25 / 112
25
しおりを挟む
テリオス視点
毒に侵され、意識の無いアレクシオン様に付き添い公爵邸に入った。
僕の二学年年上のアレクサンドリア様と聖女セレスティーナは学園でも有名人で、この二人のいざこざの噂も聞いていた。
だが、戦場での聖女の行動で僕ははっきり確信した。
アレクサンドリア様は被害者だと。そして、
「お願い、聖女が来てもお兄様と絶対二人きりにはさせないで、絶対よ!」
案の定聖女は毎日来ては使用人達に二人は特別な関係だとアピールした。
だが、使用人達もアレクサンドリア様の受けた仕打ちを知っている。なぜ自分の味方に出来るなどと思っているのか?
そして一向に回復の兆しを見せないアレクシオン様。
僕はこの人に何を望んでいるのだろう。
出世の足掛かり?実力を認めて欲しい?それとも高潔なあなたが惨めに朽ちてゆく姿を眺め内心は喜んでいるのか?
僕はどんな顔をしてあなたを見ている?醜く歪んでいるのではないか?この心と同じように。
早く目覚めて下さい。
この気持ちが何なのか。
この涙の意味は何なのか。
あなたが生きていないとわからないままだ。
あなたがいないと前に進めない。
10日目、僕は歓喜した。
もう駄目なのかもしれない半ば諦めていた頃目覚めたのだ。
だが、目覚めたのは元のアレクシオン様ではなく別人だと言う。
確かにアレクシオン様では考えられない言動が見られる。
それでもいい。とにかく目覚めてくれたことがこの上なく嬉しかった。もしかしたら何かの拍子でまた元のアレクシオン様に戻る可能性もあるだろう。
そう思い彼(彼女)の世話をした。
だがあの戦鬼と呼ばれた隊長が弱った身体で僕を信用し、頼りにするなんて。
ぞくぞくする。
筋肉が萎え、痩せ細ってもなお均整のとれた肉体は美しかった。
身体中の傷痕さえも艶かしい色気を醸し出して。
自由に動かす事もできない彼の身体を拭きながら自身が火照るのを感じていた。
ああ…僕はまた醜い自分の心を恥ながらお側にいることとなるのだ。
そんな僕の邪な本性も知らずに毎日のように感謝の言葉をくれる。
それは他の使用人に対してもだった。
執事を除いた使用人達には別人ではなく、単なる記憶喪失と伝えてあった。
公爵家の侍女は貴族が多い。アレクシオン様の妻の座を狙おうとすれば出来る身分だ。
以前のアレクシオン様ならば高潔で隙が無く、主と使用人という分別がはっきりしていたはずだ。
だが今はどうだ?「ありがとう。」とにっこり微笑む彼を見て頬を赤らめ恥じらう勘違い女のなんと多いことか。
僕は秘密保持のためアレクシオン様に近づく使用人は最低限にしてもらった。
毒に侵され、意識の無いアレクシオン様に付き添い公爵邸に入った。
僕の二学年年上のアレクサンドリア様と聖女セレスティーナは学園でも有名人で、この二人のいざこざの噂も聞いていた。
だが、戦場での聖女の行動で僕ははっきり確信した。
アレクサンドリア様は被害者だと。そして、
「お願い、聖女が来てもお兄様と絶対二人きりにはさせないで、絶対よ!」
案の定聖女は毎日来ては使用人達に二人は特別な関係だとアピールした。
だが、使用人達もアレクサンドリア様の受けた仕打ちを知っている。なぜ自分の味方に出来るなどと思っているのか?
そして一向に回復の兆しを見せないアレクシオン様。
僕はこの人に何を望んでいるのだろう。
出世の足掛かり?実力を認めて欲しい?それとも高潔なあなたが惨めに朽ちてゆく姿を眺め内心は喜んでいるのか?
僕はどんな顔をしてあなたを見ている?醜く歪んでいるのではないか?この心と同じように。
早く目覚めて下さい。
この気持ちが何なのか。
この涙の意味は何なのか。
あなたが生きていないとわからないままだ。
あなたがいないと前に進めない。
10日目、僕は歓喜した。
もう駄目なのかもしれない半ば諦めていた頃目覚めたのだ。
だが、目覚めたのは元のアレクシオン様ではなく別人だと言う。
確かにアレクシオン様では考えられない言動が見られる。
それでもいい。とにかく目覚めてくれたことがこの上なく嬉しかった。もしかしたら何かの拍子でまた元のアレクシオン様に戻る可能性もあるだろう。
そう思い彼(彼女)の世話をした。
だがあの戦鬼と呼ばれた隊長が弱った身体で僕を信用し、頼りにするなんて。
ぞくぞくする。
筋肉が萎え、痩せ細ってもなお均整のとれた肉体は美しかった。
身体中の傷痕さえも艶かしい色気を醸し出して。
自由に動かす事もできない彼の身体を拭きながら自身が火照るのを感じていた。
ああ…僕はまた醜い自分の心を恥ながらお側にいることとなるのだ。
そんな僕の邪な本性も知らずに毎日のように感謝の言葉をくれる。
それは他の使用人に対してもだった。
執事を除いた使用人達には別人ではなく、単なる記憶喪失と伝えてあった。
公爵家の侍女は貴族が多い。アレクシオン様の妻の座を狙おうとすれば出来る身分だ。
以前のアレクシオン様ならば高潔で隙が無く、主と使用人という分別がはっきりしていたはずだ。
だが今はどうだ?「ありがとう。」とにっこり微笑む彼を見て頬を赤らめ恥じらう勘違い女のなんと多いことか。
僕は秘密保持のためアレクシオン様に近づく使用人は最低限にしてもらった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる