26 / 150
眠り姫①
しおりを挟む
太陽が一番高い位置に上る頃、ジルベルト王子とその従者のアランは、宰相の執務室に押しかけていた。
それというのも、陛下から
「今朝ニコラスが、召喚された少女に会ったが、身体の具合は大丈夫そうだ」
と聞いたからである。
「ニコラス!俺も『聖女の姪』に会わせろ!」
仔犬が遊んで欲しいとおもちゃを持って来たような、王子のキラキラさせた目を見て、ニコラスは溜め息をつきながら、息子のアランの方を向いた。
「はぁー・・・、なんで殿下を止めなかったんです?」
「すみません、父上。
しかし、「お前も気になるだろう?」と言われたら、自分も強く言えず・・・。
なにしろ彼女は私の妹になる訳ですから!」
アランは父に軽く頭を下げると、そう意気込んだ。
「まだ公にも、本人にも伝えてないんですから、大きな声で言ってはいけません。」
ニコラスはもう1度溜め息をつき、アランはまた「すみません」と頭を下げた。
「だって気になるだろう?私の妃候補だ!」
王子がまたも意気込んで、執務机を叩いた。
「ですから、大きな声で叫ばないで下さい。防音の魔法がかかっているとはいえ、誰かが急に入って来るかもしれないんですから。」
ニコラスは呆れた顔を王子に向けて、またも溜め息をついた。
「それに、彼女は『ジルベルト王子殿下の妃候補になる可能性があるかもしれない女性_』です。妃候補ではありません。」
「『まだ』というだけだろう?
もう既に貴族登録は済ませているんだ。
宣言してないだけで、もうお前の娘だ。
という事は、妃最有力候補になるではないか!」
王子は拳を握って、力説した。
「彼女の声はどんなだった?瞳は黒か、茶色か?あの艶やかな黒髪を見ただろう?
あれは正に、父上が聖女様から聞いたと話してくださった『白雪姫』に出てくる姫、いや『眠りの森の美女』に、かくやあらん。
早く会わせろ!」
興奮する王子の横で、アランも目を爛々と輝かせている。
このままでは、延々と仕事の邪魔になりかねない。
それに、朝食の後眠っていると報告を受けたが、昼食を済ませたとは聞いていない。
ニコラスのお腹が「ぐぅー」と鳴った。
「まぁ、いいでしょう。
一緒に昼食を取るのも、良いかもしれませんね。」
そう言って、ニコラスは立ち上がった。
嬉しそうに目を輝かせる王子と息子を連れて、執務室を後にする。
「さて、淑女の部屋に、あまり知らない男性だけでぞろぞろ行くのは無粋ですから、召喚した彼らも誘いましょう。
彼らはまるで、彼女の騎士の様でしたしね。」
先に藤川真也と安堂康人の元に向かう。
王子の従者にするにあたって、彼らも他の貴族の養子として登録してあった。
説明をするなら、1度で済む方が効率的だ。
「彼らは、彼女とどういった関係なんだ?」
王子は、ニコラスの「騎士」発言に少し不満気だった。
「私が異世界の女性に紹介された内容では、彼女の良きライバルと彼女の部下的な存在だと聞きました。」
「男がライバルと部下か・・・。彼女は優れた女性なのだろう。」
実際に会う前から、王子の姫小路裕美への株は鰻登りだ。
ニコラスは、またも呆れたように溜め息をつくと、藤川真也のいる部屋のドアをノックした。
それというのも、陛下から
「今朝ニコラスが、召喚された少女に会ったが、身体の具合は大丈夫そうだ」
と聞いたからである。
「ニコラス!俺も『聖女の姪』に会わせろ!」
仔犬が遊んで欲しいとおもちゃを持って来たような、王子のキラキラさせた目を見て、ニコラスは溜め息をつきながら、息子のアランの方を向いた。
「はぁー・・・、なんで殿下を止めなかったんです?」
「すみません、父上。
しかし、「お前も気になるだろう?」と言われたら、自分も強く言えず・・・。
なにしろ彼女は私の妹になる訳ですから!」
アランは父に軽く頭を下げると、そう意気込んだ。
「まだ公にも、本人にも伝えてないんですから、大きな声で言ってはいけません。」
ニコラスはもう1度溜め息をつき、アランはまた「すみません」と頭を下げた。
「だって気になるだろう?私の妃候補だ!」
王子がまたも意気込んで、執務机を叩いた。
「ですから、大きな声で叫ばないで下さい。防音の魔法がかかっているとはいえ、誰かが急に入って来るかもしれないんですから。」
ニコラスは呆れた顔を王子に向けて、またも溜め息をついた。
「それに、彼女は『ジルベルト王子殿下の妃候補になる可能性があるかもしれない女性_』です。妃候補ではありません。」
「『まだ』というだけだろう?
もう既に貴族登録は済ませているんだ。
宣言してないだけで、もうお前の娘だ。
という事は、妃最有力候補になるではないか!」
王子は拳を握って、力説した。
「彼女の声はどんなだった?瞳は黒か、茶色か?あの艶やかな黒髪を見ただろう?
あれは正に、父上が聖女様から聞いたと話してくださった『白雪姫』に出てくる姫、いや『眠りの森の美女』に、かくやあらん。
早く会わせろ!」
興奮する王子の横で、アランも目を爛々と輝かせている。
このままでは、延々と仕事の邪魔になりかねない。
それに、朝食の後眠っていると報告を受けたが、昼食を済ませたとは聞いていない。
ニコラスのお腹が「ぐぅー」と鳴った。
「まぁ、いいでしょう。
一緒に昼食を取るのも、良いかもしれませんね。」
そう言って、ニコラスは立ち上がった。
嬉しそうに目を輝かせる王子と息子を連れて、執務室を後にする。
「さて、淑女の部屋に、あまり知らない男性だけでぞろぞろ行くのは無粋ですから、召喚した彼らも誘いましょう。
彼らはまるで、彼女の騎士の様でしたしね。」
先に藤川真也と安堂康人の元に向かう。
王子の従者にするにあたって、彼らも他の貴族の養子として登録してあった。
説明をするなら、1度で済む方が効率的だ。
「彼らは、彼女とどういった関係なんだ?」
王子は、ニコラスの「騎士」発言に少し不満気だった。
「私が異世界の女性に紹介された内容では、彼女の良きライバルと彼女の部下的な存在だと聞きました。」
「男がライバルと部下か・・・。彼女は優れた女性なのだろう。」
実際に会う前から、王子の姫小路裕美への株は鰻登りだ。
ニコラスは、またも呆れたように溜め息をつくと、藤川真也のいる部屋のドアをノックした。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる