異世界大家族〜お母さんは大変です

第233話 子供視点18⑦-³（魔法戦闘大会編）

6つ子　「ヘプタ！！！」

ユイット　「ヘプタ兄さんが···ヘプタ兄さんが·····」

ナーダ　「こんなの幻よね····ケイ。」

ケイ　「ナーダ、幻想魔法は僕等にかかってない。あそこで倒れている子は本物のヘプタ君だよ。」

ナーダ　「嘘よ····ヘプタ起きてよ···ヘプターーー！！！」

モブ貴族　「アリィ様は恐ろしい方だ。平民を助けられたかと思いきやあぁやって絶望に突き落とすのだから。」「そうだな。」

　会場は1人の少年の死で騒然としていた。

　ただ1人を除いて。

アリィ　「皆さん静粛に。」

アリィ以外　「················」

アリィ「皆さん誤解なされているようですけど、ヘプタ·ヌーヴァはまだ死んでいませんよ。」

6つ子　「えっ····」

ユイット　「死んで····ない。」

ナーダ　「良かった·····」

ケイ　「そんな馬鹿な·····魔力視で見ても明らかに魔力の動きは停滞しているのに死んでない·····だと。」

モブ貴族　「アリィ様のブラックジョークなのか。」「もしそうだとしたら恐ろしい。」「そうだな。」

アリィ　「ジョークではないし、嘘でもありません。それを今から証明します。落雷サンダーボルト」

　ヘプタに雷が浴びせられる。

　しかしそれは何故かヘプタを焦がさない不思議な雷だった。

モブ貴族　「死人においうちとは恐ろしい。」「いや！ 待て平民が·····」

ナーダ　「ヘプタ·····」

　闘技場でなんとも不思議な現象が起こっていた。

　それは死んだはずのヘプタが目を覚まし起き上がったことだ。

ヘプタ　「ゲボゴホ······体中が痛い。」
　
ヌーヴァ家　「ヘプタ！！！」

　居ても立っても居られなくなり、ヘプタの元に家族全員で向かう。

ヘプタ　「みんなどうしたの？そんな泣きそうな顔して。」

6つ子＆ユイット　「心配したんだよ！馬鹿！！」

ナーダ＆ケイ　「生きてて良かった。」

　家族全員でヘプタを抱き締める。

ヘプタ　「あっ！そういえば俺って死んだはずじゃ？」

アリィ　「それは私が説明するわ。」

ヘプタ　「アリィ·マンチェス····」

アリィ　「ヘプタ····あなたは無意識的に仮死状態になったのよ。だから一時的に心肺機能や魔力が停滞したの。」

ヘプタ　「仮死状態····」

　·····あのときはもう死ぬつもりだったけど、結局生への執着がまだ捨て切れていなかったのかな····なんて。

アリィ　「私も一瞬騙されたわ。まぁそのおかげで人殺しにならずに済んだから良かったけど。」

ヘプタ　「そうですか。」

　·····『良かった』と言ってるわりにがっかりとした顔をしていて怖いな。

アリィ　「で·····話は変わるのだけど試合はまだ終わっていないのよ。」

ヘプタ　「そうなんですか？」

アリィ　「そうなのよ。で····あなたはまだ続けたい？今なら降参をしてもいいわよ。」

ヘプタ　「じゃあ·····降参で。」

　·····勝てるイメージがわかないし。

審判　「勝者！アリィ·マンチェス。」