不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第四章 波乱の学園生活

84 お見舞いと付き添い

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「ジークの様子をみてくるか…。」

陛下も気になるのだろう。
ジェン公も頷く。

「俺はジークに付き添うぞ。いいよな。」

ジェン公の言葉に陛下は当たり前だと頷いた。

「ああ、けど、お前明日の公務はどうする気だ?休むか?」

数日くらいはフォローしてやれるがという陛下にジェン公は少し考えてから首をかしげた。

「明日の結果次第としてくれ。徹夜はなれているから一日くらいは問題ないが…ジークの状態次第だな。」

陛下はそうかと頷く。

「別にお前とラスティを信用していないというわけではないからな?」

ああと陛下は頷いた。

「わかっているさ。万が一は考えるのは当たり前だ。それに回復力を活性化させたとしても即治るとは限らない…」いや…時間は必要だろう。急激に治して別の後遺症が出ても困る。」

そうだなとジェン公は頷く。

「どちらにしても…多少はリハビリは必要になるだろう?」

たぶんなと陛下は頷く。

「すこしくらいは傍にいてやれ。」

ジェン公は少し気まずそうにうんと頷く。
どうしたのだろうと僕が首をかしげるとジェン公は少し戸惑ったが口を開いた。

「バルに負けてジークを産んだ後少しの間、ジークをバルに押し付けて家に帰ったことがあってな…。バルが一人でしばらくはジークを育てていたんだ。やっぱり…悔しかったし…結局戻ったんだが…すぐに下の子が出来てな…ジークを俺はあまり育てていないんだ。小さい頃は無表情だったし、何か欲しいとかも言わない子だし、下の子達ばかり気にかけていたような感じだったから…ジークはバルにべったりになってしまったんだ。」

陛下は肩をすくめる。

「ジークハルトは気にしていないが…ジェンは生まれたばかりのジークをバルに押し付けて実家に帰ったことでジークに対して申し訳ないとずっと思っているんだ。その所為で、ジークには一歩引いている感じになって余計に、ジークに気を使われるし、バルのほうにジークは行ってしまうし…といつも愚痴られるんだよ。」

ジェン公は頬を膨らませた。

「いうなよ…まぁ…そうだけど。それにジークのやつ俺のこと問題児あつかいするし…」

陛下は肩をすくめる。

「実際問題児だろうが。」

陛下とジェン公の言い合いを聞きつつ廊下を歩く。
ジークハルトの部屋の前についた。

「はいるよ、ノルン」

僕が声をかけると中からはいという返事が返ってくる。
僕は、そっと扉を開けて中に入る。
陛下とジェン公もそっと部屋に入った。
ノルンが、ジークハルトの汗を拭いているところだった。
ジェン公がノルンの肩に手を優しく置いた。

「悪いね。ノルン、あとは私がやるから君も宿題やなにやらあるだろう?」

ジェン公は、ノルンと交代でジークハルトにつきそうという。
ノルンは、少し戸惑ったが僕の方を見た。
ジークの世話をしたいとノルンは言っていたけれども…やっぱりここは譲るべきだろうと思う。
僕が頷くとノルンはそうですねと小さく呟いた。
それからノルンは、ジェン公を見て微笑む。

「はい。」

ノルンは、立ち上るとジェン公に椅子をすすめる。
ジェン公は礼を言いながら、その椅子に座った。

「ノルン、つかれただろう。明日は悪いけど君たちも学園を休みにしているからゆっくりしてくれ。」

陛下の言葉にノルンは、はいと頷く。

「今日はしっかり眠るんだよ。ジェンが公務の時には…悪いけどノルンにジークを任せることになる。そのためにもしっかり休んでほしい。今日はお疲れ様。」

陛下の言葉にノルンは軽く目を見開いた。
ノルンは、少し誇らしげに、はいと頷いた。

「それでは、失礼いたします。ラスティ様、はやく寝るのですよ?」

ノルンの言葉にうんと頷く。

「おやすみなさい。」

笑顔でノルンは挨拶してから部屋を出て行った。

「ノルンは…強いですね。」

こういう時でも笑顔で頑張れる人はすごいなと僕は思う。
陛下もそうだねと微笑んだ。
ノルンだって不安だろうにと思っているとジェン公がジークハルトの頭をなでていた。
少しだけ嬉しそうなジェン公に首をかしげる。

「うん?ラスティ、どうした?不思議そうな顔をして。」

僕は少し戸惑ったが正直に言うことにした。

「なんとなく…ジェン様が嬉しそうに見えたので。」

僕の言葉にジェン公は少し困った顔をした。

「不謹慎だけど…ジークハルトの傍にいることができるということがうれしいんだよ。」

ジェン公は優しくジークハルトをなでる。

「この子は…しっかりしているだろう?だから私たちはすごく助かっている。でも…さっきも言ったけど…この子に甘えて放置していた。ラスティと出会ってからは特に…安心している。この子はいつも楽しそうだったし、でも…罪悪感はやっぱりあったんだ。」

ジェン公は、寂し気につぶやく。

「あっという間に16歳だ…親らしいことなんてあまりできていないのに…もうすぐ成人してしまう。私の手などもう必要としていないだろう。こんな風にこの子を見守ることなんて…もしかしたら私は…初めてかもしれないし、最後かもしれない。だから、こうやって…傍にいることができる時間が少しうれしいと思ってしまうんだ。」

ジェン公は少し悪戯っぽく微笑む。

「もちろん、治すことのできる可能性があるからだよ?そうでなければ、こんなに落ち着いていない。犯人の子をとりあえずぶちのめしてた。」

ジェン公は、僕の頭を優しく撫でた。
月明かりに照らされたジェン公は、ジークハルトにそっくりでやっぱり親子なんだなと僕は思う。

「そろそろ、寝なさい。」

ジェン公に言われて頷く。

「お前も、いい加減寝ろよ?」

陛下が、ジェン公に微笑んだ。

「ああ、眠たくなったらジークハルトのベットに潜り込んで寝る」

ジェン公は楽し気に笑った。

「おやすみなさい。」

僕は、ジェン公とジークハルトにそう挨拶して僕と陛下は部屋を出た。

「まったく…素直じゃないよなぁ…」

陛下はそう言って苦笑していた。

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