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第1章
気付かなくてごめんなさい。 1
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side一華
4年前に天涯孤独になった私を拾ってくれたのはリュカ様だった。
行く宛てが無かった私を働かせてくれた。
私がアン語の読み書きが充分に出来ないと言ったら文句を言いながら家庭教師をつけてくれた。
魔法なんて使ったことが無いと言ったら出来るようになるまで教えてくれた。
ぶっきらぼうで口が悪くて意地悪だけど、大好きだった。
私の一生をあげるから。
好きだと伝えたいなんて言わないから。
ただ、傍に置いておいて欲しかった。
٭❀*
「一華さんと随分仲が良いのですね」
え、私?
執事長の部屋に行こうとしている時だった。
突然、自分の名前が聞こえた。
声を辿ってテラスを覗くとリュカ様と婚約者候補のソフィア様が話していた。
リュカ様とソフィア様の会話に私の名前が出てくるなんて光栄だな。
「先程の馬術の練習中もお話ししていましたでしょう?」
「はぁ?何言ってんだよ。一華と俺が仲良いとか有り得ねぇって。あと、ソフィアの方が比べ物になんねーくらい可愛いからな」
「もぅ、恥ずかしいからやめてください」
甘々な会話を聞いて勝手にダメージを受ける。
自分に可愛さが無いことは認めるけれど、可愛さの塊の様なソフィア様と比べないで欲しい。
「一華さんは美人だから、時々心配になるんです」
「心配って何だよ?」
「その…リュカ様が一華さんの所に行ってしまうのではないかと」
「はあぁぁ??」
「ごめんなさい…でも不安なんです」
ソフィア様がそんな事を思っていたなんて初めて知った。
でも、そんな事は有り得ないのにな。
「一華はただの使用人だし、何とも思ってねぇよ」
ほら、やっぱりね。
悲しいけれど当たり前の事だ。
気を取り直して仕事に戻ろう。
立ち聞きなんて趣味が悪い。
去ろうと思った時だった。
「それにソフィアと婚約したら出てってもらうつもりだから」
………え?
足が止まった。
どういうこと?
ソフィア様と婚約することに決めたの?
それならもう話はしてあるの?
いつ、婚約するの?
いつ、
私は「出て行け」と言われるの?
頭の中がぐちゃぐちゃになった。
ここに居たらダメだ。
力を振り絞り逃げるように立ち去った。
向かったのは執事長室。
執事長のグリゴリーさんに「話がある」と言われていたから。
頭を切り替えノックをし、部屋に入る。
「失礼します」
「あぁ、一華か」
「遅くなってしまい申し訳ありません。話、と言うのは?」
「そこに座って良いぞ」
ロマンスグレーの綺麗にセットされている髪を撫で付けながらグリゴリーさんは言った。
「失礼します」と言いながら中央のソファに座ると、彼は私の正面に座った。
グリゴリーさんは私が屋敷で働いているのを快く思っていないはず。
執事長室で座らせてくれるなんて初めてだった。
一体どうしたんだろうか。
「婚約者候補のソフィア様は分かるか?」
「存じ上げております」
「よろしい。ならば話は早いな」
「……?」
「君には当分屋敷を離れてもらう」
「え?」
さっきのリュカ様の言葉を思い出した。
「君はリュカ様との距離が近すぎるんだ。立場をわきまえない行動が、ソフィア様に不安な想いをさせているらしいな」
「ま、待ってください。何かの間違いです。私はリュカ様と……」
「これは決定事項だ」
私の言葉を遮って、グリゴリーさんは強く言う。
「2週間後、リュカ様から伝えられるのと自分から出て行くのどっちが良い?」
その言葉を聞いて諦めがついた。
もう、何を言っても無駄なんだ。
「承知致しました。出て行きます。ですが、1つお願いがあります」
「ここに居させて欲しい、以外なら聞くぞ」
大きく息を吸い込んだ。
覚悟を決めろ。
「私は、どこか遠くに行きたいです」
4年前に天涯孤独になった私を拾ってくれたのはリュカ様だった。
行く宛てが無かった私を働かせてくれた。
私がアン語の読み書きが充分に出来ないと言ったら文句を言いながら家庭教師をつけてくれた。
魔法なんて使ったことが無いと言ったら出来るようになるまで教えてくれた。
ぶっきらぼうで口が悪くて意地悪だけど、大好きだった。
私の一生をあげるから。
好きだと伝えたいなんて言わないから。
ただ、傍に置いておいて欲しかった。
٭❀*
「一華さんと随分仲が良いのですね」
え、私?
