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挑戦の章『将棋部の誘い』【希士side】
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俺の名は、将基希士。一文字間違えたら『将棋棋士』に聞こえるだろう。だが、俺は将棋のことなんて一ミリも分からない。なのに、同級生は俺に将棋をやらせる。だが、駒の動かし方すら分からない俺を見て
『将棋できない将棋棋士』
というレッテルが貼られた。それが中学3年間続いた。
高校に進学した。俺の知り合いが絶対いない私立の附属高校を受験した。なのに、俺の同中が他中の友達に俺のことを教えられ『将棋できない将棋棋士』のレッテルを言われ続けた。入学してから数週間後、俺は母方の祖父将田龍馬の家に言った。
将田家。
「じいちゃん……」
俺は暗い声で祖父に話しかける。龍馬爺ちゃんは、将棋の非公式戦の録画を見ている。俺らの住む地域には観客も記録係も居なくて、暗い部屋で将棋の盤上すら映さないでひたすら二人が対局している非公式戦が民放で放送されている。番組の番組表に『未定』が入っていたり、予告なしに番組の内容を変更せざるを得ない時に流れている。
「おう! 希士……どうだ? 高校生活は?」
龍馬爺ちゃんが高校生活を聞く。
「中学と変わんないよ……『将棋できない将棋棋士』って言われた……じいちゃん、将棋は何か教えてくれ……」
俺は、龍馬爺ちゃんに言った。実は、初めて龍馬爺ちゃんにこの事を打ち明けた。龍馬爺ちゃんは、録画を止めて立ち上がり電話をかけていた。指の動きで分かった。俺の通っている附属高校の電話番号だ。すると、言いたい事だけ怒鳴って受話器を力強く叩きつけた。そして
「希士! 今からワシが将棋がどんなものか教えてやる!」
と。言い、将棋盤や駒を取り出し非公式戦を何十回も見せた。非公式戦は盤上が映っていないから、ある程度の知識はないと見れないようになっているのだが。俺はこの日から数ヶ月に渡って、龍馬爺ちゃんからスパルタ式で将棋のルールを教えてもらったが、何一つとして頭に入らなかった。全て怒鳴り口調で何言っているのか理解できなかった。
1年後。俺は、ここの附属高校に将棋部があることを知り体験入部することにした。
将棋部部室。
「みんな! 今日は体験入部者がいる! 入ってきてくれ!」
将棋部顧問の鬼塚将留が俺を呼んだ。
「将基希士です! よろしくお願いします!」
俺はみんなに挨拶する。将棋部は部長合わせて6名いた。
「そうだ! 今日は特別講師が来るんだった! 希士すまんな……」
鬼塚顧問が言った。特別講師とは、一体誰だろうか。すると、分厚いコートにつばのでかい帽子を被った人が入って来た。性別も分からないし、顔はマスクとグラサンで素顔が分からない。
「みんな! 特別講師の愛小駒だ」
鬼塚顧問が特別講師の名を名乗った。名前からして、女性だろう。
「え! 鬼塚先生! 愛小駒って、キラキラクローゼットのブランドを持っているアイドル棋士のココマですか?」
将棋部部長愛薬将暉が、興味津々な目で問いかける。すると、小駒さんはビクッ!と驚いていた。これは、図星だな。
「愛薬……正に、そうだ」
鬼塚顧問は、呆れた口調で言った。あとで知ったのだが、将暉部長はアイドルオタクだった。中でもアイドル棋士が推しらしい。
対局練習。
「ん? 奇数だから一人余るか……じゃあ希士! 君は特別講師と対局だ」
俺は、奇跡的に小駒さんと対局することになった。小駒さんは分厚いコートなどを脱がず、将棋盤の前に立つ。そして、俺を一目見て
「君……初心者だね」
と。俺を初心者だと見抜いた。
「どこから、分からないの?」
小駒さんの声は、透き通るような可愛い声だ。これがアイドル棋士の声なのか。
「駒の動かし方から……分かんないです」
俺は駒の動かし方から分からなかった。すると小駒さんは立ち上がって
「顧問? 将棋が分からないみたいなので、一局の時間を教える時間にしてもよろしいでしょうか?」
小駒さんは鬼塚顧問に頼んでいた。
「あ、あぁ……別に構わんぞ」
鬼塚顧問は、かなり汗をかいている。なぜだ。
