死神代理人

古波蔵くう

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Episode.2

〈4〉主犯格1

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 三日後、毒島のクラス。
「みんな……もう既に知っていると思うが、
クラスメイトのドクジマが亡くなった……死因は自殺みたいだ」
担任はまだ、俺の苗字を読み間違えている。俺は今、どこにいるかというと花瓶に菊を添えられた席に座っている。俺はみんなからは見えていない。だって、俺は死んだから。
「みんなは、クラスメイトが亡くなって心に深い傷を負っただろう……だから、生徒のケアとして数週間休みにする!さぁホームルーム終了!解散!」
俺が死んだことで、数週間の休みを取ると学校側が決めたらしい。
《俺が心に傷を負っていることも知らねぇくせに……》
俺は苛立ちを立てていた。すると、一人の男子生徒が俺の席にやってきた。俺は見上げると、上智だった。
「お前が死んでくれて、助かった……お前が
居ても居なくても学校の雰囲気は変わらねぇから!」
上智は俺の席に添えられた菊の入った花瓶に話しかけていた。
「ホントにそうか?」
俺は喋り出す。上智はきょとんとする。
「は!ドクジマ?」
上智は辺りを見渡している。俺は死んでいるから当然見えるわけが無い。仮死状態では声を発すれば気付く。触られた感触もある。だが、他人に触れると透明化からは解除される。
「あのなぁ、何百回言ったら分かるんだ?俺はドクジマじゃなくてブスジマなんだよ!」
俺は上智の顔面を一発殴った。上智は吹き飛ばされ黒板に後頭部や背中を強打する。そして、透明化も解除される。
「毒島……生きてたのか?」
上智は鼻血を流していた。
「まだ、意識があるみたいだな……お前が産
まれる前まで記憶を消してやる!」
俺は机を持ち上げ、上智の顔面にぶつけた。上智は気絶した。
「あとは……屋上に靴と嘘の遺書を置いて、
落とすか」
俺は気絶した上智の靴を脱がし、屋上まで背負っていく。
 屋上。俺は上智を地面に転がす。
「お前は、俺のことが恋愛的な観点から好きだったから後追い自殺したってことにするから!」
俺は上智の靴を並べて嘘の遺書を置いた。
「じゃあな、上智……地獄で反省しろ!」
俺は上智を蹴っ飛ばす。上智は空中で三回ぐらい回転して、アルファルトに頭を強く打ち付けた。打ちどころが悪く死亡した。
「天乃!上智殺したぞ!」
俺は天乃を呼ぶ。
「良くやった……」
天乃は上智の胸から魂を抜き出した。そして、ヘッドドレスから魂を入れる。
「そっから、入れるのかよ……」
俺は天乃と顔を合わせる。
「次は誰?」
天乃は次の命を奪う人の名前を聞く。
「大岩達海……ゲームセンターに居るはず……」
俺は透明化し、天乃に抱かれ飛んでいく。確実に死んでないから。
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