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第11話 本心の音の儀と、“解かない約束”の告白
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儀式の日は、
驚くほどあっさりとやって来た。
神殿の鈴の塔の下――
石畳に描かれた大きな円。
その中央に、小さな円がふたつ。
向かい合うように印が刻まれている。
「ここに立って」
イリアさんに促され、
私は片方の円の中に立った。
もう片方には、
ユキシロ・シグレさん。
彼が神殿服ではなく、
いつもの黒い参謀服のままなのが、
妙に心強く感じられた。
「本心の音の儀は、
鈴守と、その鈴が最も強く輪を重ねる相手が、
互いの本心を鈴に聞かせる時間です」
リュシエルさんが、
周囲に集まった神官や警備隊に向けて説明する。
神殿の内外には、
厳重な警備が敷かれていた。
政庁から派遣された騎士たちが、
入り口という入り口を固めている。
(本当に、全部聞こえちゃうんだ……)
警備の意味を考え始めると、
足がすくみそうになる。
でも、逃げ出す場所もない。
逃げだしたくない、と
思ってしまったから。
◇
「では、始めます」
神官たちが、静かに祈りの詞を唱え始める。
円の縁に刻まれた文字が、
ゆっくりと光を帯びた。
胸元の鈴が、
じん、と熱を持つ。
(大丈夫、大丈夫)
自分に言い聞かせる。
鈴は、欲張りな願いが好き。
そう言ってくれた人たちがいた。
なら、
私の欲張りを、そのまま見せればいい。
「まずは鈴守」
リュシエルさんの声が響く。
「アサ。
あなたの鈴に、“守りたいもの”を教えてあげてください」
「……はい」
ゆっくり息を吸う。
目の前には、
静かに立つシグレさん。
少し離れたところには、
神殿の人たちと、
政庁から来た人たち。
そして、その向こうには、
王都で暮らすたくさんの人たちがいて。
「私が守りたいものは――」
声が、震えないように。
「私の村です。
転びそうな子どもたち。
冬の荷車を押すお年寄り。
あの石段と、
戻る場所としての家」
鈴が、やわらかく震えた。
「王都の人たちです。
市場の喧騒も、
政庁で徹夜する書記官さんたちも、
神殿で祈る人たちも」
輪が、足元から少し広がるのが分かる。
「山で一緒に戦った兵士さんたち。
笑って『過保護ロック』って呼んでくれた人たち」
彼らの顔が浮かぶ。
輪が、彼らの足元にも薄く重なるような気がした。
「……それから」
言葉が、喉で止まる。
でも、ここを言わなかったら、
儀式を受ける意味がない。
「ユキシロ・シグレさんです」
目の前の人の名を、
はっきりと呼ぶ。
「怖くて、かっこよくて、
国のための計算ばかりしているみたいで。
でも、本当はきっと……
あちこち、傷だらけで」
口にした瞬間、
シグレさんの輪が、わずかに揺れた。
「誰かに守られることを、
ずっと諦めてきた人だと思うから。
……守りたいんです。
私の鈴で」
鈴が、強く鳴った。
しゃらん――。
その音は、
石の床も、塔の壁も、
全部を通り抜けていくように感じられた。
「一番は、変えません」
自分で言って、自分で顔が熱い。
でも、言えてよかった、と
胸の奥が少しだけ軽くなる。
「ただ……」
息を吸って、吐く。
「その『一番』ごと、
みんなも守りたいです」
村も、王都も、兵士も。
シグレさんの“守りたいもの”も。
