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次の日、皆はハイキングに行くらしい。
あたしは留守番。熱を出したって事になってるから急にはしゃいじゃったらおかしいもんね。
兄様は残るって言ってきかなかったけど、あんまり妹べったりだと気持ち悪いよ、って言ったら渋々皆と出かけてくれた。
せっかく遊びに来たのにあたしのおもりばっかりじゃ申し訳ない。
ちょっと一人になりたかったし。
エディはバネッサを見ていた。
バネッサはメガネとソバカスが無くなっただけなのに、とても魅力的な女の子になった。
真っ赤な巻き毛に大きな黒曜石の瞳。
「サラ、世界が輝いているわ!」
バネッサも輝いている。
とてもいい事をしたはずなのに、心には小さなシミが出来てしまったみたい。
そのシミはシクシクと微かに痛い。
遠ざかる後ろ姿達の中で、エディは少しずつバネッサに歩みよって行った。
気がついたら部屋のベッドの上で泣いていた。
あたしはバカだ。
記憶力がよくなって成績もよくっても、バカはバカのままだった。
エディが幸せならそれでいいなんて。
そんなの綺麗事。
心のどこかでエディは運命の恋人だから、出会ったらきっとまた恋に落ちてしまうなんて思ってた。
あたしには思い出があるけれど、エディの思い出はこれから作られていくんだ。
あたしでは無い別の人と!
嫌だ!
あんなにあたしを愛しているって言ったじゃない!
抱きしめてキスもしたじゃない!
なんであたしじゃないの?
「嫌っ…嫌だぁ…うっうっ…うぁぁぁぁ。」
どうしたらいいんだろう。
今からでもエディが好きって告白する?
そんな事したってエディの心にはもうバネッサがいる。
あたしは橫入りする嫌な女になってしまう。
でもあたしはエディの事なら何だって知ってるわ。好きな事や好きな食べ物、好きな場所。デートの時は必ずあたしの右側で、あたしを見る時はちょっと目を細めて優しく笑うの。雨の日は髪がクルクレするから嫌いで、晴れの日は何かに急かされている気がして嫌い。薄曇りの空は優しいから好きなの。他にも…他にも…全部あたしだけが知ってたの!なのに!
「うわぁぁぁぁん。」
苦しい。
好きな人が他の人を好きになるのがこんなに苦しいなんて。
最初からわかってたのに、どこかで期待していた。結ばれなくてもあたしを愛してくれたらそれでいいなんて。
なんてバカなの。
「うっ、うっ、ううっ。」
諦めなくちゃ。
そう決めていたじゃない。
「あ…あの、大丈夫?」
!
何っ!誰っ?
顔をあげると、
「だ、第二王子殿下!」
「ごめん、ノックしたんだけど、泣き声がしたからどこか苦しいのかと思って。」
「大丈夫じゃないっ!
こんなの見られて大丈夫なわけないじゃないっ!
うわぁぁぁぁん!」
「ごめん!」
第二王子殿下は王様に頼まれて声をかけに来たんだって。
「大事をとって皆と行かなかったって聞いたから、父上が良かったら話し相手になってくれないかって。」
「ヒック…ヒック…もったいない事でございます。ヒック。」
自分に治癒魔法をかけた。
目の腫れと同時に心も少し落ち着く。
「失礼がないよう、身支度をしてからお伺いいたしますと、お伝え下さい。」
「あ、ああ。」
侍女に手伝ってもらい昼用のドレスに着替えた。
あー参ったな。変な所見られちゃった。
あたしは留守番。熱を出したって事になってるから急にはしゃいじゃったらおかしいもんね。
兄様は残るって言ってきかなかったけど、あんまり妹べったりだと気持ち悪いよ、って言ったら渋々皆と出かけてくれた。
せっかく遊びに来たのにあたしのおもりばっかりじゃ申し訳ない。
ちょっと一人になりたかったし。
エディはバネッサを見ていた。
バネッサはメガネとソバカスが無くなっただけなのに、とても魅力的な女の子になった。
真っ赤な巻き毛に大きな黒曜石の瞳。
「サラ、世界が輝いているわ!」
バネッサも輝いている。
とてもいい事をしたはずなのに、心には小さなシミが出来てしまったみたい。
そのシミはシクシクと微かに痛い。
遠ざかる後ろ姿達の中で、エディは少しずつバネッサに歩みよって行った。
気がついたら部屋のベッドの上で泣いていた。
あたしはバカだ。
記憶力がよくなって成績もよくっても、バカはバカのままだった。
エディが幸せならそれでいいなんて。
そんなの綺麗事。
心のどこかでエディは運命の恋人だから、出会ったらきっとまた恋に落ちてしまうなんて思ってた。
あたしには思い出があるけれど、エディの思い出はこれから作られていくんだ。
あたしでは無い別の人と!
嫌だ!
あんなにあたしを愛しているって言ったじゃない!
抱きしめてキスもしたじゃない!
なんであたしじゃないの?
「嫌っ…嫌だぁ…うっうっ…うぁぁぁぁ。」
どうしたらいいんだろう。
今からでもエディが好きって告白する?
そんな事したってエディの心にはもうバネッサがいる。
あたしは橫入りする嫌な女になってしまう。
でもあたしはエディの事なら何だって知ってるわ。好きな事や好きな食べ物、好きな場所。デートの時は必ずあたしの右側で、あたしを見る時はちょっと目を細めて優しく笑うの。雨の日は髪がクルクレするから嫌いで、晴れの日は何かに急かされている気がして嫌い。薄曇りの空は優しいから好きなの。他にも…他にも…全部あたしだけが知ってたの!なのに!
「うわぁぁぁぁん。」
苦しい。
好きな人が他の人を好きになるのがこんなに苦しいなんて。
最初からわかってたのに、どこかで期待していた。結ばれなくてもあたしを愛してくれたらそれでいいなんて。
なんてバカなの。
「うっ、うっ、ううっ。」
諦めなくちゃ。
そう決めていたじゃない。
「あ…あの、大丈夫?」
!
何っ!誰っ?
顔をあげると、
「だ、第二王子殿下!」
「ごめん、ノックしたんだけど、泣き声がしたからどこか苦しいのかと思って。」
「大丈夫じゃないっ!
こんなの見られて大丈夫なわけないじゃないっ!
うわぁぁぁぁん!」
「ごめん!」
第二王子殿下は王様に頼まれて声をかけに来たんだって。
「大事をとって皆と行かなかったって聞いたから、父上が良かったら話し相手になってくれないかって。」
「ヒック…ヒック…もったいない事でございます。ヒック。」
自分に治癒魔法をかけた。
目の腫れと同時に心も少し落ち着く。
「失礼がないよう、身支度をしてからお伺いいたしますと、お伝え下さい。」
「あ、ああ。」
侍女に手伝ってもらい昼用のドレスに着替えた。
あー参ったな。変な所見られちゃった。
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