戦鬼は無理なので

あさいゆめ

文字の大きさ
64 / 112

64

しおりを挟む
   アレクサンドリア視点

 街での買い物の帰り道、平民らしき人影が手を振っていた。
 通りすぎようとして馬車を止めた。
 みすぼらしいドレスを着ているのは変わり果てたセレスティーナ。
 髪も結わず化粧もしていないけれどわたくしに対する敵意だけは相変わらずですわね。
 でも…なんて哀れなんでしょう。
 本音を言えばこんな女どこでの垂れ死んでも構いませんけれど。
 見つけちゃったものはしょうがないわね。
 シオンちゃんと顔をあわせないように細心の注意をして離に連れて行った。
 魔搭に使いをやり一人の魔術師に来てもらった。
 白髪の歳もわからないくらいの老婆。
 老婆はセレスティーナに近づいて、
「ごきげんよう聖女様。あなたを助けにきましたよ。」
「まあ、どなた?ドレスメーカーの方でもなさそうだし…貴族でもなさそう。どうやってわたくしを救って下さるの?」
「あなたに祝福を!」
 今まで見たこともない目映い光が降り注いだ。
「あなたは今まで夢を見ていました。幸せな夢でした。もう目覚めなさい。あなたは国境近くの村で産まれたセレス。今は神殿の寮で働く下女です。」
「…私は下女?そうだったかしら?そうねきっとそう…。」
 そう言って歩き疲れたのか眠ってしまった。
 老婆は、
「しばらくは大丈夫だろう。だが、この娘は完全には元には戻らないかもしれない。この娘の暗示は強力だ。自分でも知らぬうちに自分にも暗示をかけて、そこから抜け出せなくなったのだ。
 許されない罪も犯しただろうがこれには罪悪感もない。
 許せとは言わぬが怒るだけ無駄だ。諦めなさい。」
 確かに許せないわ。でももう罰は受けたのではないかしら?そう思う事にしましょう。
 恨んでいる時間ももったいないわ。
 わたくしはこれからも子供達と幸せに生きていくんですもの。
 こんな哀れな女にかまっていられませんわ。
「ありがとうございました。
 許せる日が来ることは無いですが、忘れる事につとめますわ。
 ところであなたは聖女だったのですか?とても強力な光魔法のようでしたけれど?」
 老婆は首を横に振り、
「いいや、聖女なんぞおらん。このようなおぞましい力を神が授けるなどありえん。
 わしは魔女だよ。
 知らぬうちに人を傷つけ陥れる、恐ろしい魔女じゃ。
 せめてもの罪ほろぼしに魔搭で研究を続けておる。光魔法による被害者が増えぬようにな。」
 そう言って帰って行った。
 セレスティーナは寝ているうちに下男に馬車で聖女の館に送らせた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...