「だから、この鈴に教えます。
“シグレさんが守りたいものたちも、
一緒に輪の中に入れてください”って」
鈴が、少し長く震えた。
しゃらら……。
その音は、「聞いたよ」と答えてくれているようで、
少しだけ泣きたくなるくらい、やさしかった。
◇
「十分です」
リュシエルさんが静かに頷く。
「次は、ユキシロ参謀」
溜めていた空気が、
一気に重くなるのを感じた。
シグレさんは、
ほんの少しだけ肩を回したあと、
口を開いた。
「私が守りたいものは――」
一拍。
「王都の“構造”だ」
意外な言葉に、
周囲が少しざわめく。
「城壁。
水路。
税の流れ。
兵の配置」
淡々と、
数字のように並べていく。
「それらの均衡が崩れれば、
人々の暮らしはあっという間に瓦解する。
だから、私はそれを守るためにここにいる」
(参謀さんらしい……)
心の中で、少し笑ってしまう。
でも、彼はそこで言葉を止めなかった。
「だが、それだけなら、
誰でもいい役目だ」
少しだけ声が低くなる。
「私だけでなく、
誰か別の者でも務まるだろう。
もっと穏やかな者でも、
もっと人望のある者でも」
そう言ってから、
彼は一度、目を閉じた。
「“私にしか務まらない役目”だなどと、
思い上がるつもりはない」
その言葉に、
胸がきゅっとする。
「だからこそ――」
次の一言は、
ゆっくりと、噛み締めるように出てきた。
「私は、“私にしか見えないもの”を守ろうと思う」
「……?」
誰かが小さく息を呑む。
「戦場の数字の隙間で、
転びそうになる兵の足元。
見落とされがちな村の橋の欠け。
帳簿の端の、誰にも気づかれない誤差」
彼は、私の方を見た。
「そして――」
その目が、
まっすぐに私を射抜く。
「鈴の輪の向こう側で、
震えながらも“守りたい”と言ってしまう者」
喉が鳴る音が、
自分でも聞こえた。
「私は、自分のために守られることを好まない」
ゆっくりとした告白。
「守られなかったときの代償を、
どれほど見てきたか分からないからだ」
彼の過去が、
そこで少しだけ透けて見えた気がした。
「だが――」
息を吐く。
「君が、“私のわがままな気持ちで守りたい”と言った」
自分の言葉が、
彼の口から繰り返される。
「そのわがままを、
私は嬉しいと思ってしまった」
鈴が、強く鳴った。
しゃん――。
塔の上の鈴たちも、
遠くで共鳴する。
「君に守られたいと、
初めて思ってしまった」
その一言が、
胸の奥に矢みたいに刺さる。
「だから、私は鈴にこう頼む」
シグレさんが、足元の輪を見下ろす。
「“私だけを守るな”」
その声は、
はっきりとした命令だった。
「君が私を一番にするなら、
その“一番”を私が引き受ける。
その代わり――」
ゆっくりと顔を上げる。
「私が守りたい者たちも、
その輪の中に入れてくれ」
村の子どもたち。
王都の民。
兵士たち。
そして、鈴守アサ。
「私は、欲張りな参謀だ。
全部守りたいと、本気で思っている」
その言葉が、
鈴の内側に染み込んでいく。
「だから、君の欲張りと、
私の欲張りを一緒にしてしまえ」
ああ、と。
胸のどこかで、何かがほどける音がした。
鈴が、震えた。
今度は、
足元から頭上まで、全身を貫くような震え。
しゃらららら――。
塔の鈴も、中庭の小さな鈴も、
一緒になって鳴り出した。
◇
……同時だった。
神殿の外から、
鋭い魔力の波が押し寄せたのは。
「来た!」
外で警備していた騎士の叫び声が聞こえる。
「魔導陣の反応!
