戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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「アレクシオン様は以前より聖女には心の安息が必要なのではないかとおっしゃっておりました。
 一度、神殿から離れてアレクシオン様のお母様が生前にご療養なさっておられた公爵家の別邸で静養されてはどうかとお薦めに…。
 ですが、あの表情は何か誤解しているようでしたよ?
 聖女はいつも人の話を都合のいいところしか聞かない傾向があったので、あの光景を見て僕はゾッとしました。
 でもその直後、矢が射られたのです。
 聖女はその後の話をしたくて毎日来るのかもしれません。」
 …聖女怖い。
 そもそもあの人「聖女」で合ってるの?
「聖女の定義って何?」
「強い光属性の魔法が使える未婚の女性で神殿が認めた者のみが聖女となります。」
「強い光属性っていうのは?」
「アレクシオン様にはまず魔法について説明が必要でしたね。
 この国では魔法を使える者は半数以上おります。ほとんどの者は先に説明したように石を動かすならそれと同等の体力を消耗します。
 ですが、極一部の「精霊の加護」を得た者は違います。
 魔力の消費量の何倍もの魔法が使えるのです。
 魔法の研究をしている学者が集まる機関を魔塔というのですが、魔塔では現在 火 水 風 土 光 闇 この6つの属性に分類されており、光属性は光を出すと同時に 祝福 回復 治癒 などの癒し系魔法が使えます。 
 精霊の加護ですが…実はよくわからないのです。力の強い者を昔から加護持ちと呼んでいるだけで明確な確認方法はありません。
 稀に「オーラ」が見えるという者もおりましたが、その者以外には見えないのでそれも確認不明なのです。
 神殿の聖女認定も何を基準にしているのかは秘匿とされています。
 過去に優しく、とても強い治癒魔法を使える女性がいました。裕福な商人の家の生まれでお金に不自由はなかった為無償で貧しい人々を治療しておりました。
 いつしか人々は彼女を口々に聖女様と呼ぶようになったのですが、神殿はそれを許しませんでした。
 裏で雇った者を使い彼女の家は悪どい商売をしており、イメージを良くする為に聖女を騙っていると。
 彼女自身も身持ちが悪く使用人は虐待されているなどと噂され、最後には一族で他国へ亡命せざるをえない結果に…。
 幸い、仕事上他国との交流があった事と不憫に思われた当時の皇帝陛下の取り計らいで受け入れ先の国では不自由なく暮らせたそうです。
 聖女と認められなかったのはおそらくですが、彼女の出す光が弱かった為と見た目がふくよかだった事。 
 それと、同時期に伯爵家に光属性の美しいご令嬢がいらっしゃった為ではないかと。」
 …絶対善とされていた神殿は真っ黒だったって事か。
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