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家庭教師③
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王妃様とのお茶会は、夏の庭のテラスで行うという事で、お父様と一緒に歩いているのだが、もう既に帰り道分かりません。
同じ様なドアが並ぶ廊下をいくつか曲がり、階段を下り、回廊を抜け、また同じ様なドアのある廊下を過ぎて・・・ここ何処ですか?
だいぶ歩いていると思うんですが。
「もうすぐだからねー。
ちょ~っと人通りの少ない道順で来たから、長く歩かせてごめんねー。」
また別の回廊を歩いていると、お父様がそう言った。
なるほど、だから騎士にもメイドさんにもあまり会わないのか。
美しい彫刻の刻まれた柱を眺めながら、さっき会ったメイドさんを思い出す。
今まで会ったメイドさん達とは、少し違う意匠の制服のメイドさんが、壁側に寄り頭を下げて道を譲ってくれていた。
紺色のスカートに、何かの白い粉がついていたので、チョンチョンと指で腕をつついて注意を向けさせると、スカートを指指した。
ちょっと慌てて頭下げたメイドさんの胸リボンが曲がっていたので、直してあげると、アワアワと口を開け閉めしていたので、ニコッと笑顔を向けたのだが・・・。
勢いよく頭を下げてすぐさま、「失礼致しました!」と顔を真っ赤にして逃げるように走り去って行ってしまった。
白い粉を付けたままじゃ恥ずかしいだろうと思って教えてあげたのだが、美形のお父様と騎士3人に見られたら、それはそれで恥ずかしいかも。
声が出たらコソッと教えてあげられたんだけれどね。
ーーーごめんね、メイドさん。
他の人達は近くに居なかったので、他の人には見られてないから、それで我慢して欲しい。
長い回廊が終わり、長く続いている廊下の中程で曲がると、少し遠くの正面に、日が当たって煌く緑が見えた。
そこが夏の庭だ。
ペチュニアが咲き乱れている。
庭に面して広い屋根が付いたテラスが広がっていた。
日陰になっているので、暑い日でも風が通れば過ごしやすい。
そのテラスの一角にテーブルと椅子がしつけられ、ケーキスタンドやガラスドーム、フルーツボウルなどデザートが乗ったワゴンが周りに並んでいた。
椅子には2人の女性が座っていた。
「お待たせしまして、申し訳ありません。」
お父様が女性達に向かって、胸に手を置いて会釈した。
私もスカートを少し掴み、軽く膝を折る。
どちらかの女性が、王妃様なのだろう。
ではもう一方は?
「大丈夫。私達も、ついさっき来たばかり。
もう少し遅くなると思っていたから、気にしなくて良いわ。」
「ええ。ほとんど待ってないわ。」
「ありがとうございます。王太后様、王妃殿下。」
また頭を下げるお父様と共に、私も一礼する。
もう1人は王太后様だったのか・・・。
席を勧められ、私達も着席する。
すぐにガラスのティーカップに入ったよく冷やした紅茶が、目の前にサーブされた。
「お好きなお菓子を、好きなだけどうぞ。
色々用意させたの。」
私は軽く会釈をすると、近くに寄せられたワゴンの方を向いて、果物がたくさん乗ったケーキとプディングを指差し、メイドさんに取り分けてもらった。
テーブルに向き直ると、私の様子をニコニコ見ていたお父様を、王太后様と王妃様がニヤニヤ見ていた。
「あの氷の微笑のニコラスが、すっかり親バカになって。」
「私はニコラスのにやけた顔、初めて見ましたわ。」
お2人がお父様を揶揄って、楽しそうにしている。
「私はにやけてなどおりませんよ。我が娘が可愛らしいなと思っていただけです。」
私はお父様の袖をチョンチョンと引っ張った。
恥ずかしいので、止めて欲しい。
お2人が「オホホホホ」と笑う。
「今、『聖女の姪』はブームになっているからねぇ。皆が皆、公爵令嬢に夢中じゃ。」
「本当に。喋れないからこそ動作が可愛らしいというか・・・」
3人が注目しているので、だんだん頰が熱くなってくる。
ブームってなんですか、私は流行り物ですか?
「これから城で色々学ぶのであろう?」
私はコクンと頷いた。
「何を学ぶのじゃ?」
私は首を傾げて、お父様を見た。
「とりあえず貴族の家で学ぶ事を一通り。あと、魔法と文字ですね。」
「文字?」
「ええ、あちらの世界とこちらでは言葉が違いますから。」
「言葉が通じるから、書けると思っていたが・・・。」
「魔法で分かるようにしているだけで、読めるんですが、書けないのです。」
お2人が、少し可哀相な感じで私を見る。
私は、持って来たカードから『頑張る』というカードを出し、小さくガッツポーズをしてみせた。
お2人が目を見張る。
「そのカードは何じゃ?それで会話をしておるのか?」
「小さく書いてあるのが、もしかして向こうの文字か?」
私はコクコク頷いた。
お2人が、ジーっとカードを見る。
しばらくして、王太后様が提案をした。
「私と文通をしてみないか?
始めは文章でなくて良い。その日にあった事を1つ以上書いて送り合うのじゃ。」
なるほど、必要に責められれば早く覚えられるだろう。
ただ、『王太后様と』というのが大変恐縮なんですが。
「ずるいですわ、お義母様。私も文通やりたいです。」
「それでは、ベルローズ公爵令嬢の負担が大きいでしょう?」
「むぅ・・・。」
ちょっと拗ねたような王妃様は、少し考えると、お父様に向かって質問した。
「ニコラス、各授業の教師はもう決まっているの?」
「まだ全てではありませんが、いくつかは決まっております。」
「では、マナーは?」
「まだ決まってはおりませんが・・・まさか?」
「私が教えます!」
同じ様なドアが並ぶ廊下をいくつか曲がり、階段を下り、回廊を抜け、また同じ様なドアのある廊下を過ぎて・・・ここ何処ですか?
