40 / 55
34.異世界少女は飛び跳ねない
しおりを挟む
通称『サーカス村』と呼ばれる村がある。
テントばかりで構成された村で、通称の通り、中央には大きなサーカステントがある。
この村は数カ月毎に移動する。だから、ファーストの街近くにあって初心者でも簡単に入れることもあれば、攻略組しか近寄れないような、山を越えた北側にあることもある。
設定としては、サーカス団が各地を巡業している、というもののようだ。
しかし、サーカス村が他の街の側に出るとは限らない。森の中だったり山の中だったり、ダンジョンの隣だったりする。
そんな場所にあったら、誰も見に来ないだろう場所にも、サーカス村が出来る。
どうにもこのゲームは、そういう細かいディテールを大切にしていないように思う。
ともあれサーカス村だ。
今回は、ソロの自分でも楽に辿り着ける場所に村が出来た。
サーカス村では、他の街には売っていない珍しい物が売っている。
異国の香辛料や、工芸品という類のものだ。天幕を広げたアジアっぽい店が何軒もある。ゲーム独自のものかと思ったら、リアルにも似たものがあるらしい。サーカス村で見た香辛料の名前で検索してみた。「カレー粉の自作」と出てきた。あれは個人で、作れるものなのか。
ちなみに工芸品はエンチャントの素材になるらしい。
そんな感じで、生産職には密かな人気のサーカス村だが、俺がここに来た用事は違う。
スキルを得るためだ。
いくつものクエストをクリアして、サーカス団員と親しくなると教えてもらえるスキルが、いくつかある。
「チョウメンを5つください」
このサーカス村にも屋台はある。全てNPCの屋台だ。
プレイヤーが借りれる屋台はないものの、異国風の料理が売ってるし、プレイヤー製と同じようにバフもかかる。
「チョットマッテヨネー」
変なイントネーションの店員が、目の前の鉄板で具材と麺を炒める。
焼きそばにしか見えないチョウメンという料理を、一つ出来る度に収納に仕舞う。
今、受けているクエストは、この食事の買い出しだ。買ったチョウメンを中央のサーカステントにいる団員に渡せばクリア出来る。
「私にも一つ下さいな」
「チョットマッテヨネー」
最後の一つを待っている間に、隣には注文をする少女が立っていた。
金色の髪に白い肌、赤い瞳。
白い肌と相まって、赤い瞳だけがとても輝いて見える。
「っ」
見惚れてしまいそうな姿から、慌てて視線を引き剥がし、屋台の調理を見ている振りをする。
恐ろしいほどに美しい。
急な出会いに挙動不審になる。
仕事だったなら問題ない。
男だらけの会社の中にも女性はいるし、仕事で取引先の女性と話すこともある。だけど、それは仕事と割り切って、役割を果たしているだけだ。相手が美人だろうと関係ない。どうせ、取引が終わったら顔も名前も忘れる程度の関係だ。
だが、ゲームで遊んでいる最中の不意打ちだ。
さりげなく距離を取り、最後のチョウメンを受け取ったら逃げるようにその場を後にする。クエストはまだまだ続くのだから、余計なことをしている暇なんてないのだ。
チョウメンを納品した後で、次のクエストを受ける。
サーカス村のはずれにある資材テントで木材を受け取って、中央のテントまで運ぶ。続いて、木材を使った大道具補修の手伝いだ。手伝いと言っても大工のような加工スキルを持っているわけではない。指示された場所で木材を支えているだけだ。じっと我慢していると、木材の固定が終わり、手を離して良いと言われる。
その後も次々とクエストをクリアしていく。
その過程で、サーカス村の中を歩き回ることになった。
歩き回りながら、たまたま、少しだけ目に入るのはあの少女だ。
木材を取りに行ったときにはチョウメンを食べていたし、人を呼びに行ったときにはジョルというスープを飲んでいた。ギルドに報告に行ったときは小麦を焼いたナンを食べていたし、怪我人を運んでいる時には米料理のビリヤニだった。
沢山のクエストを終わらせて、これで中央のテントに行けば最後の試験だというところで、少女の姿は見えなくなっていた。
いままでは食べ物を出す屋台の前か、屋台のすぐ側にある木箱に座っていたのに。
別に話し掛けようとしていたわけではない。
変に言葉をかけて出会い厨に思われても困る。
今までは、たまたま、通りすがりに目に入っただけなのだ。印象的な瞳が。
クエストを続けて疲れが出たのだろう。少し肩を落として中央のテントへ向かう。
「今度はゆっくり歩くのね」
声に振り替えると、赤い瞳の少女がいた。
「さっきまで、急いで歩いていたでしょう? もう用事は済んだのかしら」
美しい少女の声に、思わず「ああ」と返しながら気持ちを立て直す。
仕事中のように、動揺する心を仕舞い込んで表面を取り繕う。
アリスと名乗る少女に、自分の名前は源之丞だと返すと、不思議な響きだと言われた。西洋風のファンタジー世界には合わない名前かもしれない。まあ、ただの趣味だ、別に深い意味なんてない。
急いでいた理由を聞かれて、クエストとスキルのことを説明する。クエストも残りは最後の試験だけだと言うと、アリスは自分も見に行きたいという。
試験場所にはクエストをクリアした人しか入れないと答えた。それでも構わないというので、中央テントまでの道のりを二人で歩く。
短い道のり。沈黙がいたたまれなくて話題を探す。
ご趣味は。お見合いじゃないんだから。どんなお仕事を。だからお見合いじゃないっての。どこ住み? 出会い厨かよ。いい天気ですね。VRの中で天気の話題はないだろう。
仕方なく、屋台料理の話を出す。
サーカス村ではNPCが作るからか、珍しい料理が多い。どこかの外国をベースにしているのかもしれない。「気に入った料理はありましたか」「この村では調味料も売ってるから、買っておくと良いですよ」。
そんなことを話しながら、中央テントまでの時間を稼いだ。
中央のテントへ入るのは裏口からだ。
表の入口は開いていない。そこは特定の日、サーカスの公演日にだけ開く入り口で、客席に繋がっているらしい。
裏口から入ると、大道具が並んだ通路があり、それを抜けると演者の控室があり、そのさらに奥に舞台がある。
劇場一つ分と考えれば必要な設備だ。それでもテントでこの規模は大きい。
リアルの世界でも、過去にはサーカスの巡業があったと聞く。リアルでもこんなに大きなテントが存在したんだろうかと、不思議に思う。
舞台は大きな円形をしていて、一段高い位置には階段状に観客席が並んで居る。
中央の舞台では、演者が思い思いに練習中だ。
空中に張ったロープの上を歩いている者、大量のナイフでジャグリングをしている者、奥では大きな獣に芸を仕込んでいる者もいる。
そして舞台の中央には、立派なヒゲを生やした男性がいる。
彼がサーカス団の団長だ。
団長に話し掛け、スキルに合わせた選択をすると、最後の試験が始まる。
「彼が団長ですね。団長に話し掛けて、最後の試験です。試験は別マップなので、アリスさんはついて来れませんからね」
「そう、いってらっしゃい」
あっさりとそう言って離れていくアリスに、ほんの少しばかり寂しい思いをしつつ、団長に話し掛ける。
選ぶスキルは『軽業師』。回避や跳躍にプラス補正があるスキルだ。
視界が切り替わり、別マップに移動したことが分かる。
「よーし、よく来た。俺が軽業師のゼータだ。お前には今から、ここを駆け抜けてもらうぜ」
クエストマップでそう告げたのは、若者のNPCだった。
目の前には木で出来たアスレチックコースが広がっている。ここを一定時間以内に通り抜ければクエストクリアだが、走るだけじゃなく、ロープを渡ったり壁を登ったりと、かなりハードだ。
「用意は良いな。では、スタート!」
NPCの合図で走り出す。
無事にコースをクリアして中央テントまで戻ってきた。
ステータスのスキル欄には『軽業師』の記載がある。これで回避率も上がって、ソロでの戦いが少しは楽になるだろう。
「ハッハ。素晴らしいな。これで君も『軽業師』だ!」
