死神代理人

古波蔵くう

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Episode.2

〈6〉主犯格3

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 大山川の自宅。
「おいおいおい!まじかよ!」
大山川は上智と大岩が死んだことが今朝のニュースで知ったみたいだ。実は二人が亡くなって
から数日経った。
《怯えるな……大山川、お前もすぐにあの二人に会えるようにするから!》
俺は大山川の部屋に侵入する。
「と、とりあえずテレビを見よう……」
大山川がテレビの電源ボタンを押すが付かない。
《俺が電線切っておいた!感電死しなかった……》
俺は大山川に恐怖を与える。
「なんだよ!電気まで使えなくなっているじゃねぇか!」
大山川がテレビのリモコンを投げる。
「トイレ行きてぇから、部屋出るか……」
大山川がドアを開けようとするが、開かない。
《ドアの縁に接着剤着けて置いた!》
俺は大山川を部屋に閉じ込めた。
「ドアがダメなら窓から……」
大山川は窓を開けようとするが開かない。椅子を投げつけても壊れない。
《接着剤着けて、強化ガラスに変えて、外側に速攻で固まるコンクリート塗ったから!》
俺は大山川が窓から脱出に奮闘する場面を見て、笑っていた。
「何でだよ!なんで俺は部屋に閉じ込められてんだ?」
大山川はスマホを手に取る。だが、付かない。時計も止まっている。
《充電量奪って時計も止めた!》
俺は大山川の部屋を現実世界から切り離したようにした。
「俺はいつ別世界に迷い込んだんだ?」
大山川は頭を抱える。俺は大山川のそばに紙切れを落とす。
「なんだ?これは……」
大山川が紙を開く。そこには次のようなメッセージが書かれていた。
『※別世界の脱出方法※
・首吊って死ぬこと』
と。自ら死なすことにした。
「いや、これはただの夢だ!そうだ、これはただの悪い夢だ……」
大山川は俺の指示を無視した。
《……俺の手で殺してやる!》
俺は睡眠薬一瓶分を大山川に無理やり飲ませ、殺した。
「ハッハッハ!俺はこれで未練を乗り越えた!俺はこれで元の生活に戻れる!」
俺はこの時、自分が死んだことが分からなかった。
「それは無理だよ……」
天乃が言う。
「なんでさ……」
俺は天乃の言葉に首をかしげる。
「貴方の死体はもう焼却されたから無いよ……」
俺は肉体が無くなってしまった。
「どうしたらいいんだ?」
俺は天乃に問う。
「選択肢は二つあるよ……一つ目は、我の寿命になる……二つ目は肉体なしでこの世界を彷徨う」
天乃は選択肢を出す。
「俺は死神代理人を辞職する!」
俺は天乃の前から姿を消した。天乃は大山川の魂を体内に吸い込んだ。
「せっかく生きる権利を与えたのに……」
天乃は死神界に帰った。
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