戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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「聖騎士の顔を覚えていますか?」
 議長の質問に女性は、
「はい、あの人でした。」
 指差した先には一歩前に出て証言した聖騎士が、
「アメジストの瞳と目元のホクロ、間違いありません。」
 場が騒然となった。
 皇帝が右手を挙げ、
「静かに!
 聖騎士に問う、目的はなんだ?
 誰の指示だ。」
「それは…あの…。」
 言葉を詰まらせるが、視線は大神官から外さない。
 大神官は忌々しげに聖騎士を睨んだり皇帝の顔色を伺ったり赤くなったり青くなったり忙しく表情を変えている。
 ここまでおろおろしている人は初めて見たかも。
「聖騎士には尋問を!
 大神官は神殿にて軟禁することとし、神殿は只今より、帝国の管理下に置く!
 期間は国家反逆罪の嫌疑が晴れるまでとする!
 異義がある者!」
 大神官が絞り出すような声で抗議する。
「わ、わたくしは国教である光聖神教の大神宮ですぞ!このような、なさりようは…あー…あー…かっ、神を冒涜するものですっ!」
 両腕を捕まれて引きずられても、
「無礼なっ!二度と神の祝福が受けられるとおもうな!くそっ!くそーっ!」
 神の代理人とは思えない見苦しさだ。
 皇帝は仕切り直すようにラナ・アクラ・モ・ラ・ジグリア宰相に向き直り、
「先ほども言ったとおり、自治権は任せたいと思う。我々帝国人にはジグリアの民を従えるのは難しいと思うからだが、いかがかな?ラナ・アクラ…あー。」
「ラナで結構でございます。陛下。
 今回の戦は、思うところもございますが最大の責任は我々王族が民の暴挙を止める事ができなかったからです。お詫び申し上げます。
 言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、多くの貴族の方々がお集まりのこの機会に我が国の成り立ちをお聞き下さいませんか?」
 皇帝は静かに頷いた。
「見た目からもお分かりいただけると思いますが、我々王族は純粋なジグリアンではございません。
 我々の祖先は遥か東の文明も文化も発達した元大陸から来ました。
 大規模な地核変動で現在は元の5分の1の大きさの島国が点在しているだけと聞いています。
 大陸から逃げてきた5つの世帯が我々王族の祖先です。
 行き場の無い我々を受け入れてくれたのがジグリアの民でした。
 ジグリアはおおらかで住みたければ住めばいいといった感じでしたがそれは彼等には土地を所有するという概念がないからなのです。
 狩りをして獲物が少なくなれば移動する。木の実や食べられる植物も同じで、誰のものでもなく、皆のものという考えです。
 ですから帝国人が作る作物や家畜さえ、なぜ分け与えないのかと…帝国人には信じられないでしょうが。
 だからといって略奪しても仕方がないとは申せません。長年にわたり我々も民に教育を施し、罰則も与えました。
 それが彼等の為かどうかは未だにわかりませんが、あのままの生活を続けていればいずれジグリアは絶滅、もしくは皆奴隷とされるでしょう。
 我々は我々を受け入れてくれたジグリアの民を我々なりに守ろうとしましたが、今回の戦のきっかけとなるような略奪行為を止める事が出来ませんでした。
 どうか、お許し下さい。」
 こうしてジグリアとは和解となった。
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