上機嫌にそう告げてくる団長の胸には、なぜか大きな穴が開いていた。
*
後ろをついて歩いていくと、テントの中とは思えない広い場所に出た。
何体もの人形がいる広い場所。ロープの上を歩いたり、ナイフを投げているのは見世物の練習だろうか。
私を連れてきた源之丞という変わった名前のプレイヤーは、中央にいるヒゲ人形が団長だという。
ヒゲには近づきたくはないので、少し離れたところから様子を見る。
源之丞はヒゲと少し会話をしたかと思うと、どこかに転移していった。
転移のマナはヒゲ人形から発せられていた。
人形にもマナが格納されているのは知っている。だが、動くだけの微々たる量しか格納されていなかったはずだ。転移するには全く足りない。
腕を組んで立ったままのヒゲを見て、少し悩む。
転移が使えるならば、あの人形にはそれ相応のマナが格納されているはずだ。しかも、プレイヤーと違って、魂がないにも関わらずだ。
魂がない。それはつまり、魂の破損を気にせず、限界まで獲れるということだ。
好きに取れるマナがあるなら、ぜひ貰いたい。
問題は、ヒゲだ。正直なところ、近寄りたくはない。
だが、人形に大量のマナを抱えた個体がいるのであれば、その推論が正しいのかどうかは確認しなければいけない。
嫌々ながらもヒゲに近づく。
もちろん「味見」なんてもっての他だ。
手を伸ばして、指をヒゲの胸にめり込ませる。
以前に調べた人形のコアは頭にあり、人形を動かすためのマナは胸に格納されていた。
胸に格納されているマナを抜き出すだけなら、人形を壊さなくても良い。ヒゲなど壊してもいいが、さっきの源之丞もすぐに戻って来るだろう。騒ぎにはしたくない。
狙い通りに格納されたマナを見つける。
プレイヤー一人よりもよっぽど量が多い。それをギリギリまで、人形の体が動く最低限を残して吸いとる。
獲り終わったらヒゲにはもう用はない。
素早く離れて、テントの出口へ向かう。
「調味料というのは、どこで売ってるのかしら」
テントばかりで構成された村で、通称の通り、中央には大きなサーカステントがある。
この村は数カ月毎に移動する。だから、ファーストの街近くにあって初心者でも簡単に入れることもあれば、攻略組しか近寄れないような、山を越えた北側にあることもある。
設定としては、サーカス団が各地を巡業している、というもののようだ。
しかし、サーカス村が他の街の側に出るとは限らない。森の中だったり山の中だったり、ダンジョンの隣だったりする。
そんな場所にあったら、誰も見に来ないだろう場所にも、サーカス村が出来る。
どうにもこのゲームは、そういう細かいディテールを大切にしていないように思う。
ともあれサーカス村だ。
今回は、ソロの自分でも楽に辿り着ける場所に村が出来た。
サーカス村では、他の街には売っていない珍しい物が売っている。
異国の香辛料や、工芸品という類のものだ。天幕を広げたアジアっぽい店が何軒もある。ゲーム独自のものかと思ったら、リアルにも似たものがあるらしい。サーカス村で見た香辛料の名前で検索してみた。「カレー粉の自作」と出てきた。あれは個人で、作れるものなのか。
ちなみに工芸品はエンチャントの素材になるらしい。
そんな感じで、生産職には密かな人気のサーカス村だが、俺がここに来た用事は違う。
スキルを得るためだ。
いくつものクエストをクリアして、サーカス団員と親しくなると教えてもらえるスキルが、いくつかある。
「チョウメンを5つください」
このサーカス村にも屋台はある。全てNPCの屋台だ。
プレイヤーが借りれる屋台はないものの、異国風の料理が売ってるし、プレイヤー製と同じようにバフもかかる。
「チョットマッテヨネー」
変なイントネーションの店員が、目の前の鉄板で具材と麺を炒める。
焼きそばにしか見えないチョウメンという料理を、一つ出来る度に収納に仕舞う。
今、受けているクエストは、この食事の買い出しだ。買ったチョウメンを中央のサーカステントにいる団員に渡せばクリア出来る。
