実姉弟の恋⁉︎

〈５〉実力テストから新歓

　入学式当日、教室。入学式が終わって、各クラスに集まれられた。今から、クラス会を行うのだ。驚くことに、俺とゆま姉は同じクラスだった。
「ぜってぇ、親父とお爺のせいだろう……」
俺は頬杖を付く。ゆま姉を見ると、同じく頬杖を付いている。すると、１番最初の生徒が自己紹介する。
「皆さん……初めまして！　オレは愛甲琉人あいこりゅうとと言います、よろしくお願いします」
琉人は、セオリー通りの自己紹介をした。
　数分後。俺の自己紹介が来た。
「み……皆さん、初めまして！　勝占行一です……俺の家系は占い一家で、俺はタロット占いの力を秘めています……お見せしましょう」
俺は担任を使い、タロット占いを証明した。
　数１０分後。ゆま姉の自己紹介が来た。
「み……皆様！　初めまして！　勝占ゆまと申します……私も占い一家の家系ですが、占いの力は秘めておりません、よろしくお願い申し上げます」
ゆま姉は、占いの力を持って無かった。
　放課後。俺とゆま姉は、２人一緒に帰った。
「ほんとに、何も占いの力ないの？」
俺は聞く。
「持ってないよ……行一こそ、タロット占い出来たの？」
ゆま姉も律儀な口調から、タメ口になってきている。
「俺ら双子の姉弟なのに、育った環境が違うから似てないのか？」
俺はゆま姉の手を繋ぐ。姉弟だから当然の事だ。
　翌日。教室に来ると、俺とゆま姉の名前で相合傘が黒板に書かれていた。
「誰だよ！　書いたやつ！」
俺は、黒板消しを手に取ると男子生徒２人に抑えられて、教室の後ろに追いやられた。
「事実なんだから、認めろよ！」
男子生徒が俺の髪を掴む。
「あ？　何のことだ？」
俺はタロット占いしたことしか明かしていない。こいつは何を言っているんだ。
「お前が、ゆまと付き合っていることだよ！」
別の男子生徒は俺の顔面を蹴る。
「お……俺は、ゆまと付き合っていない！」
俺は鼻血と吐血をした。ゆま姉と付き合っていることは否定した。
「ホントの事だろ？　あぁ、苗字一緒だから……結婚してるのか？　日本の法律違反者だぜぇ？」
髪を掴んでいた男子生徒は俺をうつ伏せ状態にし、足で肺を圧迫させる。
「お……俺はまだ結婚できる年齢じゃ……ない」
結婚してることも否定した。
「どこまで、否認する気だ？」
髪を掴んだ男子生徒は肺の圧迫を両足でした。呼吸困難になっている。
「やめてよ！　私は行一とは付き合ってもいませんし……結婚もしていません！　姉弟です！」
ゆま姉は、姉弟である事を暴露した。
《姉ちゃん！　バラすなって！》
俺はアイコンタクトで、ゆま姉に話しかける。
《行一が生死の境にいるのに、バラさないと死ぬよ？》
アイコンタクトで答えが返ってくる。正論すぎる。
「姉弟かよ？　じゃあ、１日隠していたから……窒息死決定な！」
俺は窒息死させられる。
「行一のいじめをやめないなら……殴るよ？」
ゆま姉が、拳を握りしめる。
「殴れるもんなら、殴ってみな？」
俺の肺を圧迫する男子生徒はヘラヘラ笑っている。女子のパンチなんて、弱いって思っているんだ。男子生徒は一発殴られ、吹き飛ばされた。頬に痕が残っている。占い一家は腕力も鍛えられる。男子生徒は、頭も打ったのか気を失っている。
　放課後、勝占家。
「何で俺だけ……いじめられるんだ！」
俺は、ゆま姉の胸に顔を埋め泣いている。
「明日、体得先生に相談してみましょう……」
ゆま姉は、俺らのクラス担任、体得運麻たいとくうんま先生に相談するらしい。まぁ、毎日いじめに耐えるよりはマシだ。ちなみに、ゆま姉には
「ゆまはいいなぁ？　あんな可愛い弟きゅんが居て……」
など、言われていた。俺はカッコいい部類じゃなくて可愛い部類に入るのか。後日、担任にも相談はしたものの悪質ないじめは絶えなかった。
　新歓、試合中７組対８組。今日は新歓。みんなは喜ばしいことかもしれない。種目はバレーボール。俺はドッジボールのように、当てられ続けられたため得点係になった。毎日、泣きじゃくったせいで目が腫れている。今日はサングラスを掛けている。
「ひと……行一！」
得点係の琉人が話しかけていた。
「どうしたの？」
俺は今までのいじめの記憶がフラッシュバックしていた。
「７組……１点入ったぞ」
琉人が教えてくれた。俺は７組の得点版をめくる。
「行一ってさ、なんで姉に全然似てねぇんだ？」
琉人が話しかける。
「俺とゆま姉、二卵性双生児みたい……一卵性とは違って、２つの卵子にそれぞれ違う精子が同じタイミングで入ったんじゃない？　よく知らないけど」
ちなみに、一卵性双生児の場合は、卵子が細胞の増殖などにより２つに分かれて全くそっくりな子供が２人生まれる。性別も同じ。
「姉が居ていいなぁ！　オレは一人っ子だから……」
琉人が体育館の天井を見上げる。
「俺とゆま姉は高校入学してから会ったから、俺も大体一人っ子のように育てられたよ」
俺は得点係をしていたが、ゆま姉は試合に参加していた。
　女子の試合、４組対８組。
「２枚ブロック！　いける？」
ゆま姉と球磨颯くまはやてが、２枚ブロックをしてボールが味方の所へ落ちる。８組に得点が入る。
「ゆま？　バレー上手いね！　バレー部だった？」
颯がゆま姉に聞く。
「いや、週１でバレー部に通ってただけ……」
ゆま姉はバレー部に通ってただけだった。こんな感じで、俺とゆま姉に友達が出来た。