塔の基部からです!」
床の下――
足元の石の隙間から、
黒い線が這い上がってきた。
鈴の紋章。
王都を模した陣。
「“鈴封陣”……!」
リュシエルさんが顔色を変える。
「儀式の力を利用して、
鈴を参謀に縛りつけるつもりね」
黒い紋様が、
私たちの立つ円に絡みつこうとする。
「結界を厚く――!」
神官たちが慌てて詠唱を強める。
でも、鈴封陣の方が、
今は一歩早かった。
黒い輪が、
シグレさんの足元に向かって伸びる。
このままじゃ――
私の鈴ごと、
彼を縛ってしまう。
(嫌だ)
理屈より先に、
身体が動いていた。
黒い線と彼の間に、
自分の足を滑り込ませる。
「アサ!」
誰かの声が聞こえる。
鈴が、熱くなった。
(――嫌だ)
頭の中に、
あの日と同じ言葉が響く。
谷で、矢に向かってしまったとき。
「シグレさんにだけは当たらないで」って
思ってしまった、あの瞬間。
でも、今は違う。
(“シグレさんだけは”じゃない)
胸の中で、
別の言葉が膨らむ。
(“シグレさんが守りたいもの全部に、
こんなの届かないで”)
村も、王都も、兵士も。
彼が守ろうとしているもの全部。
それごと縛る封陣なんて、
絶対に嫌だ。
「――わたしの鈴は」
鈴を、両手で強く握りしめる。
「縛るための鈴じゃありません!」
叫んだ瞬間、
鈴が弾けた。
光の輪が、
私の足元から幾重にも広がる。
白い輪。
金色の輪。
淡い青の輪。
黒い線が、触れたそばから
ジジジと音を立てて溶けていく。
「封陣の線が……!」
「鈴の輪に、焼かれている……」
誰かの声が遠くで聞こえる。
シグレさんが、
私の後ろから肩を支えた。
「一人で受けるな」
低い声が、耳元で響く。
「……参謀殿?」
「君の鈴は、君のものだ。
だが、“守る範囲”は君だけの問題ではない」
彼の手が、
そっと私の手の上に重なる。
「君の“嫌だ”と、
私の“嫌だ”を、まとめて鈴に叩き込め」
胸が、熱い。
怖いのに、
不思議と落ち着く。
彼の輪が、
私の輪と重なっていくのが分かる。
黒い封陣の線が、
最後の力を振り絞るように波打った。
『一番守りたいのは誰だ』
耳の奥で、
誰かの声がした気がした。
鈴の問いかけかもしれない。
封陣の罠かもしれない。
だけど、答えはもう決まっていた。
「シグレさんです」
迷いなく言えた。
「でも――」
続ける。
「“シグレさんだけ”じゃ、嫌です」
輪が、ぴん、と張る。
「シグレさんが守りたいって思った人たちも、
全部、一緒に守りたいです」
村の子どもたち。
王都の人たち。
兵士たち。
神殿の人たち。
そして――
「わたし自身も」
ぽつり、と付け足す。
あまりにも小さな言葉だったのに、
鈴がそれを拾い上げた。
しゃらん、と。
やさしい音。
黒い線が、一気に砕け散った。
鈴封陣の紋様が、
床の上から消えていく。
残ったのは、
淡く光る鈴の輪だけ。
私と、シグレさんの足元に、
柔らかく重なっている。
◇
……どれくらい、時間が経ったのか分からなかった。
気づけば、
祈りの声も、外の騒ぎも収まっていた。
「封陣、消失。
塔と結界に異常なし!」
外からの報告に、
周囲の神官たちがほっと息をつく。
「……成功、ですか?」
かろうじて問うと、
リュシエルさんがほほ笑んだ。
「ええ。
封陣は焼き切られた。
鈴の輪の優先順位も――」
彼女は私とシグレさんの足元を見て、
満足げに頷く。
「変わりましたね」
「変わった?」
「“シグレ一点ロック”から――」
神殿記録官は、
少しだけ楽しそうに言った。
「“シグレ発・多方向過保護”に」
「……なにそれ」
思わず笑ってしまう。
「簡単に言うとね」
イリアさんが補足してくれる。
「アサが一番守りたいのは、
相変わらずシグレさんで」
「はい」
「シグレさんが守りたいのは、
