初恋と悪あがき

村上りく

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第1章

素直な気持ちで 1

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アイちゃんに戻ります!
「悲しいことは忘れたい 4」から続いています( ¨̮ )


-----------------------------------------------


sideアイ

冷たい風が頬を滑った感触がして目が覚めた。
辺りを見回すと、見知らぬ景色が広がっていた。
しかも、芝生の上で寝ている。
驚いて立ち上がり服についた芝を落とした。

なんで私こんな所で寝てるの…。

これまでの事を思い出そうとするけど頭がぼうっとしていて働かない。
取り敢えず座って考えた。
緑色の芝生は良く手入れされていて気持ち良い。

「おい!」

芝生をいじりながら考えていると、後ろから怒鳴り声が聞こえた。
振り返ると金髪の男の子が走って来た。
誰だか知らないけど、遠目からでも怒っているのが分かる。
怒りを宿した青い瞳は私を睨んでいる。
私は怖くなって後退りをした。

「出て行け!どうしてここに居るんだ」

えっ…。

「お前はもう要らない」


待って。
行かないで。

そう言いたいのに声が出ない。
私はあなたを知っている。
もう少しで思い出せるから、待って欲しい。



私は、あなたを忘れたくない。
だから。




٭❀*




「待って!!」

 ベッドから飛び起きた。
天井に向かって手を伸ばしている。


「はあ………はぁ、…はっ」

前髪から水滴が落ち、シーツを濡らした。
呼吸が乱れていて苦しい。



「………ゆ、め?」



呼吸を整えながら周りを見ると、私の部屋だった。
正確に言うと、「私が居候をさせてもらっているマクファーソン家の別荘の一室」だけれど。
今の夢は、一体なんだろう。
既に忘れかけているが、胸が苦しくなった。

「あー思い出せない…」

私は呟きながらベッド横のテーブルに置いてあった水を飲み干した。
冷静になった私は、夢の事など頭になかった。
思い出したのはパーティでの事だけ。
私は具合いが悪くなって途中で帰ったんだ。

最悪だぁ………。

ルークくんと階段で休んで一瞬回復したけど、結局帰ったんだ。
しかも、ルークくんも巻き込んで。
ルークくんは友達に会うのを楽しみにしていたはず。
それなのに私に付き添って帰ったんだ。
私、最低すぎる。
ルークくんに謝罪に行かなきゃ…!
ぐしゃぐしゃの髪の毛を1つにまとめてドアノブに手をかけた。

あれ、軽い。

そう思ってドアを開けると、目の前にノアがいた。

「ノア!?どうしてここに。パーティは?」

「もう動いて大丈夫なのか!?」

全然答えになってないよ…。

「具合が悪くなって先に帰ったって聞いたから早く帰って来たんだよ。…どこに行こうとしてたんだ?安静にしてなきゃダメだろ」

「ご、ごめん。ルークくんに謝りに行こうと思って。その…私のせいでパーティ楽しめなかっ…」
「明日で良いだろ!今日は寝てないと」

ノアは私を部屋の中に入れた。

「待って、私はもう平気だから」

「こんなに汗かいてて熱があるかもしれないだろ」

「これは、ちょっと夢見が悪くて…」
「尚更寝てろ!」

ノアは私を押してベッドに放り込んだ。
ほんとに元気なのに…。
ノアを見るとなんだか元気が無い。
ノアこそ具合悪いんじゃないの?と思うくらい。

「ほんとにごめん」

頭を抱えてノアがベッドの横にしゃがみ込んだ。

「具合悪いの全然気付かなかった」

ルークくんもそんな事を言ってた気がする。
兄弟そろって優しいなぁ。

「色々あって混乱してるのに慣れてないパーティに連れてくとか配慮がなくてごめん」

「いや、ノアは悪くないよ。私が…ちょっと人酔いしちゃっただけだよ!」

心配させないように笑顔を作って言った。
でも、ノアはまだ納得いかない表情をしている。

「ごめん……明日の帰国はやめとこう」

ノアは早口で言う。
聞き逃しそうになったけど、私も一緒に行く前提で話してるよね?

「魔法学校の説明会も、今回はやめよう」

「それはダメだよ!だって、行きたいんでしょう?」

「でも、アイの体力とか…」
「私は全然大丈夫だよ!」

私は力強く言った。
ノアが魔法学校の話をしてる時、生き生きしてたもん。
私に遠慮して憧れの場所に行くチャンスを逃して欲しくない。

「それよりも、私も一緒にアン国まで行って良いんだなって思って安心しちゃったよ」

「え、行かないつもりだったのか?」



ノアは目を見開いて言った。
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