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第3章:絶望と救済
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数週間後。テレビにスイート・シュガーの姿をした蜜村が映っていた。CMで、蜜村、きらめくキャンディに囲まれた夢のようなセットの中で、元気いっぱいの笑顔で語りかける。
元気いっぱいの笑顔で、様々な形のキャンディをアピールしながら
『見て見て! 色んな形、色んな味! 私たちのアイデアと、ハッピースイーツコーポレーションさんのすごい技術が合わさった、夢みたいなキャンディだよ!』
次に、板チョコのネクタイを指さしながら、お茶目な表情で
『キャンディなのに、チョコの気分も味わえちゃう……かも!? 色んな「?」が詰まった、楽しいサプライズがいっぱい!』
カメラに向かって両手を広げ、満面の笑顔で
『味も、見た目も、想いも、ぜーんぶ詰まったこのスペシャルなキャンディ、ぜひみんなの「想い出」の仲間入りさせてね!』
という、スイート・シュガーの可愛さを全面に押し出されていた。動画投稿サイトYouTubeにも投稿されていて、再生回数と高評価がとてつもないバズり出し、翌日にはニュースにも取り上げられた。
しかし、蜜村はコラボのCM出演後、部活に来なくなった。教室にもいないし、部室にも来ない。俺はYouTubeを見るとそのコラボCMを投稿した内の1人
『甘味巡りりょーたのSWEET ROOM』
というチャンネルだった。この人は、スイーツや食に関するレビュー、Vlog、体験を投稿している。その人が投稿したスイート・シュガーのコラボ企画CMは低評価が、高評価を上回っていた。
コメントでは以下の酷いアンチがあった。
名無し(棒付きキャンディ):なにこのブス? 顔加工しすぎでしょ。こんなのがCM出るなんて世も末。見てて不快だから消えてくれないかな。
通りすがりのチョコ(板チョコ):結局、裏でコソコソしてる陰キャでしょ。表舞台に出てくるとか迷惑でしかない。いなくなればみんなスッキリするのにね。
甘いもの嫌い:演技も笑顔も全部嘘くさい。このキャンディもどうせ見かけ倒しでしょ。こんなんで売れると思ってんの? 勘違いも甚だしい。もう二度と出てこないで。
無名評論家:あんたみたいな出来損ないは、もう表に出てこない方がいいんじゃない? 無理して頑張るフリとか痛々しいから。いっそ楽になれば?
影の監視者:吐き気がするほど不快。画面から出てこないで。あんたがいるだけで全部台無しになるから。関わらないでほしい。
と。俺はハラワタが煮えくりかえりそうだった。この投稿者はちゃんと企業から許可を得た上で投稿した。ちゃんと概要欄に記載してある。
《なんでこんな酷いことが書けるんだ! 蜜村のこと何も知らないくせに!》
俺は、蜜村のいる教室に向かう。蜜村は確か1年A組だったはず。
1年A組。蜜村の姿は無かったが、一個だけ異質な机があった。机の上にマジックペンで書かれたような暴言が書いてあった。俺が確認しただけでも
『メスガキ』
『肉便器』
『尻軽女』
『中年男に媚び売るな』
などの心なしの言葉が落書きされていた。
《このままでは、蜜村が危ない!》
俺は異常事態を伝えるべく、顧問の三谷先生を探す。しかし、見つからず焦る中、蜜村のクラス担任が職員室にいるのを見つけた。俺は担任教師に、蜜村の机の状況を伝え、
「蜜村が、もしかしたらすごく危ないかもしれません! 部室にもいないし、どこにも連絡がつきません!」
と、切迫した表情で訴えた。
担任教師は、俺のただならぬ様子と、机の落書きという具体的な状況証拠に驚き、事態の深刻さを即座に察知した。個人情報の観点から生徒の住所を教えることにはためらいがあるものの、担任として生徒の命に関わる危機を放置することはできない。担任教師は迷った末、俺の真剣な眼差しに動かされ、
「わかった! すぐに蜜村さんの家へ向かおう!」
と決断。俺と共に蜜村の自宅へと駆けつけます。
蜜村家。俺は蜜村の家に入り、2階に駆け上がる。すると、すぐそばの部屋に
『Shizuka』と手製の掛け軸みたいなものがドアにあった。ドアノブを回すが開かない。
《くっそぉ……どうすれば……》
俺が制服のズボンのポケットを漁ると、針金が入っていた。俺は針金をドアに刺しこじ開ける。中には、白い煙が充満していて、倒れている蜜村と練炭を焼いている七輪があった。俺は蜜村の自室の窓を開けて七輪を練炭ごと投げ捨てた。そして、蜜村の両肩を揺さぶり必死に呼びかけた。
「蜜村! しっかりしろ! 目を覚ませ! 君の価値を決めるのは、誰かの言葉じゃない……君自身なんだ!」
と。蜜村は意識が朦朧としていた。しばらくして蜜村から話を聞いた。蜜村はコラボのCM出演後、クラスメイトから無視されていた。LINEのグループに退会してもすぐに再招待され、あのYouTubeのコメント欄のスクショを送る。机の落書きでもう誰も助けてくれないと思い、自殺を試みた。と。自殺は未遂に終わった。だが、これ以上蜜村を苦しめた奴は許さない。首謀者は教えてくれなかったけど。