執事長の部屋に行こうとしている時だった。
突然、自分の名前が聞こえた。
声を辿ってテラスを覗くとリュカ様と婚約者候補のソフィア様が話していた。
リュカ様とソフィア様の会話に私の名前が出てくるなんて光栄だな。
「先程の馬術の練習中もお話ししていましたでしょう?」
「はぁ?何言ってんだよ。一華と俺が仲良いとか有り得ねぇって。あと、ソフィアの方が比べ物になんねーくらい可愛いからな」
「もぅ、恥ずかしいからやめてください」
甘々な会話を聞いて勝手にダメージを受ける。
自分に可愛さが無いことは認めるけれど、可愛さの塊の様なソフィア様と比べないで欲しい。
「一華さんは美人だから、時々心配になるんです」
「心配って何だよ?」
「その…リュカ様が一華さんの所に行ってしまうのではないかと」
「はあぁぁ??」
「ごめんなさい…でも不安なんです」
ソフィア様がそんな事を思っていたなんて初めて知った。
でも、そんな事は有り得ないのにな。
「一華はただの使用人だし、何とも思ってねぇよ」
ほら、やっぱりね。
悲しいけれど当たり前の事だ。
気を取り直して仕事に戻ろう。
立ち聞きなんて趣味が悪い。
去ろうと思った時だった。
「それにソフィアと婚約したら出てってもらうつもりだから」
………え?
足が止まった。
どういうこと?
ソフィア様と婚約することに決めたの?
それならもう話はしてあるの?
いつ、婚約するの?
いつ、
私は「出て行け」と言われるの?
頭の中がぐちゃぐちゃになった。
ここに居たらダメだ。
力を振り絞り逃げるように立ち去った。
向かったのは執事長室。
執事長のグリゴリーさんに「話がある」と言われていたから。
頭を切り替えノックをし、部屋に入る。
「失礼します」
「あぁ、一華か」
「遅くなってしまい申し訳ありません。話、と言うのは?」
「そこに座って良いぞ」
ロマンスグレーの綺麗にセットされている髪を撫で付けながらグリゴリーさんは言った。
「失礼します」と言いながら中央のソファに座ると、彼は私の正面に座った。
グリゴリーさんは私が屋敷で働いているのを快く思っていないはず。
執事長室で座らせてくれるなんて初めてだった。
一体どうしたんだろうか。
「婚約者候補のソフィア様は分かるか?」
「存じ上げております」
「よろしい。ならば話は早いな」
「……?」
「君には当分屋敷を離れてもらう」
「え?」
さっきのリュカ様の言葉を思い出した。
「君はリュカ様との距離が近すぎるんだ。立場をわきまえない行動が、ソフィア様に不安な想いをさせているらしいな」
「ま、待ってください。何かの間違いです。私はリュカ様と……」
「これは決定事項だ」
私の言葉を遮って、グリゴリーさんは強く言う。
「2週間後、リュカ様から伝えられるのと自分から出て行くのどっちが良い?」
その言葉を聞いて諦めがついた。
もう、何を言っても無駄なんだ。
「承知致しました。出て行きます。ですが、1つお願いがあります」
「ここに居させて欲しい、以外なら聞くぞ」
大きく息を吸い込んだ。
覚悟を決めろ。
「私は、どこか遠くに行きたいです」
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