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卒業パーティーには卒業生の親族も招かれる。
今年は第一王子がいるもんだから王様も来るってんですっごい豪華だ。
家からは父様とあたしが出席する。
アーサー様は妹のバネッサをパートナーとして伴っている。
修羅場ったりしなきゃいいけど。
バネッサは美しさに磨きがかかり、パーティーではますます華やかになった。
ヴァィオレットはキレイだけど、どこか冷たい印象でエドウィン殿下と並ぶとまるで光と影のように見える。
バネッサの事はもう社交界でも有名でエドウィン殿下の恋人として知られている。きっとご結婚と同時に側妃として後宮にあがるのだろうと。王族の結婚では珍しくはない。
バネッサが人に知られるようになって囁かれるもう1つの噂。
それはトスカリナ伯爵家の悲劇。
トスカリナ伯爵は清貧を好み、私財は最低限しか持たず、出来る限り慈善事業に尽くした人だった。
王家からの信頼も厚く、政務官として仕えていた。
当時の噂では次の宰相となるのではないかと言われていた。
だがある日、そんな伯爵家に盗賊が押しいった。
夫妻を殺し、金目の物を盗み、邸に火を放ったのだ。
裕福ではない伯爵家に盗賊が入るのもおかしいとおもわれたが、警備が甘く、実は溜め込んでいたのではないかと囁かれた。
トスカリナ伯爵に代わって宰相の地位についたのがアルテモーゼ侯爵。
この両家の因縁が今もこのような形で続いていると噂されている。
トスカリナ伯爵の死因についてはアルテモーゼ侯爵が関わっているのではないかとの疑惑も浮かんだが、両家の力関係を見れば殺害してまでその地位を手に入れなくてもいくらでも方法はあるということで深く調べる必要は無いとされた。
すっかり世間から忘れられていた事件が今また人々をざわつかせている。
まあそんな事は気にもしてないエドウィン殿下は今日もご機嫌でバネッサにべったりだ。
ヴァィオレットとは真逆の真っ赤な巻き毛はバラが咲いたように華やかで、殿下と並ぶと極彩色の絵画のようだ。
そんな中、また来たよ。国王陛下が。
お決まりの挨拶を終えると、
「良き日を共に祝える事を嬉しく思うぞ。
サラを借りて良いかな?」
駄目だとは言えるはず無いじゃない。
あたしの手をとりホールの中央まで進み出て踊り始める。
やっぱりお上手で踊りやすい。
「あのぉ、お誘いいただけるのは嬉しいんですけど、なんで?」
国王陛下が近しい人以外と踊ることは無い。
それは政治的な憶測を生んだり、じゃなかったら陛下のお気に入りって事になる。こっちのほうが多い。んで、愛人?側妃?って話になるんだよ?
「可愛いからに決まっておるだろ?」
「いや、それまずいっしょ?」
「この間襲われたらしいじゃないか。わしのお気に入りって知らしめておけば迂闊に手は出されんぞ?」
「いや、逆っしょ?新たな敵を作りますよ。」
「そうか?」
「そうよ。」
「うーむ、じゃがクリフトフを譲った事でもうお気に入りって事は周知の事実だぞ?」
「あー…そっか。」
「まあ、なるようになるじゃろ。」
「だねー。」
陛下とは時々会ってるから二人だけならもう気楽な友達みたいになってる。
さすがエディの父上。あたしとは気が合う。
今年は第一王子がいるもんだから王様も来るってんですっごい豪華だ。
家からは父様とあたしが出席する。
アーサー様は妹のバネッサをパートナーとして伴っている。
修羅場ったりしなきゃいいけど。
バネッサは美しさに磨きがかかり、パーティーではますます華やかになった。
ヴァィオレットはキレイだけど、どこか冷たい印象でエドウィン殿下と並ぶとまるで光と影のように見える。
バネッサの事はもう社交界でも有名でエドウィン殿下の恋人として知られている。きっとご結婚と同時に側妃として後宮にあがるのだろうと。王族の結婚では珍しくはない。
バネッサが人に知られるようになって囁かれるもう1つの噂。
それはトスカリナ伯爵家の悲劇。
トスカリナ伯爵は清貧を好み、私財は最低限しか持たず、出来る限り慈善事業に尽くした人だった。
王家からの信頼も厚く、政務官として仕えていた。
当時の噂では次の宰相となるのではないかと言われていた。
だがある日、そんな伯爵家に盗賊が押しいった。
夫妻を殺し、金目の物を盗み、邸に火を放ったのだ。
裕福ではない伯爵家に盗賊が入るのもおかしいとおもわれたが、警備が甘く、実は溜め込んでいたのではないかと囁かれた。
トスカリナ伯爵に代わって宰相の地位についたのがアルテモーゼ侯爵。
この両家の因縁が今もこのような形で続いていると噂されている。
トスカリナ伯爵の死因についてはアルテモーゼ侯爵が関わっているのではないかとの疑惑も浮かんだが、両家の力関係を見れば殺害してまでその地位を手に入れなくてもいくらでも方法はあるということで深く調べる必要は無いとされた。
すっかり世間から忘れられていた事件が今また人々をざわつかせている。
まあそんな事は気にもしてないエドウィン殿下は今日もご機嫌でバネッサにべったりだ。
ヴァィオレットとは真逆の真っ赤な巻き毛はバラが咲いたように華やかで、殿下と並ぶと極彩色の絵画のようだ。
そんな中、また来たよ。国王陛下が。
お決まりの挨拶を終えると、
「良き日を共に祝える事を嬉しく思うぞ。
サラを借りて良いかな?」
駄目だとは言えるはず無いじゃない。
あたしの手をとりホールの中央まで進み出て踊り始める。
やっぱりお上手で踊りやすい。
「あのぉ、お誘いいただけるのは嬉しいんですけど、なんで?」
国王陛下が近しい人以外と踊ることは無い。
それは政治的な憶測を生んだり、じゃなかったら陛下のお気に入りって事になる。こっちのほうが多い。んで、愛人?側妃?って話になるんだよ?
「可愛いからに決まっておるだろ?」
「いや、それまずいっしょ?」
「この間襲われたらしいじゃないか。わしのお気に入りって知らしめておけば迂闊に手は出されんぞ?」
「いや、逆っしょ?新たな敵を作りますよ。」
「そうか?」
「そうよ。」
「うーむ、じゃがクリフトフを譲った事でもうお気に入りって事は周知の事実だぞ?」
「あー…そっか。」
「まあ、なるようになるじゃろ。」
「だねー。」
陛下とは時々会ってるから二人だけならもう気楽な友達みたいになってる。
さすがエディの父上。あたしとは気が合う。
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