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【間話】下町の聖女の話

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下町の聖女と呼ばれ始めたのいつからだったのか‥

10歳のスキル開眼の儀式を終えて希少な治癒スキル持ちだと知った

貧乏子沢山
いつも満足にご飯食べれなく飢えていた。
すぐに殴る兄達に、うるさく喚く弟妹たちにウンザリしていた。
姉達は大きくなるとすぐに売られていった。
‥私の番はもうすぐやってくる。


スキル開眼の後、家にもどらず教会に居た。
ご飯を兄弟たちに盗られず、しっかり食べれるなんて幸せだ
沢山の人を癒やして沢山のお礼をいわれお腹いっぱいご飯を食べた。

進められるまま教会のシスターになる直前、


その男が現れた
教会に利用されて一生を終えるのではなく
その力で自由に生きて見ないかと
綺麗なドレスを着て
キラキラした宝石で身を飾り
素敵な男性と物語の様な恋をしてみないか‥と‥


男爵家のその言葉に釣られ養女となった。
教会の司祭達からは甘言に乗るなと引き留められた
でも教会男爵の言う通り搾取したいだけなのだわ!
‥父の様に思っていた司祭様の言うことが信じられなくなった。


優しくしてくれた人達‥全てを捨てて男爵の養女となった。
後悔はしていない。
これからすごく夢の様に素敵な未来が待っているのだから‥

そしてすぐに男爵家で令嬢としての教育を始まった。

凄く難しい。
教師達もとても冷たくて、なんでこんな事も出来ないのかと責め立てられた。

こんなの聞いてない

文字を覚えることから始めたのに、こんなに頑張っているのに‥
イジメの様に一日中朝から晩まで、ひたすらずっと礼をさせられる。

カエルみたいに足を開いて優雅にとか訳わからないわ。

手のひらに沢山鞭を打たれて握れないぐらい痛い。


つらい

これならシスターとして教会に入った方が楽だったんじゃ‥
騙された、でももう戻れない

男爵にため息をつかれた
もっと励む様にとしか言われなくなった。

頑張ったが勉強が追いつかず
学園には中途半端な時期に編入する事になった
学力は足りないが癒しの力が認められての入学だった。



男爵は本当の事を言っていた!

本物の王子様も
頭の良い宰相の息子も
立派な騎士になるんだと笑う男の子も
ちょっと冷たいけど清涼な神官さんも
見分けてあげると喜ぶ公爵家双子も
豪快だけど世渡り上手な商人の子も
みんなの憧れの先生も

みんな優しくしてくれた
世界が輝いている!

‥欲しい


産まれながらの御令嬢なんて全てを持ってるのだ
少しぐらい私にくれてもいいよね?


彼らが

欲しい





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