絶対許さない

雪猫 天

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3.商会長という名の

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ミーツは先月20歳になり、子爵家を抜けて平民となった。

もともと子爵家は20歳になったら抜けることが決まっていたためだ。

庶子として生まれたミーツは学校にいけないほど貧乏な家にいた。

子爵はミーツの母親が亡くなったことを聞きつけ、ミーツを子爵家に迎えた。

本妻と本家の子供からは特に関心も持たれず、当たり障りなく成長することができ、ミーツとしては感謝している。

これらの事情からミーツは現在借家で一人暮らしをしていた。


初の給料日に商会長が

「取引先からまだ入金がなく、皆の給料を払うことができない」

とさも当然のように言った。ミーツはやっぱりかと思いながら質問した。

「いつになったら入金があるのですか?」

「新入りの君に言うことではない」

商会長はそういうと新聞を広げて読み始めた。

「求人の欄に引っ越し費用全額負担というのがあったと思いますが、それはいつ払われますか」

「そんなのは知らん」

「初日から仕事らしいことは何もないようですがこの商会は何をしているのですか」

「この事業の勉強をしろと言っているだろう」

商会に入ってからミーツ含め同期3人は仕事らしい仕事をできないでいた。

朝は掃除を、昼には昼食をとっていたが、それ以外の時間は新規事業の勉強という名の暇つぶしをさせられた。

新規事業の勉強とはいっても、具体的に事業内容がわからなければ進められない。

商会長に事業内容を聞いても、中身のない説明のようなものをされるだけで、要領を得なかった。

そのため事業内容から他の商会がどのように進めているかを調べ、事業計画や今後必要になるものの概要を作り商会長に勧めたが、見もせずに新聞を見ながら

「入金がないから無理だ。そもそも新入りのくせに煩い奴だな。私が若いころは上司のいうとおりにして、商会長には絶対に逆らうことなんてなかったぞ。これだから若い奴は」

というだけだった。

結果的に言おう。キレタ。普通にキレタ。

だが、ミーツが言葉を発する前に、商会にお客が来た。

「商会長のブー子爵はいらっしゃいますか。私、金融商社のもので、以前お貸ししたお金の徴収に参りました」

「私が商会長だ。金はもう少し待ってくれ」

「お手紙をお出ししてからご返信いただけず、一度直接来させていただきましたがその時も同様のことを言われましたよね。そのようなお金がいつ入るのか、また誰から支払われるのかおききしても?」

「商社の秘密だ」

「では、期日までに払われなかったさい、別の方法でお支払いただく必要があります。担保となるものを提出してください」

「それは、今すぐには無理だ」

このやり取りをこの商社で何度か見ている。どれも異なる商社だった。

来客が帰った後、商会長はふんぞり返って言い放った。

「たく、煩い連中だな。金を庶民から借りてやったというのに。しかもこの私を直接罵倒するなど、私はすごい人間なんだぞ。外国に金持ちの知り合いがいて…」

この場言いるブー子爵以外が全員(あーこいつだめだ)と思った瞬間だった。
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