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昔話
昔々、ある所にとても心優しいモニカという少女がいました。
少女は不思議な力を持っておりました。
どんな怪我でも病気でもたちどころに治してしまうのです。
彼女の家は裕福な商家だった為、無償で貧しい人々を治療しました。彼女の両親もそんな娘を誇りに思う、そんな暖かい家族でした。
少女の力は光魔法と呼ばれる聖なる力でした。いつしか人々は彼女を聖女様と呼ぶようになりました。
しかし、本物の聖女は神殿が認めた方だけです。
神殿はモニカを認めませんでした。
それは彼女が光属性のもっとも大きな特徴である光を発する「祝福」が少なかったからです。
それに少女はぽっちゃりとして鼻が低くソバカスがありました。はっきりとは口にはしませんでしたが聖女と認めるには美しく無いと判断されました。
一方、同じ年にある貴族の家に生まれた少女アリスティアがいました。
とても美しく、「祝福」も彼女の容姿と比例するかのように煌びやかでした。
彼女もとても心優しい少女でした。代々信仰心の厚い貴族の家柄で神殿には沢山の寄付をしていました。
神殿はアリスティアを聖女候補としました。
ですが、民の間ではモニカの人気は絶大でした。
同じ年の彼女らは学園で同じクラスでした。
平民でも裕福で学力が認められれば学園に通うことが出来ましたから。
モニカは学年1位の成績でした。
気さくな性格で男子学生からも人気がありました。
そんなモニカをアリスティアはかわいそうだと思いました。
どんなに成績がよくても治癒魔法が使えてもあの娘は平民。しかもあの容姿。きっと聖女に選ばれたわたくしを恨んでいることでしょう。
そんな事を悪気なくクラスメートに話してしまいました。
その後少しずつ学園の雰囲気がおかしくなっていきました。
誰かが男子学生達とも仲の良いモニカを羨んだのか複数の男性と関係を持っていると噂が広がりました。
彼女の実家も悪どい商売をしているという噂が流れました。
アリスティアはかわいそうだと思ったけれどちょっとほっとしました。聖女は自分一人で十分なのだから。
そのうち噂に耐えかねたモニカの家は首都から消えました。
入学してたった三ヶ月でした。
アリスティアは不思議に思い母に聞いてみました。
「まあ、どうして悪徳商人の家の身持ちの悪い娘を気にかけるの?」
おかしな事です。
商家はアリスティアの家にも出入りしており、つい三ヶ月前までは善良なよい商人だと話していたのに。
「なぜそんなふうに言うの?いい人だって言ってたじゃない?」
「あら?アリスティアがそう言ったじゃない?
あなたが悪徳商人だと言えばそうだし、悪い娘だって言えばそうなのよ。あなたの言う事はすべて正しいのですから。」
そうにっこり笑って話す母の目はなんだかぼんやりしてて怖いと思った。
そして思い出す。
学園であった事を何気なく母に話した事を。
「モニカはいろんな男性とお友達なんですって。」
「どんな商売をしたらあんなに儲かるのかしら?」
ただそれだけなのに。
「違うわ!モニカはそんな娘じゃない!ご両親だってきっと良い人よ!」
思わずそう叫んだ。
母ははっとしたように、
「そうね…そうだったわ。嫌だわどうしてあんなふうに思ってしまったのかしら?