王都の人たちや兵士たちや、
もちろんアサも含めた“全部”で」
「……はい」
「鈴はそれを聞いて、
“じゃあ、シグレさんを中心にしながら、
その輪を外側にも広げよう”ってなったの」
そう言われて、
足元の輪を見る。
私とシグレさんの足元を、
ひとつの輪が包んでいる。
そこから、細い線みたいな輪が、
神殿の外へ向かって伸びていくのが見えた。
中庭。
城下。
王都のあちこち。
戦場に引かれる未来の線も、
薄く、うっすらと。
(……欲張りだ)
自分で思う。
でも、
鈴はその欲張りを、
受け入れてくれた。
◇
「ユキシロ参謀」
宰相グレイムが前に出る。
「封陣を仕掛けた連中は、
外の警備隊が拘束した。
山の残党と、王都内の協力者だ」
「そうか」
「本心の音の儀の最中を狙うとは、
なかなか性質が悪い」
「性質の悪いものほど、
利用のしがいがあると考える者もいる」
シグレさんが、淡々と答える。
「だが、今回は鈴守の方が一枚上手だったようだ」
「おや」
宰相の目が、私に向いた。
「君が封陣の線の前に立ったと聞いたが」
「……怖くて、足が勝手に」
正直に言うと、
彼は意外そうに笑った。
「それでいい」
「え?」
「怖さを知らぬ守りほど、
危ういものはない。
怖いと思いながら踏み出せる者の方が、
よほど頼りになる」
その言葉に、
胸の奥がじん、と温かくなる。
「鈴の封印については――」
宰相は、シグレさんと私を見比べた。
「当面、議題から外しておこう」
「……ありがとうございます」
思わず深く頭を下げると、
彼は「礼を言うのはまだ早い」と苦笑した。
「これで君は、“国の鈴”でありながら、
ひとりの男を“過保護ロック”した鈴守だ」
「言い方……」
「誇っていいことだと思うがね」
からかうような口調なのに、
その目はどこか優しかった。
◇
儀式が終わり、
人々が少しずつ引いていく頃。
鈴の塔の下には、
私とシグレさんだけが残っていた。
石段から見える王都は、
夕陽に染まっている。
「……生きてますね」
ぽつりと呟く。
「当たり前だ」
隣から、すぐに返ってくる。
「いや、まあ、そうなんですけど」
笑ってしまう。
あの日、谷で矢が飛んできたとき。
もし輪が間に合わなかったら、と
何度も想像してしまった。
でも今、
彼はここに立っている。
鈴の輪に、過保護に包まれて。
「参謀殿」
「なんだ」
「さっきの、本心の音……
『君に守られたいと思ってしまった』って」
自分で口に出して、
また顔が熱くなる。
「本当に、本心ですか」
「嘘をついて儀式を乗り切れるなら、
私ももう少し器用だろう」
「……たしかに」
思わず頷いてしまう。
「ただし」
彼は空を見上げた。
「あれは“儀式用に整えた言葉”だ」
胸が、すこしひやっとする。
「本当は、もう少し醜い」
「醜い……?」
問い返すと、
彼は少しだけ困ったように笑った。
「君が他の誰かを一番に守りたいと言ったら、
計算が狂うな、と」
「……」
「君が私を一番にする限り、
私はその“中心”を引き受けられる。
それは、私にとっても都合がいい」
自分で言って、自分で苦笑している。
それが、なぜか嬉しい。
「じゃあ、
私も醜い本心を足します」
「ほう」
「シグレさんを一番にしているの、
半分くらいは私の都合です」
「都合?」
「だって、
怖いくらい頼りになる人が、
私を“必要だ”って言ってくれたから」
山の夜。
神殿の聞き取り。
先日の会議。
「その“必要だ”を、
手放したくないです」
自分で言っていて、
なんて幼いんだろうと思う。
でも、
それが本心だ。
「……いい取引だな」
シグレさんが、少しだけ笑った。
「醜さの等価交換だ」
「かっこよく言わないでください」
「褒めている」
夕風が吹く。
鈴が、胸元で小さく鳴いた。
しゃん。
「これからも、
日常では過保護に守られる」
シグレさんが、
自分の足元の輪を見下ろす。
「階段で転びそうになったら?」
「クッションが出る」
「書類の角で指切りそうになったら?」
「角が丸くなる」
「熱いお茶をこぼしそうになったら?」
「カップが浮く」
「……便利ですね」
「仕事はやりづらいがな」
ふたりで笑ってしまう。
「任務のときは、
君が範囲を調整しろ」
「はい。
今度は、みんなも守ります」
「それでこそ、国の鈴だ」
彼の言葉に、
胸の奥が静かに熱くなる。
怖いままで、
手放さないと決めた“私“。
怖いままで、
守られたいと認めてくれた“彼“。
そのふたりを、
今日、ようやく鈴が結び直してくれた。
夕陽に染まる王都の上で、
小さな輪が、静かに光っている。
しゃらん。
日常過保護、固定。
そのやさしい呪いが、
これからの私たちの日々を
ふわふわと包んでいくのだと思うと――
なんだか、とても、
幸せな気持ちになった。
驚くほどあっさりとやって来た。
神殿の鈴の塔の下――
石畳に描かれた大きな円。
その中央に、小さな円がふたつ。
向かい合うように印が刻まれている。
「ここに立って」
イリアさんに促され、
私は片方の円の中に立った。
もう片方には、
ユキシロ・シグレさん。
彼が神殿服ではなく、
いつもの黒い参謀服のままなのが、
妙に心強く感じられた。
「本心の音の儀は、
鈴守と、その鈴が最も強く輪を重ねる相手が、
互いの本心を鈴に聞かせる時間です」
リュシエルさんが、
周囲に集まった神官や警備隊に向けて説明する。
神殿の内外には、
厳重な警備が敷かれていた。
政庁から派遣された騎士たちが、
入り口という入り口を固めている。
(本当に、全部聞こえちゃうんだ……)
警備の意味を考え始めると、
足がすくみそうになる。
でも、逃げ出す場所もない。
逃げだしたくない、と
思ってしまったから。
◇
「では、始めます」
神官たちが、静かに祈りの詞を唱え始める。
円の縁に刻まれた文字が、
ゆっくりと光を帯びた。
胸元の鈴が、
じん、と熱を持つ。
(大丈夫、大丈夫)
自分に言い聞かせる。
鈴は、欲張りな願いが好き。
そう言ってくれた人たちがいた。
なら、
私の欲張りを、そのまま見せればいい。
「まずは鈴守」
リュシエルさんの声が響く。
「アサ。
あなたの鈴に、“守りたいもの”を教えてあげてください」
「……はい」
ゆっくり息を吸う。
目の前には、
静かに立つシグレさん。
少し離れたところには、
神殿の人たちと、
政庁から来た人たち。
そして、その向こうには、
王都で暮らすたくさんの人たちがいて。
「私が守りたいものは――」
声が、震えないように。
「私の村です。
転びそうな子どもたち。
冬の荷車を押すお年寄り。
あの石段と、
戻る場所としての家」
鈴が、やわらかく震えた。
「王都の人たちです。
市場の喧騒も、
政庁で徹夜する書記官さんたちも、
神殿で祈る人たちも」
輪が、足元から少し広がるのが分かる。
「山で一緒に戦った兵士さんたち。
笑って『過保護ロック』って呼んでくれた人たち」
彼らの顔が浮かぶ。
輪が、彼らの足元にも薄く重なるような気がした。
「……それから」
言葉が、喉で止まる。
でも、ここを言わなかったら、
儀式を受ける意味がない。
「ユキシロ・シグレさんです」
目の前の人の名を、
はっきりと呼ぶ。
「怖くて、かっこよくて、
国のための計算ばかりしているみたいで。
でも、本当はきっと……
あちこち、傷だらけで」
口にした瞬間、
シグレさんの輪が、わずかに揺れた。
「誰かに守られることを、
ずっと諦めてきた人だと思うから。
……守りたいんです。
私の鈴で」
鈴が、強く鳴った。
しゃらん――。
その音は、
石の床も、塔の壁も、
全部を通り抜けていくように感じられた。
