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36『召喚士の習性』の書
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"転生者"の人身売買で一番邪魔になる存在って誰だと思います?
誘拐した後の"召喚士"が厄介なんですよ…。
売買が成立しても取り返しに来られたら大問題でしょ?
事件の悪党はねぇ、調査院と管理院が査定に来る前に"召喚士"を殺しに訪れてます。えぇ必ず。
傷心による自害に見せ掛けての犯行っすね!
それが出来るのはぁ、全く怪しく見えない『世界管理士』なんですよね~。職権悪用で悪巧みに加担してるとか、シカトできませんでしょ?
「仕事はサボりたい一心ですがぁ、もし加護様が被害に遭われたらと思うと居ても立っても。愛は力っすね~♪」
無駄なく迅速。
ヘラヘラ笑いながら、千手は元より疑いを掛け見張っていた世界管理士を追い詰めると、早々と簀巻きにしていく。
世界管理士がこっそり隠し持っていた毒針は回収されていた。
「千手様…。何度も言うが、私は被害に遭っても殺されたりはしないよ」
「えーえー。護る必要がないくらい強いの、身に染みて知ってますぅ。けど、嫁は心配したい生き物なんす!自由に心配したいのっ」
世界管理士を縛り終え「一丁上がり!」パンパンと手を叩く千手。
チラリと初老の召喚士に視線を向けると、
「ワシは助けて欲しいとも護って欲しいとも思わなかったがな。死んでも構わん。
うちの"転生者"も、不器用だが正義には生真面目だ。神隠しだか誘拐だか知らんが、悪党に捕まっても正々堂々としてるだろうよ。
煩いワシから逃げ出したのも分かりきっておる。勇者になんてなりたくないと言い張っておったからな!アンクレットも切れた、もう勝手に生きろ…心配もせん」
ぷいっと横を向いた。
すると、
話の間に間によちよちと遊び歩いていた未来が横を向く召喚士の傍で転びそうになる。
すぐに皺が刻まれた手が「危ないぞ!」と救い上げていた。"召喚士"の習性だ。
「"転生者"を心配しない召喚士は存在しない。逆に"召喚士"を想わない転生者もいない。私は、そのどちらでもあるから言えるのだが」
未来を引き受けながら言葉を置く。
主観で物申すには頼りない若輩者だが、世界には愛着ばかりが増すものだから。
「ふん、甘い想像力だ!そう言い切る自信があるのなら…お前さん、うちの"転生者"を見て来い。きっとワシの事など忘れてるぞ?落胆するだろうよ」
私は「…承知した」と応えた。
千手に視線を向けると頷かれる。いつの間にか、千手の肩には魔法生物のフェレットが乗っていた。
「もうすぐ調査院から人員が手配されます。此処はこのままにして出掛けましょ~。加護様と一緒に行動するだけでオレ、めっちゃ頑張れる♪テンション爆上がりっす!」
どさくさ紛れ、抱き付かれてスゥハァと匂いを嗅がれた。良い匂いでもするのだろうか?
いつもながら謎に包まれる行為だが、千手が満ち足りた顔をしているので…されるがまま黙した。
誘拐した後の"召喚士"が厄介なんですよ…。
売買が成立しても取り返しに来られたら大問題でしょ?
事件の悪党はねぇ、調査院と管理院が査定に来る前に"召喚士"を殺しに訪れてます。えぇ必ず。
傷心による自害に見せ掛けての犯行っすね!
それが出来るのはぁ、全く怪しく見えない『世界管理士』なんですよね~。職権悪用で悪巧みに加担してるとか、シカトできませんでしょ?
「仕事はサボりたい一心ですがぁ、もし加護様が被害に遭われたらと思うと居ても立っても。愛は力っすね~♪」
無駄なく迅速。
ヘラヘラ笑いながら、千手は元より疑いを掛け見張っていた世界管理士を追い詰めると、早々と簀巻きにしていく。
世界管理士がこっそり隠し持っていた毒針は回収されていた。
「千手様…。何度も言うが、私は被害に遭っても殺されたりはしないよ」
「えーえー。護る必要がないくらい強いの、身に染みて知ってますぅ。けど、嫁は心配したい生き物なんす!自由に心配したいのっ」
世界管理士を縛り終え「一丁上がり!」パンパンと手を叩く千手。
チラリと初老の召喚士に視線を向けると、
「ワシは助けて欲しいとも護って欲しいとも思わなかったがな。死んでも構わん。
うちの"転生者"も、不器用だが正義には生真面目だ。神隠しだか誘拐だか知らんが、悪党に捕まっても正々堂々としてるだろうよ。
煩いワシから逃げ出したのも分かりきっておる。勇者になんてなりたくないと言い張っておったからな!アンクレットも切れた、もう勝手に生きろ…心配もせん」
ぷいっと横を向いた。
すると、
話の間に間によちよちと遊び歩いていた未来が横を向く召喚士の傍で転びそうになる。
すぐに皺が刻まれた手が「危ないぞ!」と救い上げていた。"召喚士"の習性だ。
「"転生者"を心配しない召喚士は存在しない。逆に"召喚士"を想わない転生者もいない。私は、そのどちらでもあるから言えるのだが」
未来を引き受けながら言葉を置く。
主観で物申すには頼りない若輩者だが、世界には愛着ばかりが増すものだから。
「ふん、甘い想像力だ!そう言い切る自信があるのなら…お前さん、うちの"転生者"を見て来い。きっとワシの事など忘れてるぞ?落胆するだろうよ」
私は「…承知した」と応えた。
千手に視線を向けると頷かれる。いつの間にか、千手の肩には魔法生物のフェレットが乗っていた。
「もうすぐ調査院から人員が手配されます。此処はこのままにして出掛けましょ~。加護様と一緒に行動するだけでオレ、めっちゃ頑張れる♪テンション爆上がりっす!」
どさくさ紛れ、抱き付かれてスゥハァと匂いを嗅がれた。良い匂いでもするのだろうか?
いつもながら謎に包まれる行為だが、千手が満ち足りた顔をしているので…されるがまま黙した。
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