「私にも一つ下さいな」
「チョットマッテヨネー」
最後の一つを待っている間に、隣には注文をする少女が立っていた。
金色の髪に白い肌、赤い瞳。
白い肌と相まって、赤い瞳だけがとても輝いて見える。
「っ」
見惚れてしまいそうな姿から、慌てて視線を引き剥がし、屋台の調理を見ている振りをする。
恐ろしいほどに美しい。
急な出会いに挙動不審になる。
仕事だったなら問題ない。
男だらけの会社の中にも女性はいるし、仕事で取引先の女性と話すこともある。だけど、それは仕事と割り切って、役割を果たしているだけだ。相手が美人だろうと関係ない。どうせ、取引が終わったら顔も名前も忘れる程度の関係だ。
だが、ゲームで遊んでいる最中の不意打ちだ。
さりげなく距離を取り、最後のチョウメンを受け取ったら逃げるようにその場を後にする。クエストはまだまだ続くのだから、余計なことをしている暇なんてないのだ。
チョウメンを納品した後で、次のクエストを受ける。
サーカス村のはずれにある資材テントで木材を受け取って、中央のテントまで運ぶ。続いて、木材を使った大道具補修の手伝いだ。手伝いと言っても大工のような加工スキルを持っているわけではない。指示された場所で木材を支えているだけだ。じっと我慢していると、木材の固定が終わり、手を離して良いと言われる。
その後も次々とクエストをクリアしていく。
その過程で、サーカス村の中を歩き回ることになった。
歩き回りながら、たまたま、少しだけ目に入るのはあの少女だ。
木材を取りに行ったときにはチョウメンを食べていたし、人を呼びに行ったときにはジョルというスープを飲んでいた。ギルドに報告に行ったときは小麦を焼いたナンを食べていたし、怪我人を運んでいる時には米料理のビリヤニだった。
沢山のクエストを終わらせて、これで中央のテントに行けば最後の試験だというところで、少女の姿は見えなくなっていた。
いままでは食べ物を出す屋台の前か、屋台のすぐ側にある木箱に座っていたのに。
別に話し掛けようとしていたわけではない。
変に言葉をかけて出会い厨に思われても困る。
今までは、たまたま、通りすがりに目に入っただけなのだ。印象的な瞳が。
クエストを続けて疲れが出たのだろう。少し肩を落として中央のテントへ向かう。
「今度はゆっくり歩くのね」
声に振り替えると、赤い瞳の少女がいた。
「さっきまで、急いで歩いていたでしょう? もう用事は済んだのかしら」
美しい少女の声に、思わず「ああ」と返しながら気持ちを立て直す。
仕事中のように、動揺する心を仕舞い込んで表面を取り繕う。
アリスと名乗る少女に、自分の名前は源之丞だと返すと、不思議な響きだと言われた。西洋風のファンタジー世界には合わない名前かもしれない。まあ、ただの趣味だ、別に深い意味なんてない。
急いでいた理由を聞かれて、クエストとスキルのことを説明する。クエストも残りは最後の試験だけだと言うと、アリスは自分も見に行きたいという。
試験場所にはクエストをクリアした人しか入れないと答えた。それでも構わないというので、中央テントまでの道のりを二人で歩く。
短い道のり。沈黙がいたたまれなくて話題を探す。
ご趣味は。お見合いじゃないんだから。どんなお仕事を。だからお見合いじゃないっての。どこ住み? 出会い厨かよ。いい天気ですね。VRの中で天気の話題はないだろう。
仕方なく、屋台料理の話を出す。
サーカス村ではNPCが作るからか、珍しい料理が多い。どこかの外国をベースにしているのかもしれない。「気に入った料理はありましたか」「この村では調味料も売ってるから、買っておくと良いですよ」。
そんなことを話しながら、中央テントまでの時間を稼いだ。
中央のテントへ入るのは裏口からだ。
表の入口は開いていない。そこは特定の日、サーカスの公演日にだけ開く入り口で、客席に繋がっているらしい。
裏口から入ると、大道具が並んだ通路があり、それを抜けると演者の控室があり、そのさらに奥に舞台がある。