「一番は、変えません」
自分で言って、自分で顔が熱い。
でも、言えてよかった、と
胸の奥が少しだけ軽くなる。
「ただ……」
息を吸って、吐く。
「その『一番』ごと、
みんなも守りたいです」
村も、王都も、兵士も。
シグレさんの“守りたいもの”も。
「だから、この鈴に教えます。
“シグレさんが守りたいものたちも、
一緒に輪の中に入れてください”って」
鈴が、少し長く震えた。
しゃらら……。
その音は、「聞いたよ」と答えてくれているようで、
少しだけ泣きたくなるくらい、やさしかった。
◇
「十分です」
リュシエルさんが静かに頷く。
「次は、ユキシロ参謀」
溜めていた空気が、
一気に重くなるのを感じた。
シグレさんは、
ほんの少しだけ肩を回したあと、
口を開いた。
「私が守りたいものは――」
一拍。
「王都の“構造”だ」
意外な言葉に、
周囲が少しざわめく。
「城壁。
水路。
税の流れ。
兵の配置」
淡々と、
数字のように並べていく。
「それらの均衡が崩れれば、
人々の暮らしはあっという間に瓦解する。
だから、私はそれを守るためにここにいる」
(参謀さんらしい……)
心の中で、少し笑ってしまう。
でも、彼はそこで言葉を止めなかった。
「だが、それだけなら、
誰でもいい役目だ」
少しだけ声が低くなる。
「私だけでなく、
誰か別の者でも務まるだろう。
もっと穏やかな者でも、
もっと人望のある者でも」
そう言ってから、
彼は一度、目を閉じた。
「“私にしか務まらない役目”だなどと、
思い上がるつもりはない」
その言葉に、
胸がきゅっとする。
「だからこそ――」
次の一言は、
ゆっくりと、噛み締めるように出てきた。
「私は、“私にしか見えないもの”を守ろうと思う」
「……?」
誰かが小さく息を呑む。
「戦場の数字の隙間で、
転びそうになる兵の足元。
見落とされがちな村の橋の欠け。
帳簿の端の、誰にも気づかれない誤差」
彼は、私の方を見た。
「そして――」
その目が、
まっすぐに私を射抜く。
「鈴の輪の向こう側で、
震えながらも“守りたい”と言ってしまう者」
喉が鳴る音が、
自分でも聞こえた。
「私は、自分のために守られることを好まない」
ゆっくりとした告白。
「守られなかったときの代償を、
どれほど見てきたか分からないからだ」
彼の過去が、
そこで少しだけ透けて見えた気がした。
「だが――」
息を吐く。
「君が、“私のわがままな気持ちで守りたい”と言った」
自分の言葉が、
彼の口から繰り返される。
「そのわがままを、
私は嬉しいと思ってしまった」
鈴が、強く鳴った。
しゃん――。
塔の上の鈴たちも、
遠くで共鳴する。
「君に守られたいと、
初めて思ってしまった」
その一言が、
胸の奥に矢みたいに刺さる。
「だから、私は鈴にこう頼む」
シグレさんが、足元の輪を見下ろす。
「“私だけを守るな”」
その声は、
はっきりとした命令だった。
「君が私を一番にするなら、
その“一番”を私が引き受ける。
その代わり――」
ゆっくりと顔を上げる。
「私が守りたい者たちも、
その輪の中に入れてくれ」
村の子どもたち。
王都の民。
兵士たち。
そして、鈴守アサ。
「私は、欲張りな参謀だ。
全部守りたいと、本気で思っている」
その言葉が、
鈴の内側に染み込んでいく。
「だから、君の欲張りと、
私の欲張りを一緒にしてしまえ」
ああ、と。
胸のどこかで、何かがほどける音がした。
鈴が、震えた。
今度は、
足元から頭上まで、全身を貫くような震え。
しゃらららら――。
塔の鈴も、中庭の小さな鈴も、
一緒になって鳴り出した。
◇
……同時だった。
神殿の外から、
鋭い魔力の波が押し寄せたのは。
「来た!」
外で警備していた騎士の叫び声が聞こえる。
「魔導陣の反応!
