不遇王子は、何故かラスボス達に溺愛される。

神島 すけあ

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第七章 終わりという名の始まり

201 ラスボスどっちがやる?

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しばらく、僕がうずくまっているとアスがバスケットをもって僕の所にやって来た。
何故かアスの後ろにはノルンがいる。

「えっと…なんで?」

ノルンはにっこりと微笑む。

「私は、ラスティ様の従者ですから。マールは今は隠れて地上で王城の様子をうかがっています。」

流石に陛下に呆れたのでとアスから話を聞いたとノルンはため息をついた。

「私も今回はちょっとアス様に賛成です。陛下はヘタレすぎですし。」

ふんとノルンは言うと手際よくバスケットの中からサンドイッチを取り出して僕に持たせた。
アスは、ノルンの横にちょこんと座るとふふんと胸を張った。

「僕は間違っていないからね!」

僕は、苦笑しつつサンドイッチを頬張った。
もぐもぐと食べつつこれからどうしようかと考えているとアスは、空を見つめてからにやりと笑った。

「マールがこっちに来るって言ってる。さて…どうしようかなぁ。僕達だけだから、陛下が本気になったらすぐ攻略されちゃうよね。」

ノルンは、まぁそうですよねぇと頷く。

「バルハルト公とジェン公は買収済みです。ここに来るのは、トリスティ、ロイス、ジーク様と陛下でしょうね。竜様達のお力を借りる気は無いのでしょう?」

うんとアスは頷いた。

「陛下が暴走してたら他の子は危ないよ。マールとノルンだって危ないでしょ?」

ノルンは、そうかもしれませんねぇと頷く。
少し楽し気な、少し意地悪そうな笑みを浮かべてノルンは笑っている。

「まぁ…まずは、地上でリオンとエスター様達が一戦してくれるようですけれどね。」

アスは、ノルンを見て首をかしげる。
どうやらアスはそのことを知らなかったようだ。

「なんで?」

ノルンは、にっこりと微笑む。

「陛下に少しばかり頭を冷やしてもらうのと…エスター様と一度くらい親子喧嘩してもらっておくのも必要かなと思いまして。」

僕は眉を寄せる。

「でも…陛下は…」

アスは、それはたぶん大丈夫だろうと苦笑した。

「世界の主が変わったから、陽の欠片の作った運命は僕は採用していない。純粋な力比べになるだろう。ロイスとトリスティが陛下側なら、万が一陽の欠片のルールが残っていたとしても条件から外れる。」

ノルンがええと頷く。
手際よくノルンは紅茶を入れながら、アスを見た。

「とはいえ、そこでは脱落者はでないでしょうけれど。」

軽くのされて終わっるでしょうねとノルンはため息をつく。
そこでですよとノルンは微笑む。

「アス様、私とどちらが最後になりますか?」

アスは目を丸くしてからそうだねぇと頷く。

「うーん…マールが先陣切るって言ってたからそこでトリスティは脱落するよねぇ。」

ノルンは、ええと頷く。

「マールでは足止めにはなりませんですけれど…トリスティはマールのために残るでしょう。まぁ…そこで残っていなかったら私が本気で彼をつぶしますけれども。そんな薄情な男に弟はやれませんし。」

アスは、少し考える。

「まぁ…僕がラスボスしないと恰好つかないかなぁ。ただ、僕は本来は陛下の使い魔だから、陛下がその気になったら一気におしまいになるからなぁ…」

うーんと考えるアスにノルンは、大丈夫ですよと微笑む。

「陛下が戦えないと悩む確率が高いのはアス様ですから、そこは大丈夫かと思うのですが…アス様の場合だと…ジーク様が本気を出しそうですし…」

アスは眉を寄せる。

「ジークの本気で僕瞬殺なのでは?」

アスの言葉に、ノルンはそっちではないと思いますとため息をつく。

「そうですね…やはり私がマールの次に行って…ジーク様の心は折っておきましょうか。ロイスくらいは足止めできるとは思いますけど、陛下はラスティ様に向き合っていただかないとなりませんし、ジーク様の心は折れても足止めは難しいでしょうね。」

アスはふむぅと眉を寄せる。

「どこで迎え撃とうかなぁ。やっぱり悪い人~みたいなおどろおどろしいところで~」

ノルンはここでいいでしょうと首をかしげる。

「ここでラスティ様とアス様はキャッキャウフフしててください。一番きついと思いますから。」

そういうノルンの目はかなり座っている。
アスは、そういうもの?と首をかしげる。
僕は、無邪気なアスを撫でつつ想像してみた。

例えば、立場が逆で陛下とアスを迎えに行くと仮定して、僕が皆とノルン達に怒られつつなんとかここにたどり着いてみる光景が陛下とアスがキャッキャウフフしてたら…まぁ心折れるかもしれないな。

色々な意味で。

「…逆効果ではないかな?」

僕の言葉にノルンはそんなことはないと首を横に振った。
まぁいいかと僕はどこか投げやりに思いつつ頷く。

「僕がラスボスでもよくない?」

弱いけども。
と僕がいうとアスは首を傾げた。

「え?なら陛下何をするためにここに来るの?ラスティ取り戻すために来るんだよ?」

アスは口をとがらせる。

「僕みたいな陛下が切り捨てても平気な存在ではラスティは無いんだから。ラスボスはラスティは出来ないよ?」

アスの後ろでノルンが肩をすくめている。
まぁ、正直ここにいるメンバーでラスボスを出来るものはいないだろう。

とりあえず、僕は陛下が来たら陛下から離れる覚悟は決めないとならないのだろうなとため息をついた。
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