だいぶ歩いていると思うんですが。
「もうすぐだからねー。
ちょ~っと人通りの少ない道順で来たから、長く歩かせてごめんねー。」
また別の回廊を歩いていると、お父様がそう言った。
なるほど、だから騎士にもメイドさんにもあまり会わないのか。
美しい彫刻の刻まれた柱を眺めながら、さっき会ったメイドさんを思い出す。
今まで会ったメイドさん達とは、少し違う意匠の制服のメイドさんが、壁側に寄り頭を下げて道を譲ってくれていた。
紺色のスカートに、何かの白い粉がついていたので、チョンチョンと指で腕をつついて注意を向けさせると、スカートを指指した。
ちょっと慌てて頭下げたメイドさんの胸リボンが曲がっていたので、直してあげると、アワアワと口を開け閉めしていたので、ニコッと笑顔を向けたのだが・・・。
勢いよく頭を下げてすぐさま、「失礼致しました!」と顔を真っ赤にして逃げるように走り去って行ってしまった。
白い粉を付けたままじゃ恥ずかしいだろうと思って教えてあげたのだが、美形のお父様と騎士3人に見られたら、それはそれで恥ずかしいかも。
声が出たらコソッと教えてあげられたんだけれどね。
ーーーごめんね、メイドさん。
他の人達は近くに居なかったので、他の人には見られてないから、それで我慢して欲しい。
長い回廊が終わり、長く続いている廊下の中程で曲がると、少し遠くの正面に、日が当たって煌く緑が見えた。
そこが夏の庭だ。
ペチュニアが咲き乱れている。
庭に面して広い屋根が付いたテラスが広がっていた。
日陰になっているので、暑い日でも風が通れば過ごしやすい。
そのテラスの一角にテーブルと椅子がしつけられ、ケーキスタンドやガラスドーム、フルーツボウルなどデザートが乗ったワゴンが周りに並んでいた。
椅子には2人の女性が座っていた。
「お待たせしまして、申し訳ありません。」
お父様が女性達に向かって、胸に手を置いて会釈した。
私もスカートを少し掴み、軽く膝を折る。
どちらかの女性が、王妃様なのだろう。
ではもう一方は?
「大丈夫。私達も、ついさっき来たばかり。
もう少し遅くなると思っていたから、気にしなくて良いわ。」
「ええ。ほとんど待ってないわ。」
「ありがとうございます。王太后様、王妃殿下。」
また頭を下げるお父様と共に、私も一礼する。
もう1人は王太后様だったのか・・・。
席を勧められ、私達も着席する。
すぐにガラスのティーカップに入ったよく冷やした紅茶が、目の前にサーブされた。
「お好きなお菓子を、好きなだけどうぞ。
色々用意させたの。」
私は軽く会釈をすると、近くに寄せられたワゴンの方を向いて、果物がたくさん乗ったケーキとプディングを指差し、メイドさんに取り分けてもらった。
テーブルに向き直ると、私の様子をニコニコ見ていたお父様を、王太后様と王妃様がニヤニヤ見ていた。
「あの氷の微笑のニコラスが、すっかり親バカになって。」
「私はニコラスのにやけた顔、初めて見ましたわ。」
お2人がお父様を揶揄って、楽しそうにしている。
「私はにやけてなどおりませんよ。我が娘が可愛らしいなと思っていただけです。」
私はお父様の袖をチョンチョンと引っ張った。
恥ずかしいので、止めて欲しい。
お2人が「オホホホホ」と笑う。
「今、『聖女の姪』はブームになっているからねぇ。皆が皆、公爵令嬢に夢中じゃ。」
「本当に。喋れないからこそ動作が可愛らしいというか・・・」
3人が注目しているので、だんだん頰が熱くなってくる。
ブームってなんですか、私は流行り物ですか?
「これから城で色々学ぶのであろう?」
私はコクンと頷いた。
「何を学ぶのじゃ?」
私は首を傾げて、お父様を見た。
「とりあえず貴族の家で学ぶ事を一通り。あと、魔法と文字ですね。」
「文字?」
「ええ、あちらの世界とこちらでは言葉が違いますから。」
「言葉が通じるから、書けると思っていたが・・・。」
「魔法で分かるようにしているだけで、読めるんですが、書けないのです。」
お2人が、少し可哀相な感じで私を見る。
私は、持って来たカードから『頑張る』というカードを出し、小さくガッツポーズをしてみせた。
お2人が目を見張る。
「そのカードは何じゃ?それで会話をしておるのか?」
「小さく書いてあるのが、もしかして向こうの文字か?」
私はコクコク頷いた。
お2人が、ジーっとカードを見る。
しばらくして、王太后様が提案をした。
「私と文通をしてみないか?
始めは文章でなくて良い。その日にあった事を1つ以上書いて送り合うのじゃ。」
なるほど、必要に責められれば早く覚えられるだろう。
ただ、『王太后様と』というのが大変恐縮なんですが。
「ずるいですわ、お義母様。私も文通やりたいです。」
「それでは、ベルローズ公爵令嬢の負担が大きいでしょう?」
「むぅ・・・。」
ちょっと拗ねたような王妃様は、少し考えると、お父様に向かって質問した。
「ニコラス、各授業の教師はもう決まっているの?」
「まだ全てではありませんが、いくつかは決まっております。」
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「私が教えます!」
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