塔の基部からです!」
床の下――
足元の石の隙間から、
黒い線が這い上がってきた。
鈴の紋章。
王都を模した陣。
「“鈴封陣”……!」
リュシエルさんが顔色を変える。
「儀式の力を利用して、
鈴を参謀に縛りつけるつもりね」
黒い紋様が、
私たちの立つ円に絡みつこうとする。
「結界を厚く――!」
神官たちが慌てて詠唱を強める。
でも、鈴封陣の方が、
今は一歩早かった。
黒い輪が、
シグレさんの足元に向かって伸びる。
このままじゃ――
私の鈴ごと、
彼を縛ってしまう。
(嫌だ)
理屈より先に、
身体が動いていた。
黒い線と彼の間に、
自分の足を滑り込ませる。
「アサ!」
誰かの声が聞こえる。
鈴が、熱くなった。
(――嫌だ)
頭の中に、
あの日と同じ言葉が響く。
谷で、矢に向かってしまったとき。
「シグレさんにだけは当たらないで」って
思ってしまった、あの瞬間。
でも、今は違う。
(“シグレさんだけは”じゃない)
胸の中で、
別の言葉が膨らむ。
(“シグレさんが守りたいもの全部に、
こんなの届かないで”)
村も、王都も、兵士も。
彼が守ろうとしているもの全部。
それごと縛る封陣なんて、
絶対に嫌だ。
「――わたしの鈴は」
鈴を、両手で強く握りしめる。
「縛るための鈴じゃありません!」
叫んだ瞬間、
鈴が弾けた。
光の輪が、
私の足元から幾重にも広がる。
白い輪。
金色の輪。
淡い青の輪。
黒い線が、触れたそばから
ジジジと音を立てて溶けていく。
「封陣の線が……!」
「鈴の輪に、焼かれている……」
誰かの声が遠くで聞こえる。
シグレさんが、
私の後ろから肩を支えた。
「一人で受けるな」
低い声が、耳元で響く。
「……参謀殿?」
「君の鈴は、君のものだ。
だが、“守る範囲”は君だけの問題ではない」
彼の手が、
そっと私の手の上に重なる。
「君の“嫌だ”と、
私の“嫌だ”を、まとめて鈴に叩き込め」
胸が、熱い。
怖いのに、
不思議と落ち着く。
彼の輪が、
私の輪と重なっていくのが分かる。
黒い封陣の線が、
最後の力を振り絞るように波打った。
『一番守りたいのは誰だ』
耳の奥で、
誰かの声がした気がした。
鈴の問いかけかもしれない。
封陣の罠かもしれない。
だけど、答えはもう決まっていた。
「シグレさんです」
迷いなく言えた。
「でも――」
続ける。
「“シグレさんだけ”じゃ、嫌です」
輪が、ぴん、と張る。
「シグレさんが守りたいって思った人たちも、
全部、一緒に守りたいです」
村の子どもたち。
王都の人たち。
兵士たち。
神殿の人たち。
そして――
「わたし自身も」
ぽつり、と付け足す。
あまりにも小さな言葉だったのに、
鈴がそれを拾い上げた。
しゃらん、と。
やさしい音。
黒い線が、一気に砕け散った。
鈴封陣の紋様が、
床の上から消えていく。
残ったのは、
淡く光る鈴の輪だけ。
私と、シグレさんの足元に、
柔らかく重なっている。
◇
……どれくらい、時間が経ったのか分からなかった。
気づけば、
祈りの声も、外の騒ぎも収まっていた。
「封陣、消失。
塔と結界に異常なし!」
外からの報告に、
周囲の神官たちがほっと息をつく。
「……成功、ですか?」
かろうじて問うと、
リュシエルさんがほほ笑んだ。
「ええ。
封陣は焼き切られた。
鈴の輪の優先順位も――」
彼女は私とシグレさんの足元を見て、
満足げに頷く。
「変わりましたね」
「変わった?」
「“シグレ一点ロック”から――」
神殿記録官は、
少しだけ楽しそうに言った。
「“シグレ発・多方向過保護”に」
「……なにそれ」
思わず笑ってしまう。
「簡単に言うとね」
イリアさんが補足してくれる。
「アサが一番守りたいのは、
相変わらずシグレさんで」
「はい」
「シグレさんが守りたいのは、
王都の人たちや兵士たちや、
もちろんアサも含めた“全部”で」
「……はい」
「鈴はそれを聞いて、
“じゃあ、シグレさんを中心にしながら、
その輪を外側にも広げよう”ってなったの」
そう言われて、
足元の輪を見る。
私とシグレさんの足元を、
ひとつの輪が包んでいる。
そこから、細い線みたいな輪が、
神殿の外へ向かって伸びていくのが見えた。
中庭。
城下。
王都のあちこち。
戦場に引かれる未来の線も、
薄く、うっすらと。
(……欲張りだ)
自分で思う。
でも、
鈴はその欲張りを、
