怪異退治はアクマでゴリ押し

染西 乱

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美しいと怪しいは表裏一体。
整った姿形は非日常をもたらす悪いものとされることも多い。
コヨミ様の顔は、どこをどうとっても比率の整った美しい造形だ。
しかも表情の変化が乏しいため、人形のような作り物めいた雰囲気が強い。

食べ物に対する欲求もあまりなかったためか、線の細い身体はほとんど筋肉でできているのではないかと言う体躯をしている。
最近はサイリとケーキなどの甘味をコーヒーと共に嗜むことが増えたためか、血色が良くなって来ているが、以前は血の気が薄く、陶器のように透き通った青白い顔色だった。
つまるところ美しいが、どこか恐ろしい幽鬼じみた印象を持たれていたのだ。


それも最近は改善して来ているとは思うけれど、初めて見た時には不健康そうな美形と言う感じだった。

「おい、なんだこれは」

サイリがコヨミ様の机の上に置いた紙袋を見て、コヨミ様は胡乱げな顔をした。
紙袋はそれだけで商品になりそうなかわいらしいピンクのクマと、チョコレートを頭からかけられた茶色のクマが仲良く並んでドーナツを首からかけている。
ドーナツから落ちてしまったのか、クマの足元にはチョコスプレーが散乱している。
そうしてでかでかと主張の激しい店の名前が入っていて、かなり派手だ。

「おねーさまと新しくできたドーナツのお店に行ってきたので……」

「……なるほど、入野と」

コヨミ様は、ちら、と報告のために部屋に待機しているおねーさまを確認した。

「すごくおいしかったですよ~。コーヒーではなくて紅茶と一緒に食べるんです。しかもすごくたくさん種類があって! 私は別にお土産なんていらないと思ったんですけど、おねーさまがせっかくだからって……いらないなら私が家に持って帰っていいですか?」

あまり嬉しそうではないコヨミ様の態度を見て、
最後に図々しいことを言ったサイリは、三つしかないドーナツを分けるとすればやはり自分より年下の兄妹からだろうと考える。
牛乳と相性が良さそうだから帰りに牛乳も買い足したほうがいいかも。などと算段する。

「なにを言っている。私のために買ってきたみやげ
なんだろう?」

コヨミ様は、なぜか不機嫌そうにだれが渡すかとばかりに、折り曲げられていた紙袋の上の部分を開けた。

なんでお土産買ってきたのに不機嫌になるんだ。

紙袋に綺麗にならんだドーナツを見たコヨミ様は、また紙袋を閉じた。

「報告の後でコーヒーでも入れてくれ。……ちょうど3つあるしな」

中には、普通のものと、チョコがけのものと、フルーツが練り込まれたものが入っている。

「ご一緒してよろしいんですか?」

おねーさまは嬉しそうに顔を綻ばせた。

美人の笑顔は心の栄養……

サイリもふんすっと鼻息を強めた。

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