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「毒のせいで記憶障害が起こっているようですね。」
医者らしき人がそう言った。
体が思うように動かないのもまだ毒が抜けきっていないかららしい。
「そんな…わたくしの事をお忘れになったとおっしゃるの?ひどい…わたくしの事を想って下さっているとおっしゃったのに…。」
泣き崩れる聖女。
えーと、つまり付き合ってたのかな?
「私達、特別な関係だったのですか?」
「そんな事実はございません!」
すかさずプラチナ美少年が否定した。
あらやだ、二人の間に火花が見えるみたい。まさかこっちと特別な関係?
な、わけないか。
この体の持ち主の記憶は無いはずなのに少しづつ何かわかるような気がしてきた。
例えば言葉だ。聞いた事の無い言葉なのに意味がわかるし、話せる。
「すみませんが、私の名前を教えてもらえませんか?それと、あなた達のも。」
「あなた様はこのガルディバノン帝国の公爵であり、この度の戦での一番の功労者であるアンカレナ隊の隊長であり私の上官のアレクシオン・テス・セナ・アンカレナ公爵様です。」
聖女を示し、
「こちらは、聖女のセレスティーナ様。私は部下のテリオス・ジョゼ・シェスティと申します。」
聖女セレスティーナ?
ここはまさか死ぬ直前に読んでいた作者不明のネット小説「聖女セレスティーナの祝福を」の世界?
自分の事を知っている気がしたのは小説で読んだ内容だ。
だけどおかしいな。
確かセレスティーナは「日の光に溶けるような蜂蜜色のブロンドに朝露に濡れた若葉のようなエメラルドグリーンの瞳。少女のように可憐でいて女神のような神々しい美しさをもって、まるで地上に降り立った光の精霊そのもののよう。」って話だったけど…。あんまり輝いてないね。
私がアレクシオンなら聖女と相思相愛じゃなかったっけ?
そして確か、テリオス君も聖女に想いを寄せていたはず…だから私達が付き合っていると認めたくなかったのかな?
だけど、何か変。
中身が私だから聖女にときめかないのはしょうがないけど、それだけじゃないような違和感を感じる。気持ち悪い。
「ごめんなさい…記憶が混乱して。」
医者が、
「あまり無理をなさらずに、まずはお体の回復からなさったほうがよろしいかと。」
それにしても、どうしてこんな状態に?今は小説のどのあたりなのかしら?
「私はどうして毒を?」
テリオス君の話では、
「凱旋パレードで聖女様を庇い、毒矢を受けられたのです。犯人はジグリアの残党で、傷を受けながらも追い詰められましたが、相手がまだ子供だった為か剣を振りおろすのを一瞬躊躇われたようでした。その隙に隠し持っていた短剣で刺されたのです。最悪なことにその剣にも毒が。」
なんと、小説のエンディングの直後ですと?
医者らしき人がそう言った。
体が思うように動かないのもまだ毒が抜けきっていないかららしい。
「そんな…わたくしの事をお忘れになったとおっしゃるの?ひどい…わたくしの事を想って下さっているとおっしゃったのに…。」
泣き崩れる聖女。
えーと、つまり付き合ってたのかな?
「私達、特別な関係だったのですか?」
「そんな事実はございません!」
すかさずプラチナ美少年が否定した。
あらやだ、二人の間に火花が見えるみたい。まさかこっちと特別な関係?
な、わけないか。
この体の持ち主の記憶は無いはずなのに少しづつ何かわかるような気がしてきた。
例えば言葉だ。聞いた事の無い言葉なのに意味がわかるし、話せる。
「すみませんが、私の名前を教えてもらえませんか?それと、あなた達のも。」
「あなた様はこのガルディバノン帝国の公爵であり、この度の戦での一番の功労者であるアンカレナ隊の隊長であり私の上官のアレクシオン・テス・セナ・アンカレナ公爵様です。」
聖女を示し、
「こちらは、聖女のセレスティーナ様。私は部下のテリオス・ジョゼ・シェスティと申します。」
聖女セレスティーナ?
ここはまさか死ぬ直前に読んでいた作者不明のネット小説「聖女セレスティーナの祝福を」の世界?
自分の事を知っている気がしたのは小説で読んだ内容だ。
だけどおかしいな。
確かセレスティーナは「日の光に溶けるような蜂蜜色のブロンドに朝露に濡れた若葉のようなエメラルドグリーンの瞳。少女のように可憐でいて女神のような神々しい美しさをもって、まるで地上に降り立った光の精霊そのもののよう。」って話だったけど…。あんまり輝いてないね。
私がアレクシオンなら聖女と相思相愛じゃなかったっけ?
そして確か、テリオス君も聖女に想いを寄せていたはず…だから私達が付き合っていると認めたくなかったのかな?
だけど、何か変。
中身が私だから聖女にときめかないのはしょうがないけど、それだけじゃないような違和感を感じる。気持ち悪い。
「ごめんなさい…記憶が混乱して。」
医者が、
「あまり無理をなさらずに、まずはお体の回復からなさったほうがよろしいかと。」
それにしても、どうしてこんな状態に?今は小説のどのあたりなのかしら?
「私はどうして毒を?」
テリオス君の話では、
「凱旋パレードで聖女様を庇い、毒矢を受けられたのです。犯人はジグリアの残党で、傷を受けながらも追い詰められましたが、相手がまだ子供だった為か剣を振りおろすのを一瞬躊躇われたようでした。その隙に隠し持っていた短剣で刺されたのです。最悪なことにその剣にも毒が。」
なんと、小説のエンディングの直後ですと?
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