受け入れてくれた。
◇
「ユキシロ参謀」
宰相グレイムが前に出る。
「封陣を仕掛けた連中は、
外の警備隊が拘束した。
山の残党と、王都内の協力者だ」
「そうか」
「本心の音の儀の最中を狙うとは、
なかなか性質が悪い」
「性質の悪いものほど、
利用のしがいがあると考える者もいる」
シグレさんが、淡々と答える。
「だが、今回は鈴守の方が一枚上手だったようだ」
「おや」
宰相の目が、私に向いた。
「君が封陣の線の前に立ったと聞いたが」
「……怖くて、足が勝手に」
正直に言うと、
彼は意外そうに笑った。
「それでいい」
「え?」
「怖さを知らぬ守りほど、
危ういものはない。
怖いと思いながら踏み出せる者の方が、
よほど頼りになる」
その言葉に、
胸の奥がじん、と温かくなる。
「鈴の封印については――」
宰相は、シグレさんと私を見比べた。
「当面、議題から外しておこう」
「……ありがとうございます」
思わず深く頭を下げると、
彼は「礼を言うのはまだ早い」と苦笑した。
「これで君は、“国の鈴”でありながら、
ひとりの男を“過保護ロック”した鈴守だ」
「言い方……」
「誇っていいことだと思うがね」
からかうような口調なのに、
その目はどこか優しかった。
◇
儀式が終わり、
人々が少しずつ引いていく頃。
鈴の塔の下には、
私とシグレさんだけが残っていた。
石段から見える王都は、
夕陽に染まっている。
「……生きてますね」
ぽつりと呟く。
「当たり前だ」
隣から、すぐに返ってくる。
「いや、まあ、そうなんですけど」
笑ってしまう。
あの日、谷で矢が飛んできたとき。
もし輪が間に合わなかったら、と
何度も想像してしまった。
でも今、
彼はここに立っている。
鈴の輪に、過保護に包まれて。
「参謀殿」
「なんだ」
「さっきの、本心の音……
『君に守られたいと思ってしまった』って」
自分で口に出して、
また顔が熱くなる。
「本当に、本心ですか」
「嘘をついて儀式を乗り切れるなら、
私ももう少し器用だろう」
「……たしかに」
思わず頷いてしまう。
「ただし」
彼は空を見上げた。
「あれは“儀式用に整えた言葉”だ」
胸が、すこしひやっとする。
「本当は、もう少し醜い」
「醜い……?」
問い返すと、
彼は少しだけ困ったように笑った。
「君が他の誰かを一番に守りたいと言ったら、
計算が狂うな、と」
「……」
「君が私を一番にする限り、
私はその“中心”を引き受けられる。
それは、私にとっても都合がいい」
自分で言って、自分で苦笑している。
それが、なぜか嬉しい。
「じゃあ、
私も醜い本心を足します」
「ほう」
「シグレさんを一番にしているの、
半分くらいは私の都合です」
「都合?」
「だって、
怖いくらい頼りになる人が、
私を“必要だ”って言ってくれたから」
山の夜。
神殿の聞き取り。
先日の会議。
「その“必要だ”を、
手放したくないです」
自分で言っていて、
なんて幼いんだろうと思う。
でも、
それが本心だ。
「……いい取引だな」
シグレさんが、少しだけ笑った。
「醜さの等価交換だ」
「かっこよく言わないでください」
「褒めている」
夕風が吹く。
鈴が、胸元で小さく鳴いた。
しゃん。
「これからも、
日常では過保護に守られる」
シグレさんが、
自分の足元の輪を見下ろす。
「階段で転びそうになったら?」
「クッションが出る」
「書類の角で指切りそうになったら?」
「角が丸くなる」
「熱いお茶をこぼしそうになったら?」
「カップが浮く」
「……便利ですね」
「仕事はやりづらいがな」
ふたりで笑ってしまう。
「任務のときは、
君が範囲を調整しろ」
「はい。
今度は、みんなも守ります」
「それでこそ、国の鈴だ」
彼の言葉に、
胸の奥が静かに熱くなる。
怖いままで、
手放さないと決めた“私“。
怖いままで、
守られたいと認めてくれた“彼“。
そのふたりを、
今日、ようやく鈴が結び直してくれた。
夕陽に染まる王都の上で、
小さな輪が、静かに光っている。
しゃらん。
日常過保護、固定。
そのやさしい呪いが、
これからの私たちの日々を
ふわふわと包んでいくのだと思うと――
なんだか、とても、
幸せな気持ちになった。
10
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