの確認をして追加の対策をお願い。」
ノルンの指示に僕とマールは、はーいと答える。
温室ではノルンが僕の先生だ。
いや、薬学の先生と言った方がいいかな。
温室は、僕がいる後宮の奥の間の庭の隅にある。
庭と言ってもとても広くて、大きな温室が二つあっても普通にジークハルトと剣術出来るくらい。
いや…庭という表現がおかしいのかもしれない。
広いのだ。とにかく。
前世の学校のグラウンドかよ…というくらい広い。
あと…芝生しかない。
一周、400mくらいの…もしかしたらもっとあるかもくらいの…走り込みができるただ広いだけの庭。
昔はここに植木で迷路があったらしいけども、今は何もない。
前のお妃さま。
エスターの母が、ここにあった植木を庭師に命じて、全部抜いて売ってしまったらしい。
けっこう珍しくて高額で売れる樹だったようだ。
後宮のお金になりそうなものを根こそぎ売ったらしい。
陛下への嫌がらせも兼ねての、離縁した後の生活費のために。
そんなことしなくても生活費分くらいの離縁金は渡すつもりだったのだがと陛下はぼやいていた。
王宮のものも結構売ってたらしく議会で、離縁金は無しとなったとのこと。
というか…そこまでするって…庭師と駆け落ちでもしようとしてたのかな?
陛下曰く、前のお妃さまが売った物は不用品の方が多かったから逆に助かったとのこと。
必要なものは買い戻したらしいけども。
陛下も、お人好しというか…前のお妃さまのこと、政略結婚的に言ってるけど本当は結構好きだったのかな。
甘すぎないか?
なんか…ムカつくというか……。
い…いや、なんとも思ってない。
……べ…別にもやもやしてないし…嫉妬とかやきもちとか焼いてないぞ俺は。
陛下のことは、尊敬しているし好きだけど、そういう好きではないからな。
「ラスティ様、どうかしましたか?怒った顔で同じところに水やりしてますけど…」
ノルンの声に、はっとする。
「考え事してた…うわぁ…失敗しちゃった…」
目の前の、薬草が水浸しになっていた。
ぼんやり考え事をして同じところにだばだば水を流していた。
「もう…大丈夫ですよ。そこは水はけのよいところですから…でも気を付けてください。」
ノルンの苦笑まじりの言葉に肩を落とす。
「ごめんなさい…」
マールが、くすくすとノルンの横で笑っていた。
「むすっとして可愛かったですけど…陛下のことでも考えてました?浮気してないかな~とか。」
僕そんな顔してたの??と慌てる。
「ちがう…ちがうよ…そうじゃなくて……」
慌ててべ別の薬草に移動する。
そんな僕をノルンは苦笑しつつ、マールはニコニコと見守ってくれている。
見た目が体力がなさそうな僕なので、二人はいつも僕の体調を確認しつつ作業をしている。
結構体力はあるのだけれども…。
比べられる相手が、ジークハルトなのだからどうしても弱弱しく見られるようだ。
ジークハルトと体力つくりによく一緒に走ってるけど、結構キツイ。
いつもヘロヘロになって二人を心配させている。
体力の桁が違うジークハルトと走ってたらそれはそうなるって。
その所為で二人は、僕が体力無いって思ってるけど…ジークハルトが異常なんだからね。
何周走っても顔色一つ変えないジークハルトが怖い。
ちなみに、陛下もたまに付き合ってくれるけど、やはり何周走っても涼しい顔をしている。
くそう…ラスボス達め。
僕も見た目よりは走れるけども…あの二人からしたら全然だ。
思い出したらがっかりするので目の前の薬草の手入れに集中する。
さっきみたいに水浸しとか、薬草が可哀そうだし。
温室は広いし、世話する薬草も多い。
いま世話しているのは、回復役が作れる薬草。
匂いは、前世の世界でのミントに似ている。
味もスーッとする感じだから、余計にミントかな。
でもミントより苦みが強いかも。
温室が二つあるのは、草花系の薬草と果樹系のものとを分けているから。
果樹系は、まだ僕には世話が難しいので今はこちらだけ。
といっても、僕はまだまだ手際が悪い。
水やりついでに肥料とか、虫がついていないかとかを確認するから時間がかかる。
いつもはノルンが、一人でぱぱっと終わらせている。
けど、僕が手入れをしている日は、僕のペースに合わせてくれる。
僕の薬学勉強用だし。
ノルンとマールに説明されながら、手入れを行う。
「あ、その薬草は葉に水を当てないようにお願いします。枯れやすくなるので。」
僕は、ノルンの言葉に従って葉に水を当てないように慎重に水をやる。
…慎重すぎて、日が暮れますよと苦笑されることもあるけれど。
基本的には、ノルンとマールは僕のペースに合わせてくれていた。
午前中に僕が出来なかった分はいつも二人が片付けてくれるのは申し訳ない。
二人には負担をかけているのはわかっているのだ。
けど、この後宮では庭師は…縁起が悪いということで雇っていない…。
そのことを陛下が二人に謝っていたことがあるけど、二人はこういうことは好きだから大歓迎だと笑っていた。
なんだかんだと迷惑かけちゃってる…。
二人にはいつも感謝しかないんだ。
のんびり始めるそんな日常。
お日様のぽかぽかしている暖かい小春日和。
今日は後宮の…僕の使っている場所には人が少ない日でもあった。
ジークハルトはお昼から。
午前中は、騎士の訓練があるとのこと。
陛下も近くの領主の農園へ視察があるので、ここには夜に来る日になっている。
そのため午前中の後宮には僕と専用の使用人のノルンとマールしかいない。
ノルンとマールは、二人とも、銀髪の青い瞳の綺麗な顔をしている。
二人は兄弟でノルンが兄でマールが弟。
僕よりノルンが3歳年上で、マールは1歳年上。
二人は、陛下が選んだ年は若いけれど信用できる人物だ。
いつものことだが、今日も家庭教師が来るのはジークハルトが来る午後から。
そんな日の僕の日課は温室の手入れをしている。
僕は、のんびりと、ノルンとマールの二人と温室の水やりを行っていた。
「では、ラスティ様は南側から水やりをお願いします。マールは北側の薬草の様子を見て?昨日虫がついてたところ。虫よけが効いているかの確認をして追加の対策をお願い。」
ノルンの指示に僕とマールは、はーいと答える。
温室ではノルンが僕の先生だ。
いや、薬学の先生と言った方がいいかな。
温室は、僕がいる後宮の奥の間の庭の隅にある。
庭と言ってもとても広くて、大きな温室が二つあっても普通にジークハルトと剣術出来るくらい。
いや…庭という表現がおかしいのかもしれない。
広いのだ。とにかく。
前世の学校のグラウンドかよ…というくらい広い。
あと…芝生しかない。
一周、400mくらいの…もしかしたらもっとあるかもくらいの…走り込みができるただ広いだけの庭。
昔はここに植木で迷路があったらしいけども、今は何もない。
前のお妃さま。
エスターの母が、ここにあった植木を庭師に命じて、全部抜いて売ってしまったらしい。
けっこう珍しくて高額で売れる樹だったようだ。
後宮のお金になりそうなものを根こそぎ売ったらしい。
陛下への嫌がらせも兼ねての、離縁した後の生活費のために。
そんなことしなくても生活費分くらいの離縁金は渡すつもりだったのだがと陛下はぼやいていた。
王宮のものも結構売ってたらしく議会で、離縁金は無しとなったとのこと。
というか…そこまでするって…庭師と駆け落ちでもしようとしてたのかな?
陛下曰く、前のお妃さまが売った物は不用品の方が多かったから逆に助かったとのこと。
必要なものは買い戻したらしいけども。
陛下も、お人好しというか…前のお妃さまのこと、政略結婚的に言ってるけど本当は結構好きだったのかな。
甘すぎないか?
なんか…ムカつくというか……。
い…いや、なんとも思ってない。
……べ…別にもやもやしてないし…嫉妬とかやきもちとか焼いてないぞ俺は。
陛下のことは、尊敬しているし好きだけど、そういう好きではないからな。
「ラスティ様、どうかしましたか?怒った顔で同じところに水やりしてますけど…」
ノルンの声に、はっとする。
「考え事してた…うわぁ…失敗しちゃった…」
目の前の、薬草が水浸しになっていた。
ぼんやり考え事をして同じところにだばだば水を流していた。
「もう…大丈夫ですよ。そこは水はけのよいところですから…でも気を付けてください。」
ノルンの苦笑まじりの言葉に肩を落とす。
「ごめんなさい…」
マールが、くすくすとノルンの横で笑っていた。
「むすっとして可愛かったですけど…陛下のことでも考えてました?浮気してないかな~とか。」
僕そんな顔してたの??と慌てる。
「ちがう…ちがうよ…そうじゃなくて……」
慌ててべ別の薬草に移動する。
そんな僕をノルンは苦笑しつつ、マールはニコニコと見守ってくれている。
見た目が体力がなさそうな僕なので、二人はいつも僕の体調を確認しつつ作業をしている。
結構体力はあるのだけれども…。
比べられる相手が、ジークハルトなのだからどうしても弱弱しく見られるようだ。
ジークハルトと体力つくりによく一緒に走ってるけど、結構キツイ。
いつもヘロヘロになって二人を心配させている。
体力の桁が違うジークハルトと走ってたらそれはそうなるって。
その所為で二人は、僕が体力無いって思ってるけど…ジークハルトが異常なんだからね。
何周走っても顔色一つ変えないジークハルトが怖い。
ちなみに、陛下もたまに付き合ってくれるけど、やはり何周走っても涼しい顔をしている。
くそう…ラスボス達め。
僕も見た目よりは走れるけども…あの二人からしたら全然だ。
思い出したらがっかりするので目の前の薬草の手入れに集中する。
さっきみたいに水浸しとか、薬草が可哀そうだし。
温室は広いし、世話する薬草も多い。
いま世話しているのは、回復役が作れる薬草。
匂いは、前世の世界でのミントに似ている。
味もスーッとする感じだから、余計にミントかな。
でもミントより苦みが強いかも。
温室が二つあるのは、草花系の薬草と果樹系のものとを分けているから。
果樹系は、まだ僕には世話が難しいので今はこちらだけ。
といっても、僕はまだまだ手際が悪い。
水やりついでに肥料とか、虫がついていないかとかを確認するから時間がかかる。
いつもはノルンが、一人でぱぱっと終わらせている。
けど、僕が手入れをしている日は、僕のペースに合わせてくれる。
僕の薬学勉強用だし。
ノルンとマールに説明されながら、手入れを行う。
「あ、その薬草は葉に水を当てないようにお願いします。枯れやすくなるので。」
僕は、ノルンの言葉に従って葉に水を当てないように慎重に水をやる。
…慎重すぎて、日が暮れますよと苦笑されることもあるけれど。
基本的には、ノルンとマールは僕のペースに合わせてくれていた。
午前中に僕が出来なかった分はいつも二人が片付けてくれるのは申し訳ない。
二人には負担をかけているのはわかっているのだ。
けど、この後宮では庭師は…縁起が悪いということで雇っていない…。
そのことを陛下が二人に謝っていたことがあるけど、二人はこういうことは好きだから大歓迎だと笑っていた。
なんだかんだと迷惑かけちゃってる…。
二人にはいつも感謝しかないんだ。
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