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第1章
鈍感なあの人 3(sideノア)
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sideノア
「君は随分リンリンに懐かれてるな、何回かここに来てるのか?」
ドミー先生は机の傍にあるダンボールの中を探りながら聞いてきた。
「いえ、ここには来てないです。でも、フィーア国に行く機会がある時にロミさんの家にお邪魔させてもらって会ってるので慣れてくれたんですかね」
ロミさんは長期休みの間リンリンと離れたくないから、と言って家に連れて帰っているのだ。
俺は父親の仕事の関係でフィーア国について行くことが時々あるので、その際に会うことが年に何回かはある。
「へぇ、そりゃあ良いな。俺は毎日一緒にいるのに懐かれねぇ…………おっと」
ドミー先生がリンリンに触ろうとすると、「しゃ!」と鳴いて逃げていった。
ドミー先生は残念そうな顔をした後、「ゆっくり見ていけよ」と言って研究室の奥の部屋に入って行った。
チャンス再到来。
また、俺とロミさんだけになった。
この状況をどうにか活かしたい。
「ノア、見て見て。このコ新入りのリトルド(トカゲみたいな魔法生物)なんだけど」
考えていると、ロミさんが後ろから話しかけて来た。
「お、ピャーチリトルドだ。珍しいですね、どうしたんですか?」
寒冷なピャーチ国に多く生息するリトルドは皮膚が厚く、一般的なフィーアリトルドより大きい。
初めて見た。
「ドミー先生が知り合いから譲ってもらったんだって。何か良い名前ある?」
「俺が決めて良いんですか?」
何が良いだろう。
俺はリトルドを腕に乗せて考えた。
青と白のグラデーションが美しい。
「じゃあ、シーニーとかどうですか?」
「かわいいじゃん。何語?」
「ピャーチ語で、青です」
「単純!でも気に入った、ありがと」
ロミさんは嬉しそうにシーニーの口元へおやつを運んだ。
シーニーは俺の肩まで登っていたので、自然にロミさんとの距離が近くなる。
近い、かなり近い。
一応俺は思春期の男子だぞ?
2人きりの空間でそんな近くに来られると我慢の限界というものがあるのですが。
ロミさんて研究室に籠りきりなのにどうしてこんなに良い匂いするんだろう、とか考えてしまう。
「ロミさん」
「何?」
「近いですよ」
ロミさんは「ごめーん」と言いながら離れた。
危なかった。
こういうことを男子部員にもやっていると考えるとぞっとする。
ロミさんは自分が女性だって自覚があまりにも薄い。
生物部の男子は何人か会ったことがあるが、おそらく、ロミさんを女性扱いしている人はいない。
だから余計意識しなくなるんだ。
でも、あくまでそれは去年までの話。
今年の1年生は、違うかもしれないから不安だ。
「コーヒー飲む?」
コーヒーは正直あまり好きではない。
でも、とにかく子どもっぽい所を見せたくないので「飲みます」と言った。
「ありがとうございます」
カップを受け取り、飲んでみるとやはり苦かった。
我慢、我慢…。
「ごめん、それ砂糖入れてない方だった。こっち飲みな?」
我慢してるってバレてたのか?
ロミさんは俺が飲んだカップを違うのと交換した。
そして、俺が飲んだ方を一気飲みした。
なんの躊躇いもなく。
間接キスだな、とか微塵も思っていないような表情で。
それが無性に悔しかった。
絶対この人は、はっきり言わないと分からない。
言うしかないのだ。
もしかして、今がその時なんじゃないのか。
心臓がこれでもかと言うほど速くなる。
俺は大きく息を吸い込んだ。
「俺、ロミさんのこと好きです」
言った…!
「急にどうしたの?あたしもだけど、あ、リンリンの次かもしれない」
ロミさんはそう言ってリンリンの背中に頬をうずめている。
はい???
沈黙も無く、さらりと言われた。
結果、言っても気付かない。
俺のドキドキを返せ!
羞恥で顔が赤くなったのを感じた。
言っても気付かないってどれだけ鈍感なんだよ、って言うか、少しはニンゲンの男に興味持て!!!(※リンリンは魔猫のオスです)
俺は心の中で叫び声を上げた。
-----------------------------------------------
ノアくんの素はこれからもどんどん明らかになりますので楽しみにして頂ければ幸いです( ¨̮ )
次からはアイちゃんに戻ります!
