初恋と悪あがき

村上りく

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第2章

どうしてここに!? 1

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sideアイ

4月8日。
ルークくんの誕生日だ。
学校に行く前にパーティ用のドレスと靴、プレゼントを確認してから家を出た。

喜んでくれると良いな。

私はルークくんの喜ぶ顔を想像してにんまりした。



٭❀*



その日のテストは絶好調。
直前にやったところばかり出て、もしかしたらノアと良い勝負かもな~。
帰りのHR中、ちらりと隣を見る。
紅花ホンファちゃ……………シアさんは結局テストを受けていた。
ほぼ寝てたけど。
帰りになんとかして昨日の誤解を解いて、守護者ガーディアン研修生合宿の話をしたい。

「では、皆さんお気を付けて帰ってくださいね。ラッセルさんはちょっと残ってもらえるかしら?」

えっ、今ぁ?

私は夏さんに話しかけることが出来ずに先生の所へ行った。

「ごめんなさいね、守護者ガーディアン研修生合宿について話さなくちゃいけないことがあるのよ」

「いえ、大丈夫です…」

内心悔しく思いながらも、ニコル先生に罪はないので何も言わなかった。

「第3資料室に冊子を置いておいたから目を通してくれるかしら?私は今から部活のミーティングがあるから行かなきゃなのよ~」

ニコル先生は吹奏楽部の副顧問。
ルーベルの吹部は毎年全国大会出場の強豪だ。

「分かりました」

「終わり次第私も向かうわ、ごめんなさいね」

ニコル先生は申し訳なさそうに手を合わせて、足早に教室を出て行った。
さて、私も行こうかな。
第3資料室は確か3階の階段を上がってすぐの所だ。
私はのんびり帰り支度をしてノアと待ち合わせの時間を決めて、資料室に向かった。
一応「失礼します」と言いながら入ったけれど、誰もいない。
日差しが入ってくる暖かい部屋だった。
良いなぁ、ここ。
真ん中のテーブルに「ラッセルさん」と書いた付箋が貼ってある冊子を見つけた。
椅子に腰かけ、じっくりと目を通した。

『【オニノヤガラ病】の患者を見たことがある者』
守護者ガーディアンになりたい理由が明確な者』
など、

条件がいくつも書いてある。

ニコル先生は何を話すつもりなんだろう?
長くないと良いけどな。
早く帰らないとルークくんの誕生日パーティに遅れちゃう。

プリントを読んでいると、ドアがガタガタなり始めた。
えっなになに?
恐る恐るドアに近付き、開けてみるた。

「おぅあっ」

変な声を出したのはプリントの山を抱えた人。
どうやら手が使えなくて足で開けようとしていたらしい。
うわ、重そう。
大変だな~。

「あざす」

プリントの山で顔が見えないが、男の子のようだ。

「いえいえ、大変ですね」

そう言うと、男の子は何故か大慌てでプリントの山を一番近くのテーブルに置いた。
一瞬目が合った、気がした。
金髪に、綺麗な青い瞳。
あれ、この人…………………


 ズ ダ ァ ン !!!


空気がビリビリと震えた。
男の子が、物凄い勢いでドアを閉めたのだ。
なに、今の人。
急いでたのかな。
それにしては乱暴すぎだ、もっとドアの気持ちを考えて欲しい。

………あれ?
今の人、サシャさんにすごく似ていた気がする。

もしかして、サシャさん???
いや、無いか。
だってサシャさんて今26歳だし、学校に居るわけないし。
制服着てたし、本人だったら逆に怖い。

気を取り直して椅子に座り、資料を読むが全く集中出来ない。
文字をただ眺めているとまたドアが開いた。
開けたのは……………サシャさん?
輝く金髪に青い目、間違いない。
「どうしてここにいるんですか?」と聞きたかったけど、驚きすぎて声が出なかった。  

「よぉ、久しぶりだな」

サシャさんは、らしくない口調で言った。
雰囲気もいつもと違う。
制服のせいだろうか、幼く見える。
ゆっくりと近付いてくるサシャさん。
「お久しぶりです」と言おうとしたその瞬間。
視界からサシャさんが消えた。
厳密に言うと近すぎて見えない、と言うか、抱きしてられて、る…………???
ピャーチ国出身のサシャさんは日頃からスキンシップが激しい方だけど、肩を叩いたりとか、ちょっとしたハグをするくらいだ。
「抱きしめられる」のは初めてで、混乱した。

「今までどこにいたんだよ………?」

サシャさんの声は少し震えていた。
いつもより少し高めで、優しくて、なんだかドキドキしてしまった。

「どこって、ずっと資料室にいましたよ、急にどうしたんですか。具合でも悪いんですか?と言うか、どうしてここにいるんですか!?」

ドキドキしているのが恥ずかしくて、悟られないようにするために乱暴な言い方をしてしまう。
私の出身、サン国ではハグは挨拶がわりではない。
だからいつもスキンシップは控え目にって言っているのに。

「違う、どこで暮らしてたかって意味だよ馬鹿じゃねぇの?取り敢えず、まあ、元気なら良いけどさ」

???? なんか、変だ。
サシャさんから「馬鹿」なんて冗談でも言われたことがない。
言っている意味も全然分からない。

「はぁ?どこって、家ですよ。本当にどうしたんですか?」

サシャさんは驚いた様子で私を見た。
何も言わないのでついつい私が喋ってしまう。

「ルーベルの制服なんて着て何してるんですか。もうコスプレですよ?」

いくらイケメンでも26歳の男性が制服はちょっと…と思う。
びっくりするくらい似合っているけど。

「お、おい?久しぶりに会ってその反応はどうなんだ」

「その反応とは?」

「なんの感動もなさそうなその反応だよ!」

サシャさんに会うのは2月の授賞式ぶりだ。
そんなに久しぶりでもない気がするけど。 
連絡もしていたし。

「感動……ですか。そうですねぇ、お久しぶりです。お元気でしたか?」

また、黙ってしまった。
おかしい、絶対変だ。
この人本当にサシャさん……?





「なんか変ですよ?どうしたんですか、サシャさん」






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