好きと言えない僕と、言えない君と 〜そのナプキンは、不器用すぎる僕の純愛だった〜

古波蔵くう

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第3章:ナプキンと秘密

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 桜見坂高校、廊下。
(よし、今だ!)
俺は席を立って、星野の前に立ちはだかる。
「なに?」
不機嫌そうな表情で俺を見ている星野。
(こ、怖い……)
何度もシミュレーションをしたが、やはり怖くて言葉が喉まで出かかって声として出せない。
「邪魔だから、どいてくれない?」
俺は動かなかった。星野から滴る血の跡が広がっている。俺は学ランに突っ込んでいた手を出して、奇跡的にガード・ブレスのナプキンを持っていたので、星野の胸元に押しつけて去っていった。
(やっぱ、リーダー格に話しかけるなんて無理だー!!)
俺は無我夢中で逃げていった。廊下には半紙に力強く墨で書かれた『走るな!』という貼り紙があるけど。
 旧校舎、空き教室。
「はぁ……はぁ……」
俺は息切れしていた。今、ここがどこだか分からない。年季の入った木製の表札が教室戸の左上にあるという構造から、旧校舎だと分かった。桜見坂高校は元は1クラス分しかなかったが、生徒が年々増えたため、新校舎を新しく建設した歴史がある。
(まだ、昼食時間だし……ほとぼりが冷めるまで、ここに居よう……)
俺は空き教室の壁にもたれ、しばらく空想をしていた。スマホを教室に置いてきたから暇を潰す手段は、空想しかなかった。
 十数分後。俺が空想世界を謳歌していると
「見つけた……」
星野が来た。
(なんで、ここだって分かった!?)
まだ、赤い血が滴り落ちて血痕という名の足跡を残している。
「ど、どうしたの?」
「あの、これ……」
星野が手に持っていたのは、俺がさっき押し付けたガード・ブレスのナプキン。
「なんで、男のアンタがこんなの持ってるの?」
「え? あぁ、イトコの上の姉がイタズラで入れたんだ……」
俺はまた嘘をついた。『過敏な体質で』なんて口が裂けても言えない。イトコと言っても男か女か分からないと思ったから『上の姉』と付け足した。
「ねぇ、付け方教えてくれる?」
「え? 付けたことないの!」
星野は俺から視線を逸らして、こくっとうなずく。
「わ、分かった……」
俺は星野の持っているナプキンを手に取って、広げる。
「俺、後ろ向いとくから、下着を脱いで欲しい……下の方を」
「覗いたりしない?」
「しない! 男に二言はない!」
俺は星野に背を向けた。俺は旧校舎の端がガラス戸なのも分かっていた。ちゃんと目を瞑って視線を覆った。
「下ろした……」
俺が星野を振り返ると、パンティを靴下の上まで下ろしていた。薄ピンクと白の横ラインデザインのパンティだった。俺はナプキンをつけるため、中を一瞬見ると、深紅色に染まっていた。
「えーっと、前から中心を通って貼る……」
俺は星野のパンティにナプキンを付けた。
「これでいいよ……」
俺が完了を告げると、星野はパンティを履き直した。
「これ、あと数枚あるから……あげるよ」
俺は、学ランポケットに入れていたガード・ブレスを星野に差し出すが
「これからも……付けてくれる?」
「えぇ!? 自分で付けてよ!」
「私……今まで付けたことないから!」
「一応、このナプキン長時間で強力な吸収力あるから……」
俺は星野に言った。俺が頻繁に替えに行く必要はないってことだ。
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