元気いっぱいの笑顔で、様々な形のキャンディをアピールしながら
『見て見て! 色んな形、色んな味! 私たちのアイデアと、ハッピースイーツコーポレーションさんのすごい技術が合わさった、夢みたいなキャンディだよ!』
次に、板チョコのネクタイを指さしながら、お茶目な表情で
『キャンディなのに、チョコの気分も味わえちゃう……かも!? 色んな「?」が詰まった、楽しいサプライズがいっぱい!』
カメラに向かって両手を広げ、満面の笑顔で
『味も、見た目も、想いも、ぜーんぶ詰まったこのスペシャルなキャンディ、ぜひみんなの「想い出」の仲間入りさせてね!』
という、スイート・シュガーの可愛さを全面に押し出されていた。動画投稿サイトYouTubeにも投稿されていて、再生回数と高評価がとてつもないバズり出し、翌日にはニュースにも取り上げられた。
しかし、蜜村はコラボのCM出演後、部活に来なくなった。教室にもいないし、部室にも来ない。俺はYouTubeを見るとそのコラボCMを投稿した内の1人
『甘味巡りりょーたのSWEET ROOM』
というチャンネルだった。この人は、スイーツや食に関するレビュー、Vlog、体験を投稿している。その人が投稿したスイート・シュガーのコラボ企画CMは低評価が、高評価を上回っていた。
コメントでは以下の酷いアンチがあった。
名無し(棒付きキャンディ):なにこのブス? 顔加工しすぎでしょ。こんなのがCM出るなんて世も末。見てて不快だから消えてくれないかな。
通りすがりのチョコ(板チョコ):結局、裏でコソコソしてる陰キャでしょ。表舞台に出てくるとか迷惑でしかない。いなくなればみんなスッキリするのにね。
甘いもの嫌い:演技も笑顔も全部嘘くさい。このキャンディもどうせ見かけ倒しでしょ。こんなんで売れると思ってんの? 勘違いも甚だしい。もう二度と出てこないで。
無名評論家:あんたみたいな出来損ないは、もう表に出てこない方がいいんじゃない? 無理して頑張るフリとか痛々しいから。いっそ楽になれば?
影の監視者:吐き気がするほど不快。画面から出てこないで。あんたがいるだけで全部台無しになるから。関わらないでほしい。
と。俺はハラワタが煮えくりかえりそうだった。この投稿者はちゃんと企業から許可を得た上で投稿した。ちゃんと概要欄に記載してある。
《なんでこんな酷いことが書けるんだ! 蜜村のこと何も知らないくせに!》
俺は、蜜村のいる教室に向かう。蜜村は確か1年A組だったはず。
1年A組。蜜村の姿は無かったが、一個だけ異質な机があった。机の上にマジックペンで書かれたような暴言が書いてあった。俺が確認しただけでも
『メスガキ』
『肉便器』
『尻軽女』
『中年男に媚び売るな』
などの心なしの言葉が落書きされていた。
《このままでは、蜜村が危ない!》
俺は異常事態を伝えるべく、顧問の三谷先生を探す。しかし、見つからず焦る中、蜜村のクラス担任が職員室にいるのを見つけた。俺は担任教師に、蜜村の机の状況を伝え、
「蜜村が、もしかしたらすごく危ないかもしれません! 部室にもいないし、どこにも連絡がつきません!」
と、切迫した表情で訴えた。
担任教師は、俺のただならぬ様子と、机の落書きという具体的な状況証拠に驚き、事態の深刻さを即座に察知した。個人情報の観点から生徒の住所を教えることにはためらいがあるものの、担任として生徒の命に関わる危機を放置することはできない。担任教師は迷った末、俺の真剣な眼差しに動かされ、
「わかった! すぐに蜜村さんの家へ向かおう!」
と決断。俺と共に蜜村の自宅へと駆けつけます。
蜜村家。俺は蜜村の家に入り、2階に駆け上がる。すると、すぐそばの部屋に
『Shizuka』と手製の掛け軸みたいなものがドアにあった。ドアノブを回すが開かない。
《くっそぉ……どうすれば……》
俺が制服のズボンのポケットを漁ると、針金が入っていた。俺は針金をドアに刺しこじ開ける。中には、白い煙が充満していて、倒れている蜜村と練炭を焼いている七輪があった。俺は蜜村の自室の窓を開けて七輪を練炭ごと投げ捨てた。そして、蜜村の両肩を揺さぶり必死に呼びかけた。
「蜜村! しっかりしろ! 目を覚ませ! 君の価値を決めるのは、誰かの言葉じゃない……君自身なんだ!」
と。蜜村は意識が朦朧としていた。しばらくして蜜村から話を聞いた。蜜村はコラボのCM出演後、クラスメイトから無視されていた。LINEのグループに退会してもすぐに再招待され、あのYouTubeのコメント欄のスクショを送る。机の落書きでもう誰も助けてくれないと思い、自殺を試みた。と。自殺は未遂に終わった。だが、これ以上蜜村を苦しめた奴は許さない。首謀者は教えてくれなかったけど。
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