初恋と悪あがき

村上りく

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第2章

ストロベリーブロンド 4

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sideアイ

「サシャさんに付きまとってるって噂のコでしょ」

紅花ホンファちゃんは私を睨んでそう言った。

「……あの、紅花ちゃん?言っていることが良く分からないんだけど…」

私ってサシャさんに付きまとってるのか……な?
憧れの存在ではあるけど。
もしかして今日紅花ちゃんに見られてたのってこれが原因なのかも……。

「てゆーかあたしの事今日まで知らなかったの?」

「……ごめん、知らなかった」

「サシャさんの受賞祝賀会で話したことあるんだけど?」

そんなに前に……?
サシャさんの受賞祝賀会、去年の2月のことだ。

サシャ・アザールさんは、今世界で大注目されている守護者ガーディアンの1人。
現在26歳の若さで最高難易度のSランクの『オニ』を何度も処理してきた天才。
なくなったと思われていた【オニノヤガラ病】は1年と少し前くらいに突然流行し始めた。
人間が、巨大化し人を襲う恐ろしい病気だ。
守護者ガーディアンは『オニ』から人々を守る職業。
しかし、『オニ』は元々は人であるためそれを「処理する」存在である守護者ガーディアンは批判を受けることも多くあった。

しかし、彼の研究のおかげで世の中は大きく変わった。
かつて「人殺し」と言われた守護者ガーディアンの汚名を返上したのだ。
【オニノヤガラ病】にかかった人は100パーセント助からないと言われていた。
実際、助からなかった。
しかし、サシャさんを中心とする研究グループが開発した新薬のお陰で生存率が約95パーセントまで引き上げられた。
その結果、守護者ガーディアンは今ではすっかり人々を『オニ』から守るヒーローとして人気職になったのだ。
サシャさんたちの研究は名誉ある賞を貰い、祝賀会にはたくさんの人々が訪れた。

祝賀会のことを思い出そうと努力したけど、料理が美味しかったのと、研究グループの全員のスピーチが素晴らしかったのしか覚えていない。
あの時紅花ちゃんもいたんだ。
こんな可愛い子、忘れないはずだけどな。

保健室は気まずい空気に包まれた。
私を睨み続ける紅花ちゃん。
困惑している私。
私よりもっと困惑しているノア。


今日はもう、部活見学には行けないだろう。


٭❀*


「私はサシャさんに付きまとったことはないと思うんだけど、どこでそんな噂を聞いたの?」

恐る恐る聞いてみた。

「サシャさんの親衛隊情報。祝賀会が終わった後も帰りたそうなサシャさんにずっと話しかけてる女がいたって」

うわぁ。
祝賀会が終わった後にルーベルに合格したって話をしていた時だ。
絶対そうだ。
パーティ中は報告出来なくて、終わった後に引き止めたんだ。

「誤解だよ。私、別にサシャさんのファンとかじゃないよ?」

「……ほんとに?」

私は高速で首を縦に動かした。
紅花ちゃんはまだ疑っている様子。

「本当だよ!サシャさんに聞いても良いよ」

「………ふーん」

少しだけ分かってくれたように見えた。
これからも誤解が解けるように頑張ろうと思う。

「あの、紅花ちゃん。私も聞きたいことがあるんだけど」

「なに?」

「さっき揉めてた男の子かなり怒ってたよね?放っておいたら紅花ちゃんが危ないんじゃないかな」

余計なお世話だと思ったが、心配だ。

「あの男はちょっと優しくしたらストーカーになるよくいるパターンの奴だからへーき。まあ、噴水に落とされたのは予想外だったけど」

「ストーカー?おい、大丈夫なのか?」

今まで黙って話を聞いていたノアはついに口を開いた。

「別に、慣れてるから」

紅花ちゃんはそう言いながらまだ乾いていない髪の毛を1つにまとめて保健室を出ようとする。

「ちょ、紅花ちゃん?まだかわい……」
「濡れたままで良い。あたし、あなたのこと信用したわけじゃないから」

そう言ってピシャリとドアを閉めた。
と思ったらまた開いた。

「あと、『紅花ちゃん』て呼ばれるほど仲良くないから」

ピシャリ

今度はもう開かなかった。





私は、自分の役目を思い出した。


守護者ガーディアン研修生希望者の合宿に一緒に行く説得をする」


………………かなり厳しい、かも?
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