「君は随分リンリンに懐かれてるな、何回かここに来てるのか?」
ドミー先生は机の傍にあるダンボールの中を探りながら聞いてきた。
「いえ、ここには来てないです。でも、フィーア国に行く機会がある時にロミさんの家にお邪魔させてもらって会ってるので慣れてくれたんですかね」
ロミさんは長期休みの間リンリンと離れたくないから、と言って家に連れて帰っているのだ。
俺は父親の仕事の関係でフィーア国について行くことが時々あるので、その際に会うことが年に何回かはある。
「へぇ、そりゃあ良いな。俺は毎日一緒にいるのに懐かれねぇ…………おっと」
ドミー先生がリンリンに触ろうとすると、「しゃ!」と鳴いて逃げていった。
ドミー先生は残念そうな顔をした後、「ゆっくり見ていけよ」と言って研究室の奥の部屋に入って行った。
チャンス再到来。
また、俺とロミさんだけになった。
この状況をどうにか活かしたい。
「ノア、見て見て。このコ新入りのリトルド(トカゲみたいな魔法生物)なんだけど」
考えていると、ロミさんが後ろから話しかけて来た。
「お、ピャーチリトルドだ。珍しいですね、どうしたんですか?」
寒冷なピャーチ国に多く生息するリトルドは皮膚が厚く、一般的なフィーアリトルドより大きい。
初めて見た。
「ドミー先生が知り合いから譲ってもらったんだって。何か良い名前ある?」
「俺が決めて良いんですか?」
何が良いだろう。
俺はリトルドを腕に乗せて考えた。
青と白のグラデーションが美しい。
「じゃあ、シーニーとかどうですか?」
「かわいいじゃん。何語?」
「ピャーチ語で、青です」
「単純!でも気に入った、ありがと」
ロミさんは嬉しそうにシーニーの口元へおやつを運んだ。
シーニーは俺の肩まで登っていたので、自然にロミさんとの距離が近くなる。
近い、かなり近い。
一応俺は思春期の男子だぞ?
2人きりの空間でそんな近くに来られると我慢の限界というものがあるのですが。
ロミさんて研究室に籠りきりなのにどうしてこんなに良い匂いするんだろう、とか考えてしまう。
「ロミさん」
「何?」
「近いですよ」
ロミさんは「ごめーん」と言いながら離れた。
危なかった。
こういうことを男子部員にもやっていると考えるとぞっとする。
ロミさんは自分が女性だって自覚があまりにも薄い。
生物部の男子は何人か会ったことがあるが、おそらく、ロミさんを女性扱いしている人はいない。
だから余計意識しなくなるんだ。
でも、あくまでそれは去年までの話。
今年の1年生は、違うかもしれないから不安だ。
「コーヒー飲む?」
コーヒーは正直あまり好きではない。
でも、とにかく子どもっぽい所を見せたくないので「飲みます」と言った。
「ありがとうございます」
カップを受け取り、飲んでみるとやはり苦かった。
我慢、我慢…。
「ごめん、それ砂糖入れてない方だった。こっち飲みな?」
我慢してるってバレてたのか?
ロミさんは俺が飲んだカップを違うのと交換した。
そして、俺が飲んだ方を一気飲みした。
なんの躊躇いもなく。
間接キスだな、とか微塵も思っていないような表情で。
それが無性に悔しかった。
絶対この人は、はっきり言わないと分からない。
言うしかないのだ。
もしかして、今がその時なんじゃないのか。
心臓がこれでもかと言うほど速くなる。
俺は大きく息を吸い込んだ。
「俺、ロミさんのこと好きです」
言った…!
「急にどうしたの?あたしもだけど、あ、リンリンの次かもしれない」
ロミさんはそう言ってリンリンの背中に頬をうずめている。
はい???
沈黙も無く、さらりと言われた。
結果、言っても気付かない。
俺のドキドキを返せ!
羞恥で顔が赤くなったのを感じた。
言っても気付かないってどれだけ鈍感なんだよ、って言うか、少しはニンゲンの男に興味持て!!!(※リンリンは魔猫のオスです)
俺は心の中で叫び声を上げた。
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ノアくんの素はこれからもどんどん明らかになりますので楽しみにして頂ければ幸いです( ¨̮ )
次からはアイちゃんに戻ります!
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