大変だわ、みんな誤解してるわ…悪い噂ばかり流れて。
でも、もう一家は隣国へ引っ越してしまったからどうしようもないわね。」
アリスティアは気づいた。
自分の言葉が人を惑わす。
本音を言えばモニカの事をちょっと憎らしいと思っていた。
そして何気なく言った言葉は皆を暗示にかけてしまう。
両親を説き伏せてモニカの後を追った。
案の定両親を説き伏せるのは簡単だった。
それまでは、大きな負担になるはずのわがままは言ったことはなかった。いや、ないと思っていただけかも知れない。誰もがアリスティアの言う事を聞いてくれたから。
モニカに会って謝った。
一族もろとも絶望へ追いやったアリスティアを彼女は優しく微笑み許してくれた。
本物の聖女だと思った。
…。
違う。
アリスティアはモニカに「許して。」と言ったのだ。
優しく微笑むモニカの前でアリスティアは泣き叫んだ。言葉に出来ない「許して!」を心の中で何度も叫んで。
アリスティアは聖女を辞退した。
そして両親に「心配しないで。」と言い残し姿を消した。
昔々、ある所にとても心優しいモニカという少女がいました。
少女は不思議な力を持っておりました。
どんな怪我でも病気でもたちどころに治してしまうのです。
彼女の家は裕福な商家だった為、無償で貧しい人々を治療しました。彼女の両親もそんな娘を誇りに思う、そんな暖かい家族でした。
少女の力は光魔法と呼ばれる聖なる力でした。いつしか人々は彼女を聖女様と呼ぶようになりました。
しかし、本物の聖女は神殿が認めた方だけです。
神殿はモニカを認めませんでした。
それは彼女が光属性のもっとも大きな特徴である光を発する「祝福」が少なかったからです。
それに少女はぽっちゃりとして鼻が低くソバカスがありました。はっきりとは口にはしませんでしたが聖女と認めるには美しく無いと判断されました。
一方、同じ年にある貴族の家に生まれた少女アリスティアがいました。
とても美しく、「祝福」も彼女の容姿と比例するかのように煌びやかでした。
彼女もとても心優しい少女でした。代々信仰心の厚い貴族の家柄で神殿には沢山の寄付をしていました。
神殿はアリスティアを聖女候補としました。
ですが、民の間ではモニカの人気は絶大でした。
同じ年の彼女らは学園で同じクラスでした。
平民でも裕福で学力が認められれば学園に通うことが出来ましたから。
モニカは学年1位の成績でした。
気さくな性格で男子学生からも人気がありました。
そんなモニカをアリスティアはかわいそうだと思いました。
どんなに成績がよくても治癒魔法が使えてもあの娘は平民。しかもあの容姿。きっと聖女に選ばれたわたくしを恨んでいることでしょう。
そんな事を悪気なくクラスメートに話してしまいました。
その後少しずつ学園の雰囲気がおかしくなっていきました。
誰かが男子学生達とも仲の良いモニカを羨んだのか複数の男性と関係を持っていると噂が広がりました。
彼女の実家も悪どい商売をしているという噂が流れました。
アリスティアはかわいそうだと思ったけれどちょっとほっとしました。聖女は自分一人で十分なのだから。
そのうち噂に耐えかねたモニカの家は首都から消えました。
入学してたった三ヶ月でした。
アリスティアは不思議に思い母に聞いてみました。
「まあ、どうして悪徳商人の家の身持ちの悪い娘を気にかけるの?」
おかしな事です。
商家はアリスティアの家にも出入りしており、つい三ヶ月前までは善良なよい商人だと話していたのに。
「なぜそんなふうに言うの?いい人だって言ってたじゃない?」
「あら?アリスティアがそう言ったじゃない?
あなたが悪徳商人だと言えばそうだし、悪い娘だって言えばそうなのよ。あなたの言う事はすべて正しいのですから。」
そうにっこり笑って話す母の目はなんだかぼんやりしてて怖いと思った。
そして思い出す。
学園であった事を何気なく母に話した事を。
「モニカはいろんな男性とお友達なんですって。」
「どんな商売をしたらあんなに儲かるのかしら?」
ただそれだけなのに。
「違うわ!モニカはそんな娘じゃない!ご両親だってきっと良い人よ!」
思わずそう叫んだ。
母ははっとしたように、
「そうね…そうだったわ。嫌だわどうしてあんなふうに思ってしまったのかしら?
大変だわ、みんな誤解してるわ…悪い噂ばかり流れて。
でも、もう一家は隣国へ引っ越してしまったからどうしようもないわね。」
アリスティアは気づいた。
自分の言葉が人を惑わす。
本音を言えばモニカの事をちょっと憎らしいと思っていた。
そして何気なく言った言葉は皆を暗示にかけてしまう。
両親を説き伏せてモニカの後を追った。
案の定両親を説き伏せるのは簡単だった。
それまでは、大きな負担になるはずのわがままは言ったことはなかった。いや、ないと思っていただけかも知れない。誰もがアリスティアの言う事を聞いてくれたから。
モニカに会って謝った。
一族もろとも絶望へ追いやったアリスティアを彼女は優しく微笑み許してくれた。
本物の聖女だと思った。
…。
違う。
アリスティアはモニカに「許して。」と言ったのだ。
優しく微笑むモニカの前でアリスティアは泣き叫んだ。言葉に出来ない「許して!」を心の中で何度も叫んで。
アリスティアは聖女を辞退した。
そして両親に「心配しないで。」と言い残し姿を消した。
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