劇場一つ分と考えれば必要な設備だ。それでもテントでこの規模は大きい。
リアルの世界でも、過去にはサーカスの巡業があったと聞く。リアルでもこんなに大きなテントが存在したんだろうかと、不思議に思う。
舞台は大きな円形をしていて、一段高い位置には階段状に観客席が並んで居る。
中央の舞台では、演者が思い思いに練習中だ。
空中に張ったロープの上を歩いている者、大量のナイフでジャグリングをしている者、奥では大きな獣に芸を仕込んでいる者もいる。
そして舞台の中央には、立派なヒゲを生やした男性がいる。
彼がサーカス団の団長だ。
団長に話し掛け、スキルに合わせた選択をすると、最後の試験が始まる。
「彼が団長ですね。団長に話し掛けて、最後の試験です。試験は別マップなので、アリスさんはついて来れませんからね」
「そう、いってらっしゃい」
あっさりとそう言って離れていくアリスに、ほんの少しばかり寂しい思いをしつつ、団長に話し掛ける。
選ぶスキルは『軽業師』。回避や跳躍にプラス補正があるスキルだ。
視界が切り替わり、別マップに移動したことが分かる。
「よーし、よく来た。俺が軽業師のゼータだ。お前には今から、ここを駆け抜けてもらうぜ」
クエストマップでそう告げたのは、若者のNPCだった。
目の前には木で出来たアスレチックコースが広がっている。ここを一定時間以内に通り抜ければクエストクリアだが、走るだけじゃなく、ロープを渡ったり壁を登ったりと、かなりハードだ。
「用意は良いな。では、スタート!」
NPCの合図で走り出す。
無事にコースをクリアして中央テントまで戻ってきた。
ステータスのスキル欄には『軽業師』の記載がある。これで回避率も上がって、ソロでの戦いが少しは楽になるだろう。
「ハッハ。素晴らしいな。これで君も『軽業師』だ!」
上機嫌にそう告げてくる団長の胸には、なぜか大きな穴が開いていた。
*
後ろをついて歩いていくと、テントの中とは思えない広い場所に出た。
何体もの人形がいる広い場所。ロープの上を歩いたり、ナイフを投げているのは見世物の練習だろうか。
私を連れてきた源之丞という変わった名前のプレイヤーは、中央にいるヒゲ人形が団長だという。
ヒゲには近づきたくはないので、少し離れたところから様子を見る。
源之丞はヒゲと少し会話をしたかと思うと、どこかに転移していった。
転移のマナはヒゲ人形から発せられていた。
人形にもマナが格納されているのは知っている。だが、動くだけの微々たる量しか格納されていなかったはずだ。転移するには全く足りない。
腕を組んで立ったままのヒゲを見て、少し悩む。
転移が使えるならば、あの人形にはそれ相応のマナが格納されているはずだ。しかも、プレイヤーと違って、魂がないにも関わらずだ。
魂がない。それはつまり、魂の破損を気にせず、限界まで獲れるということだ。
好きに取れるマナがあるなら、ぜひ貰いたい。
問題は、ヒゲだ。正直なところ、近寄りたくはない。
だが、人形に大量のマナを抱えた個体がいるのであれば、その推論が正しいのかどうかは確認しなければいけない。
嫌々ながらもヒゲに近づく。
もちろん「味見」なんてもっての他だ。
手を伸ばして、指をヒゲの胸にめり込ませる。
以前に調べた人形のコアは頭にあり、人形を動かすためのマナは胸に格納されていた。
胸に格納されているマナを抜き出すだけなら、人形を壊さなくても良い。ヒゲなど壊してもいいが、さっきの源之丞もすぐに戻って来るだろう。騒ぎにはしたくない。
狙い通りに格納されたマナを見つける。
プレイヤー一人よりもよっぽど量が多い。それをギリギリまで、人形の体が動く最低限を残して吸いとる。
獲り終わったらヒゲにはもう用はない。
素早く離れて、テントの出口へ向かう。
「調味料というのは、どこで売ってるのかしら」
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる