不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第二章 運命を壊す方法

40 花瓶の花

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トリスティは、教会がいかに素晴らしいかを話し出した。
僕は、興味深く聞きながらエスターとリオンの最近の様子を考えていた。
ジークハルトが話してくれるエスターの話はあまり良いものではない。
最近は、まぁ…とか言葉を濁されることも多い。
その話がでないかなと思いながら、トリスティの話を聞く。

「そういえば…幼い頃に一度だけ…聖者様をお見掛けしたことがあります。とても可愛らしい方だなという印象でしたが…穏やかにお過ごしでしょうか…。」

僕が首をかしげてそう言うとトリスティは、ええとうれし気に話し出す。
いかに彼が優れていて賢者にふさわしいかという話だ。
けれど…若干違和感を感じた。
それは、トリスティの表情の中にわずかに嫌悪の表情が混ざること。

「素晴らしい方ですよ。…個人的な感情は考えなければですが。」

おや?とトリスティのその言葉に首をかしげる。
王宮は魔法厳禁。
スキルも無しだ。
私室ならばともかく、客間では使えない。
微妙な感覚を覚えつつも彼を、観察しつつハーブティを飲む。

「ああ、そうだ…先ほどのお詫びに私がお茶を入れても良いですか?」

ノルンが眉を寄せた。
僕は、来たなと思いつつもにっこりと微笑む。

「トリスティ様は、お客様ですから。」

やんわりと断ろうとするが、いえいえと少し強引に茶器をもって彼は立ち上ってしまう。
少し離れたところで宰相と魔術師長は少し打ち解けたのでしょうかと言っているのが聞こえた。
ジークハルトは、多少不信に思ったのだろう。
眉を寄せていた。

僕は彼の行動を見て案の定、やっているなと思った。
薬学を勉強した成果だなと思いつつもどう回避するか考える。

トリスティは、ここに危険なものは持ち込めない。
だから、彼が僕が仕返しするならどうするだろうかと考える。
まずは、僕に直接暴力を…これはない。
横にジークハルトがいるし、王宮でそんなことはしないだろう。

彼は、知能犯のというのだろうか…。僕を害するならば毒や闇討ちなどの方向だ。
ここでは、毒もないし、闇討ちすることもできない。
でも、嫌悪感Maxだろう彼が、僕に多少なりとも嫌な思いをさせられて、何もしないということも考えにくい。

本当にこの部屋には何もないのか。
そう考えた時に、僕の眼に入ったのは花瓶に入った花。
大きな華やかな花の中にある白い花…形はベルがいっぱいくっついているような感じ。
あれは…有毒の花だ。
生だと葉に毒がある。
トリスティは、ノルン達をよけるふりをしてその花に近づいた。
彼が通り過ぎてから僕は今一度その花を見る。

花の数が減っている。
そういえば、花の方は熱を加えると毒性を強めるのだったか。
たいして減っていないが、神経系の毒だ。
多量に摂取すると心臓が止まる。
まぁ、解毒剤のある毒だし量的にお腹を壊すくらいか。

ただ、遅効性の毒だから残念なから彼の仕業と中々証明できそうにない。
なら飲むふりでもして、あとで調べるほうがいいかとぼんやりと思う。
彼の入れたお茶に毒が含まれていた…と抗議するほうか…。
でも、現行犯でないと言いがかりだって言われるだけかな。

ノルンとマールがじっと見つめているが、彼の動きを不信には思っていないようだ。
うーんと考えていると彼は僕の前にハーブティを置いた。
機嫌のよさそうな笑顔で、どうぞと言った。

「ええ、ありがとう。」

一応口をつけるふりでもするかな?と思って茶器を見た時だ。
宰相が声を上げた。

「お待ちください!!ラスティ様。」

おや?と首をかしげる。
彼の視線は僕の目の前の茶器をにらんでいる。
ふと気が付くと、ノルンとマールも…ジークハルトも茶器を見ていた。
僕が首をかしげると、宰相がトリスティの横に立つと彼の胸倉をつかんだ。

「お前は…なんてことをしたんだ!!!」

いきな怒鳴られてトリスティは、目を丸くしている。
ジークハルトが、首を横に振った。
そして、低い声で威嚇するように言った。






「これは…悪戯ではすみませんよ?トリスティ…」





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