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二人きりで話しをしている所をヴァイオレットに見つかってしまった。
「サラと話をしていただけだけど?」
ヴァイオレットは怪訝そうにあたしを一瞥して、
「クローディア様が探してらしたわ。
側近の方々もどこにいるかわからないって言うから私も探しましたのよ?」
「それは悪かったね。
父上がサラと話したいって言うから呼びにいって、今は部屋まで送っていく途中だ。
君は皆とハイキングには行かなかったの?」
エディの婚約者なのに、いつもそう。別行動ばかりとっている。
「私はクローディア様の話し相手にここに残りました。」
ヴァイオレットのチラチラ見る視線が痛い。
「あ、あの、私はもうここでけっこうですので行って下さい。
でわっ!」
逃げよう。
「あっ、サラ!」
やだやだ、ヴァイオレット怖い。
そうだった、エディだけじゃなくてジュリアス殿下にも近寄っちゃダメだったんだ。
あれ?でもこのまま王様がお元気でエディもちゃんとしてて皇太子のままだったらヴァイオレットはどうするんだろう?
ジュリアス殿下に乗り換えるとしたら皇太子妃にはなれない。でも愛があるからいい?そんな感じの人じゃないよね?
どっちを選ぶんだろう?
考えてもわかんないや。
エディとバネッサは日を重ねるにつれ、目に見えて仲良くなっていった。
きっともう恋は始まっている。
今度はバネッサの為に婚約破棄するのかな。
でも今のエディは後先考えない人じゃない。
バネッサは護衛のアーサー様の妹だから、きっとアーサー様も窘めるはず。兄様だって諭すだろう。
そしたらバネッサは側妃になるのかもしれない。普通に考えたらそうだ。
宰相の娘との婚約破棄なんてよっぽどヴァイオレットに非が無いとできない。
ヴァイオレットはいけすかない娘だけど完璧な令嬢だからそんなの無理だもんな。
今日もエディはバネッサと話してばかりだ。
お茶会での二人の席は遠い。
もう一人の護衛のミカエル様の妹のルイスは、
「はーっ、嫌になっちゃうわね。
あんなに仲のいい所見せつけられちゃ、羨ましくない?」
「え、ええ。」
「それにバネッサがあんな美人だったなんてびっくりよね。
恋したら綺麗になるって本当だったんだ。」
「そうね。」
そうか、メガネとソバカスが無くなっただけじゃなかったんだ。
「ねえ、私、サミュエル様を狙っているんだけど、取り持ってくれない?」
「え?」
兄様達は三人で集まって話をしている。
あたしが見るとにっこり笑った。
「やーん、ステキっ!
笑顔がたまんない。
ねっ、お願い。私達が結婚したらあなたは私の妹よ。悪いようにはしないわ。」
そっか。
兄様もいつかは結婚しなきゃいけない。
ルイスならあたしに意地悪したりしないだろうし、母様を蔑ろにしたりもしないだろう。
「サラと話をしていただけだけど?」
ヴァイオレットは怪訝そうにあたしを一瞥して、
「クローディア様が探してらしたわ。
側近の方々もどこにいるかわからないって言うから私も探しましたのよ?」
「それは悪かったね。
父上がサラと話したいって言うから呼びにいって、今は部屋まで送っていく途中だ。
君は皆とハイキングには行かなかったの?」
エディの婚約者なのに、いつもそう。別行動ばかりとっている。
「私はクローディア様の話し相手にここに残りました。」
ヴァイオレットのチラチラ見る視線が痛い。
「あ、あの、私はもうここでけっこうですので行って下さい。
でわっ!」
逃げよう。
「あっ、サラ!」
やだやだ、ヴァイオレット怖い。
そうだった、エディだけじゃなくてジュリアス殿下にも近寄っちゃダメだったんだ。
あれ?でもこのまま王様がお元気でエディもちゃんとしてて皇太子のままだったらヴァイオレットはどうするんだろう?
ジュリアス殿下に乗り換えるとしたら皇太子妃にはなれない。でも愛があるからいい?そんな感じの人じゃないよね?
どっちを選ぶんだろう?
考えてもわかんないや。
エディとバネッサは日を重ねるにつれ、目に見えて仲良くなっていった。
きっともう恋は始まっている。
今度はバネッサの為に婚約破棄するのかな。
でも今のエディは後先考えない人じゃない。
バネッサは護衛のアーサー様の妹だから、きっとアーサー様も窘めるはず。兄様だって諭すだろう。
そしたらバネッサは側妃になるのかもしれない。普通に考えたらそうだ。
宰相の娘との婚約破棄なんてよっぽどヴァイオレットに非が無いとできない。
ヴァイオレットはいけすかない娘だけど完璧な令嬢だからそんなの無理だもんな。
今日もエディはバネッサと話してばかりだ。
お茶会での二人の席は遠い。
もう一人の護衛のミカエル様の妹のルイスは、
「はーっ、嫌になっちゃうわね。
あんなに仲のいい所見せつけられちゃ、羨ましくない?」
「え、ええ。」
「それにバネッサがあんな美人だったなんてびっくりよね。
恋したら綺麗になるって本当だったんだ。」
「そうね。」
そうか、メガネとソバカスが無くなっただけじゃなかったんだ。
「ねえ、私、サミュエル様を狙っているんだけど、取り持ってくれない?」
「え?」
兄様達は三人で集まって話をしている。
あたしが見るとにっこり笑った。
「やーん、ステキっ!
笑顔がたまんない。
ねっ、お願い。私達が結婚したらあなたは私の妹よ。悪いようにはしないわ。」
そっか。
兄様もいつかは結婚しなきゃいけない。
ルイスならあたしに意地悪したりしないだろうし、母様を蔑ろにしたりもしないだろう。
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