「ココマのオーラがスゲェ……」
将暉部長が呟く。アイドル棋士のオーラが素顔を隠していても分かるのか。こうして、俺はまだ素顔が見えぬアイドル棋士ココマと出会った。
『将棋できない将棋棋士』
というレッテルが貼られた。それが中学3年間続いた。
高校に進学した。俺の知り合いが絶対いない私立の附属高校を受験した。なのに、俺の同中が他中の友達に俺のことを教えられ『将棋できない将棋棋士』のレッテルを言われ続けた。入学してから数週間後、俺は母方の祖父将田龍馬の家に言った。
将田家。
「じいちゃん……」
俺は暗い声で祖父に話しかける。龍馬爺ちゃんは、将棋の非公式戦の録画を見ている。俺らの住む地域には観客も記録係も居なくて、暗い部屋で将棋の盤上すら映さないでひたすら二人が対局している非公式戦が民放で放送されている。番組の番組表に『未定』が入っていたり、予告なしに番組の内容を変更せざるを得ない時に流れている。
「おう! 希士……どうだ? 高校生活は?」
龍馬爺ちゃんが高校生活を聞く。
「中学と変わんないよ……『将棋できない将棋棋士』って言われた……じいちゃん、将棋は何か教えてくれ……」
俺は、龍馬爺ちゃんに言った。実は、初めて龍馬爺ちゃんにこの事を打ち明けた。龍馬爺ちゃんは、録画を止めて立ち上がり電話をかけていた。指の動きで分かった。俺の通っている附属高校の電話番号だ。すると、言いたい事だけ怒鳴って受話器を力強く叩きつけた。そして
「希士! 今からワシが将棋がどんなものか教えてやる!」
と。言い、将棋盤や駒を取り出し非公式戦を何十回も見せた。非公式戦は盤上が映っていないから、ある程度の知識はないと見れないようになっているのだが。俺はこの日から数ヶ月に渡って、龍馬爺ちゃんからスパルタ式で将棋のルールを教えてもらったが、何一つとして頭に入らなかった。全て怒鳴り口調で何言っているのか理解できなかった。
1年後。俺は、ここの附属高校に将棋部があることを知り体験入部することにした。
将棋部部室。
「みんな! 今日は体験入部者がいる! 入ってきてくれ!」
将棋部顧問の鬼塚将留が俺を呼んだ。
「将基希士です! よろしくお願いします!」
俺はみんなに挨拶する。将棋部は部長合わせて6名いた。
「そうだ! 今日は特別講師が来るんだった! 希士すまんな……」
鬼塚顧問が言った。特別講師とは、一体誰だろうか。すると、分厚いコートにつばのでかい帽子を被った人が入って来た。性別も分からないし、顔はマスクとグラサンで素顔が分からない。
「みんな! 特別講師の愛小駒だ」
鬼塚顧問が特別講師の名を名乗った。名前からして、女性だろう。
「え! 鬼塚先生! 愛小駒って、キラキラクローゼットのブランドを持っているアイドル棋士のココマですか?」
将棋部部長愛薬将暉が、興味津々な目で問いかける。すると、小駒さんはビクッ!と驚いていた。これは、図星だな。
「愛薬……正に、そうだ」
鬼塚顧問は、呆れた口調で言った。あとで知ったのだが、将暉部長はアイドルオタクだった。中でもアイドル棋士が推しらしい。
対局練習。
「ん? 奇数だから一人余るか……じゃあ希士! 君は特別講師と対局だ」
俺は、奇跡的に小駒さんと対局することになった。小駒さんは分厚いコートなどを脱がず、将棋盤の前に立つ。そして、俺を一目見て
「君……初心者だね」
と。俺を初心者だと見抜いた。
「どこから、分からないの?」
小駒さんの声は、透き通るような可愛い声だ。これがアイドル棋士の声なのか。
「駒の動かし方から……分かんないです」
俺は駒の動かし方から分からなかった。すると小駒さんは立ち上がって
「顧問? 将棋が分からないみたいなので、一局の時間を教える時間にしてもよろしいでしょうか?」
小駒さんは鬼塚顧問に頼んでいた。
「あ、あぁ……別に構わんぞ」
鬼塚顧問は、かなり汗をかいている。なぜだ。
「ココマのオーラがスゲェ……」
将暉部長が呟く。アイドル棋士のオーラが素顔を隠していても分かるのか。こうして、俺はまだ素顔が見えぬアイドル棋士ココマと出会った。
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