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8.犯罪巻き添え

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 市場商店街、女性下着店。俺は新しい下着を選んでいる下羽に聞いてみた。
「なぁ、下羽……毎日何使って登校してんの?」
と。下羽が初日ノーパンになったのには、何か原因があると思う。朝に履いていたけど、学校に着いたら履いていなかった。だったら、登校途中で被害に遭ったに違いない。
「え? えっと……電車だけど?」
下羽は『電車』と答えた。
「やっぱりか……」
俺は大体の予想は当たった。女性の外での被害は、挙げたらキリがないがもし徒歩以外の方法で登校して電車を使うとなるとごく稀に『痴漢』に遭うリスクがある。
「やっぱりかって、何か分かったの?」
下羽は、首を傾げる。
「居んだよ……電車には、が」
俺は下羽に痴漢が居ることを告げた。
「そうなの?」
下羽は、考え込む。たぶん下羽の想像する痴漢は、スカートの上から尻を触るとか、服の上から胸を触る会社員みたいな格好している中年男性をイメージしているだろう。けど今回は女子高生のパンティを奪う痴漢だ。かなり珍しいと思う。俺はある作戦を思い付いた。
「下羽……今日、下羽の家に泊まっていいか?」
俺は下羽に聞く。下羽は会計中に
「へ?」
と。疑問の声を漏らす。
「朝、下羽と同じ電車に乗って痴漢野郎を捕まえるから……」
俺は、理由を説明した。痴漢をしたいなら、自分の頭の中で留めて欲しいものだ。
「分かった……」
下羽は、賛成した。すごく嫌がっているのが分かる。俺は、下羽とは一緒に寝ず下羽の部屋の床で寝た。
 翌日、電車。
『次はー服近~服近~右側のドアが開きます』
アナウンスが聞こえた。
「下羽、満員で身動き取れないかもだけど……移動するよ」
俺は、下羽の有無を言わせず腕を引っ張る。これは、通学通勤者の渦の中に入ることを避けるための配慮だ。
《電車内にいると思ったんだけど……今日は偶々居なかったのか?》
俺は周りを見渡すか、誰1人も痴漢するような人はいない。
『ドアが開きます……ご注意ください』
ドアが開いた。次々と乗客が降りてくる。
「俺たちも降りるか」
俺は、下羽を連れて電車を降りたのだが、その先の記憶が無かった。
 誰かの家。俺が次に目を覚ましたのは、薄暗い部屋だった。日が照っているのに、暗い。そして、俺はパイプ椅子に拘束されていた。
「どこだ? 頭が痛ぇ……」
俺が、声を発すると
「目ヲ覚マシタカナ?」
カタコトの日本語が聞こえた。顔を上げると、血が付いた金属バットとメイド服を持った金髪の外国人男性がいた。
「誰だ? 貴様は……」
俺は名を聞く。
服崎覇郎フクザキハロウダ……」
痴漢をした犯人は、覇郎と言うらしい。
「下羽はどこにいる?」
俺が問いかけると
「今ワ……裸エプロン姿デ、浄化食ヅクリ中ダ……」
覇郎は、下羽に変な服装させて料理させている。
「浄化食ってなんだ? 下羽は穢れていない! 俺が助けた!」
俺は下羽に近寄る変態たちを倒してきた。下羽にGPSを持たせたから。
「俺ノ、精子ヲ沢山混ゼタ美味イ飯ダ……」
覇郎は、メイド服を投げ捨てる。そして、カメラを持って
「後デ、彼女ノコスプレ写真、ヤル……」
と言って、部屋を出て行った。俺は、手の甲や足音でモールス信号のように音を刻んだ。実は、俺はベルトにマイクロチップを埋め込んだ。そして、モールス信号を受信するようにしていた。俺がモールス信号を送ったのは、場所を知っている者のみ。高校の友達、服池航ふくいけわたると下羽の友達呉服律くれはりつの2人に伝わることを祈るばかりだ。
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