戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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     聖女セレスティーナ視点

 なんという事かしら、尊い聖女を聖女自ら軽視するなんて。
 それに戴冠式にわたくしを参加させないってどういう事?
 下女もおかしな事ばかり言うし。
 この邸はわたくしの為の物ではなく「聖女の館」という聖女の為の寮だと。
 聖女はこの寮で研修しながらイベントに備える。イベント終了までの間の契約聖女らしい。
 では、わたくしは?
 下女が言うにはわたくしは行き場がないからここに置いてもらってると。本当なら掃除なんかも手伝って欲しいなどと。信じられないわ。
 もう待っていられませんわ。マティアス殿下はきっとこの事をご存じ無いのよ。
 わたくしはこっそり裏口に回った。こちらには騎士は一人しかおりません。手を握りしっかりと目を見つめてお願いしてやっと通していただけましたわ。
 幸いこの邸は神殿とお城の中間にあります。道もわかるしなんとか歩いてゆける距離ですわ。こんな時はこのみすぼらしい踵の低い靴で良かったと思いますわ。
 ああ、靴もですけれどこんなドレスでお城に行くなんて恥ずかしいですわ。
 でもこの姿を見ればわたくしがどれだけ虐げられていたかわかってもらえますわね。
 とぼとぼと歩いていると見覚えのある家紋の馬車が、あれは公爵家の馬車。アレクシオン様かしら?お優しいあのお方ならきっとお城まで連れて行って下さるわ。ドレスも用意してくださるかも。
 手を振ると馬車は少し行き過ぎてから止まった。
 窓を少し開けて覗かせた顔はなんと悪女アレクサンドリアですわ。
「誰かと思ったらセレスティーナさんじゃございませんこと?」
 わたくしのみじめな姿を嘲笑っていらっしゃるのね。
「お一人で歩いてどこへ行くおつもりですの?」
「あなたには関係ございませわ。アレクシオン様の馬車かと思い、ご挨拶したかっただけですわ。」
 さっさと行って下さらないかしら?この女には何も期待できないどころかどんな仕打ちを受けさせられるか。
「とにかくお乗りなさいな。」
 は?どこへ連れて行くおつもりなの?
「離しなさい!無礼者。マティアス殿下が待ってますのよ!お城に行かなくちゃならないんですの!」
 否応なしに護衛の騎士に腕を捕まれ馬車に押し込められました。怖い。
 アレクサンドリアの侍女が眉をひそめてわたくしを睨む。
「お嬢様、このような者放っておけばよろしいのに。」
「そうね、わたくしもそう思うのですけれど、どうにも哀れで…。」
 連れて行かれた所は公爵邸。
 アレクシオン様にお会いできる!
 そう思ったのにアレクサンドリアが暮らす離れに連れて来られた。
 客間で長い間一人で待たされた後、アレクサンドリアが白髪の老婆を連れてきた。
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