怪異退治はアクマでゴリ押し

染西 乱

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43 友達の心配

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仕事と学業両立なんてとんでもねぇ!
と思っていたのに、いざ始まってみると毎日がめまぐるしくていつの間にか三ヶ月ほどの時間が経過している。
人間案外出来るもんだな。
そろそろ、隊員たちの反応も「新人」に向けるものではなく、いつもの人に申し送りをするような温い対応になってきつつある。
仲間と認められたといえば聞こえはいいが、なんだかシャクでもある。

基本的に外での行動はコヨミ様についていくというのが基本だ。ほとんどの仕事はコヨミ様がやってしまうし、はたしてサイリが一緒に行くことに意味があるのか甚だ謎だ。

コヨミ様は仕事の合間のカフェ休憩に目覚めたらしく、サイリを伴っている時にはカフェ休憩を行う。
ケーキセットを頼む時もあれば、お昼を食べそこねたからと軽めのランチを食べる時もある。
サイリがお昼を食べ損ねることはないので、サイリはケーキセットを頼んだり、たまーにむしゃくしゃしている日には自分へのご褒美が必要とばかりにパフェなる至高の食べ物を頼んだりする。
支払いはコヨミ様がしてくれるので安心だ。

当然二人は【トキ】のお揃いの制服を着用しているため、目立っている。しかもコヨミ様の顔が、人外に美しいので更に目立っている。

サイリの生活圏内ということは、サイリの友達にとってもそれは同じだ。

「サイリ、最近冷たそうなイケメンとラブラブお揃い服でお出かけデートしてるんだってね~!? いつの間に彼氏出来たのよ! そいうことはちゃんと親友の私にも報告して欲しいんだけど!」

休み時間に友達から急にぶっ込まれて来た話題にサイリは驚いて目を見開いた。
なんなら口笛吹きそうなほど気楽な気分だったのが一気に吹き飛んだ。

「あ、それ私も見たことあるかも! 前に言ってた臨時のお仕事の人? 綺麗な男の人だよね~!」

もう一人の友達も、はいはい私も見かけたことあるッ、と会話に乱入してきた。
よもやこんなに目撃者がいるとは。
いや、学校の近くにも来たこともあるし、当たり前といえば当たり前だけど……

「大丈夫? 騙されてない?」

やけに心配そうな口ぶりで聞かれる。
友人の眉が下がっていて、こちらを伺い見る視線からかっているわけではないのだと知る。

「騙されるとかないよ。ただの仕事の上司だって。一緒にいるのは仕事教えてもらってるところだからだし」

「そう? ほんとに? 大丈夫?」

「大丈夫だって。……なんでそんなに心配してるの? なんかあったん?」

「うん……これは後輩ちゃんから聞いた話なんだけどね、最近うちの学生に声かけて信仰宗教に入れようとしてくる人がいるらしいの」

「そうなの? 初耳」

「そう言うのじゃなければいいんだけど……ちょっと心配になっちゃって……」

なるほど、逆美人局的な感じで騙されてるんじゃないかって思われてわけだな。
怪しいもんな~あの人……

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