好きと言えない僕と、言えない君と 〜そのナプキンは、不器用すぎる僕の純愛だった〜

古波蔵くう

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第2章:血痕の行方

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 桜見坂高校、廊下。
(え!? 血痕!)
廊下から、俺の教室に続く赤いシミのような血痕がある。出所は女子トイレからだった。教室に戻ると、スクールカーストの上位的存在でクラスのリーダー格、星野美咲ほしのみさきが、周りに気づかれないよう、スカートの後ろ側を必死に拭いていた。ハンカチが白いため、赤い血痕が目立つ。赤いメガネをかけたボブカットの星野。
(まさか、星野は生理が来ているのか?)
と俺は心の中で思った。男性の俺が思っちゃいけないことだと分かっているが、女性用ナプキンをつけて生活することが、日常化しているから、分かってしまう。スカートの血痕を拭き終えて、一息ついた星野。俺がその光景を無意識に見ていたのに気づき、顔を真っ赤にして視線を逸らした。俺は
(やばい……スクールカースト下位的存在の俺が、星野を数分間見ていたことを、あろうことか本人にバレた!)
俺は頭を悩ませた。星野は生理に苦しんでいる。その生理の痛みがどれくらいかだなんて、男の俺には想像できるわけない。だが、ナプキンは常時持ち歩いているから、渡せるかもしれない。けど、話すきっかけがない。
(どうしよう……)
俺は、その後も授業を聞いていたが一言一句頭に入ることはなかった。
 ウェルシオン薬局、桜坂店。俺はレジに緑さんがいることを確認して、生理用品コーナーに向かう。すると、緑さんは俺が来たことに気づいてすぐに来てくれる。
「今日は、どのようなものをお探しですか?」
可愛い笑顔で問いかけてくる緑さん。営業スマイルだと思うと胸が痛くなる。
「長時間、交換しなくていいナプキンってありますか?」
俺は緑さんに聞く。別に俺や雪姉ちゃんが使うわけじゃなくて、星野に貸そうと思っている。俺の要望を聞いて、緑さんが手に取ったのは空色のパッケージをした生理用ナプキン。『ガード・ブレス』と書いてある。
「こちらがオススメですよ! フローラ・ジャパンの製品でですよ!」
と教えてくれる。やっぱりこういう性能は、普段から使っている女性が一番知っているのかも。
「じゃあ、それにします……」
「レジまでご案内しますね!」
緑さんは、レジに案内してくれて、またレジ袋を1枚サービスしてくれた。
 桜見坂高校、廊下。俺の心臓が周りに聞こえるほど、
--ドクンッ! ドクンッ!
と激しく波打ってる。今にも胸を破って出てきそうなぐらいだ。
(ここで、星野に渡せばいいんだ! 脳内で数え切れないぐらいシミュレーションしたんだ!)
俺は星野が来るのを待った。学ランのポケットに手を突っ込んで待つ。学ランの中には、昨日緑さんが勧めてくれたガード・ブレスが数枚入っている。その内の1枚を渡せばいい。女子トイレにまた行かせるという二度手間をかけさせてしまうが。すると、血痕を残しながら、教室に戻る星野が見えた。今がチャンスだ!
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